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AIデータ活用コンソーシアム、AIに対応したデータ取引サービス「AIDC Data Cloud」を発表

データ提供者や利用者が安心して利用できるクラウド基盤を構築

 一般社団法人AIデータ活用コンソーシアム(以下、AIDC)は10日、AIに対応したデータ取引サービス「AIDC Data Cloud」を構築したと発表した。同日からプレビュー版の提供を開始し、3月1日に実際のサービス提供を開始する。

 2月10日には、AI利活用に向けたデータ流通に関する取り組み、および新サービス「AIDC Data Cloud」の概要についてオンライン説明会が行われた。

データ提供者や利用者が安心して利用できるデータ取引サービスを提供

 「AIDC Data Cloud」は、円滑なデータ流通を実現するための契約モデルに基づく、多様なデータ流通を可能にするクラウド基盤として構築したもの。AI製品・サービスにかかわるさまざまなデータ提供および利用条件に対応し、データ提供者や利用者が安心して利用できるデータ取引サービスを提供するという。

 新サービスの発表にあたり、AIDC 理事・副会長/豊橋技術科学大学 IT活用教育センター 特任教授の井佐原均氏は、「日本におけるAIの研究、オープンイノベーション、そしてソリューション化には、細分化されたデータ提供者や異なるライセンスの考え方、個人情報、計算リソースなど、多くの課題が存在している。当コンソーシアムは、これらの課題を解決し、円滑なデータ流通を実現するため2019年3月6日に発足。連携パートナーとともに、『知的財産・契約』、『AI研究』、『データ収集・活用』、『データ基盤』の4つを活動目標として取り組みを進めてきた。今回の新サービスは、この中の『データ基盤』領域での活動成果となる」と述べた。

AIデータ活用コンソーシアム 理事・副会長/豊橋技術科学大学 IT活用教育センター 特任教授の井佐原均氏

 AIDC 理事・副会長/東京大学 政策ビジョン研究センター 教授の渡部俊也氏は新サービスを提供する背景について、「AIを組み込んだ製品・サービスのビジネス活用が広がるのにともない、AI利用を想定した新たなデータ取引の仕組みが求められている。AIの学習に使用するデータの価値は、そのデータがどうビジネスで活用されるかで大きく変わってくるため、今までよりも複雑な契約モデルが必要となる。また、AIを用いた製品・サービスの製造物責任を果たすために、学習に使用するデータの適切な来歴管理が求められる。さらに、AIに用いるデータの価値評価は時間とともに変化するため、学習データの品質を把握することも重要になる。そこで、こうしたAI活用のニーズに対応した新たなデータ取引基盤として『AIDC Data Cloud』を提供する」とした。

AIデータ活用コンソーシアム 理事・副会長/東京大学 政策ビジョン研究センター 教授の渡部俊也氏

 「AIDC Data Cloud」が提供する主な機能・サービスとしては、「さまざまな商流に対応した契約テンプレート」、「来歴情報に対応したデータカタログ」、「柔軟な課金モデル」の3つを挙げる。

 具体的には、データ提供者が望む条件でデータを登録、カタログとして一覧化されたデータを利用者が選択し、利用契約を締結することが可能。さまざまな商流と知的財産保護、および倫理・製造物責任・保証・来歴に考慮したデータ取引サービスと契約モデルを提供する。また、さまざまな種類・サイズのデータに対応し、ファイルのアップロード、ダウンロードだけでなくWeb APIに対応することで、データの提供および取得が可能。データ取引形態も、オープンデータからワンタイム、レベニューシェアなどさまざまな形態に対応している。

「AIDC Data Cloud」の技術要素

 AIDC 理事・副会長/日本マイクロソフト 技術統括室 業務執行役員の田丸健三郎氏は、「『AIDC Data Cloud』の取引対象となるデータは、オリジナルデータ、クレンジングデータまたはアノテーションデータ。契約対象者としては、AI製品にかかわるデータ生成者、データアノテーター、AI研究者・AI開発者、コンポーネントメーカー、最終製品メーカー、エンドユーザーを見込んでいる。契約の形態については、データ生成者がデータアノテーターまたはAI研究者・AI開発者にデータをライセンスする場合と、データアノテーターがAI研究者・AI開発者にデータをライセンスする場合の2つを想定している。『AIDC Data Cloud』サービス自体の課金モデルとしては、データ販売代金から基盤維持に要する費用を手数料として課金する予定」と説明した。

AIデータ活用コンソーシアム 理事・副会長/日本マイクロソフト 技術統括室 業務執行役員の田丸健三郎氏

 なお、AIDCの会員企業には、「AIDC Data Cloud」の無償ライセンス提供を行うという。「『AIDC Data Cloud』を企業内で活用することで、外部とのデータ取引だけでなく、社内データ統制の実現も支援していく。これにより、例えば、社内での複雑な契約モデルの作成や、来歴管理に対応したデータ共有基盤の開発、データ統制にかかるコストを削減することができる」(田丸氏)との考えを示した。