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DNP、パッケージや広告物などの校正・校閲業務を支援するAI審査サービスを提供

 大日本印刷株式会社(以下、DNP)は1日、企業などの各種発行物に関する校正・校閲や、契約書・申込書の審査などの業務負荷をAI(人工知能)を活用して省力化する「DNP AI審査サービス(校正・回覧業務)」の提供を開始した。

 DNPでは、企業などの各種発行物の校正・校閲作業は、その多くが人手に依存しているため、効率化や人為的なミスの低減が求められていると説明。たとえば、商品パッケージの制作時には、各業界で順守すべきルールのほか、ロゴやマークの表示方法など、企業独自のルールに準拠する必要があり、社内外で多くの人が部門横断的に校正・校閲に携わっているという。

 DNP AI審査サービス(校正・回覧業務)は、こうした紙やデジタルでの各種発行物に関する校正・校閲や、契約書・申込書などの審査などの業務負荷を、AI(人工知能)を活用して省力化し、企業の働き方改革を推進する。

 サービスでは、画像文字認識と自然言語処理の2つのAIを用いて、各種発行物や契約書・申込書などの記載内容について、ルールへの適合や誤字・脱字のチェックなどを行い、正誤などの指摘事項を表示する。

 原稿比較機能では、栄養成分表示などの原稿とデザイン案を比較して、AIが差異を判定し、その箇所を表示する。レギュレーション審査機能では、表記・表現などのルールや約款などに記載されている注意文言(ガード文言)などをAIが学習し、問題のある箇所を判定する。

 業界ルールのほか、ロゴやマークの表示方法など、企業の独自ルールに準拠して審査。過去の校正・校閲時の知見をAIが追加学習し、チェック機能を随時バージョンアップする。条件に応じて、必須または禁止となる画像や文言の有無・サイズ・色などをチェックし、誤字・脱字への対応のほか、文書作成上の一部の禁則処理にも対応する。

 さらに、進捗などを管理するデジタルワークフロー機能を提供する。複数部門にわたる校正・校閲・回覧・承認などのワークフローを設定し、追加情報や指摘事項の入力など、業務・承認プロセスをオンラインで遂行できる。これにより、テレワークなどで多くの人が複数の場所から作業を行う場合でも、円滑に校正・校閲や審査などの業務を行えるようにする。

 また、サービス導入の検討にあたっては、サービスの適合性や費用対効果を確認・判断するため、AIの精度や既存の業務フローとの比較を行う初期分析と運用テストを実施する。

 サービスの価格(税別)は、商品パッケージ審査の場合で初期費用400万円から、月額費用45万円から。広告物審査の場合で、初期費用800万円から、月額費用50万円から。

 DNPでは、各企業の校正・校閲業務に共通する業務負荷の軽減を課題と捉え、サントリーコミュニケーションズ株式会社の協力のもと、AIを活用した審査サービスの実現に取り組んできました。2019年5月からは、飲料・食品メーカーを中心に36社と合同検証を実施してAIの精度の改善などを行い、実効性を確認できたことによって、今回サービスを開始する。また、検証を通じてさまざまな業界での需要が浮き彫りになり、日清食品ホールディングス株式会社や明治安田生命保険相互会社などで採用され始めているという。

 サントリーコミュニケーションズは、サービスの運用により、商品パッケージの校正作業を導入開始段階で30%、将来的には50%程度の省力化を見込む。DNPでは、AI精度のさらなる向上によって一層の効率化を目指すとともに、AI審査の普及に努め、業界を横断して共通する業務負荷を軽減し、社会全体での働き方改革につなげていくとしている。