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JBCCがSI開発の取り組みを説明、ローコード開発ツールを活用した独自の開発手法「JBCCアジャイル」とは?

 システムインテグレータのJBCC株式会社は19日、同社独自のSI開発手法「JBCCアジャイル」の取り組みなどについて説明した。

 JBCCアジャイルは、ウルグアイGeneXusのローコード開発ツール「GeneXus」を活用。一般的なアジャイル開発では行われない要件定義を実施したり、顧客がアプリケーション開発工程に参加したりといった取り組みのほか、5回のイテレーションで完成させることで、開発期間の短縮やコストの削減、顧客が求めるシステムの実現などにつなげているという。

 2014年の提供開始以来、これまでの7年間で、基幹システム構築などの大規模開発をはじめとして、224件の実績を持つ。

 JBCC SI事業部 SIイノベーション本部の金光剛右本部長は、「創業57年目を迎え、2万社以上のIT活用支援実績を持つJBCCが、これまでのシステム開発のノウハウと利点、欠点を考慮しながら生み出した手法がJBCCアジャイルである」と前置き。

 「お客さまがやりたいことを100%実現でき、しかも早く、高品質なシステムを構築できる。また、優先順位をお客さまと一緒に決めながら状況にあわせて、段階的に進めることができる。お客さまとともに、実際に動くアプリケーションに触れながら開発していくことも特徴である」と、メリットを説明した。

JBCC SI事業部 SIイノベーション本部の金光剛右本部長

 開発期間が1年以上におよぶ大型プロジェクトでは、従来のウォーターフォール開発に比べて期間を40%短縮できたほか、バッチ処理と帳票処理を中心としたシステム構築においては、大手他社の見積もりでは4年かかるといわれた、697機能、2115本のプログラムを、1年半で開発した実績があるという。

 アジャイル開発は、一連の開発工程を短期間で何回も繰り返す「イテレーション」が特徴であり、開発期間とコストを効率化しながら、段階的に構築していく手法だ。

 だが、機能の連続性がとらえられなかったり、大規模になるにつれて、スケジュール管理が困難になったりする課題があった。

 「アジャイル開発は、ウォーターフォール開発の課題を解決するものだが、アジャイル開発にも課題がある。また、小規模の開発に適している、同じレベルを持った少数精鋭の体制が必要であるといった特徴もある。JBCCでは、ウォーターフォール開発とアジャイル開発のいいところを活用できないかと考えた。また、顧客は要件を出せていない、JBCCは顧客の要求を理解できていないということを前提として、JBCCアジャイルの実現に取り組んだ」とする。

従来の開発手法の課題

 そのJBCCアジャイルでは、繰り返しの固定化、開発ツールの採用、要件定義の実施、要望の蓄積と洗い出し、従来のピラミッド型チーム編成といった独自の仕組みを採用。さらに、開発ツールを活用した反復開発局面を「プロトタイプ局面」、「プロダクト局面」、「パイロット局面」に分け、それぞれにおいて「確認会」を実施するのも特徴だ。

 プロトタイプ局面では、基本テストケースをもとに2回、プロダクト局面では、深堀した最終テストケースをもとに2回、パイロット局面でも1回の合計5回の確認会を実施。実際に作成したプログラムやデータを使って確認したり、新たな要件を深堀りしたりといったことが可能になるほか、潜在要件の顕在化も可能になるという。

 「実際に使用する画面を見つつ構築するため、お客さまと認識相違が起こらないこと、開発中に確認作業を行うため手戻りのリスクがなく、開発期間の短縮が図れること、要望を柔軟に吸収できるため後追いコストが発生しないこと、プログラム生成ツールを利用して構築するため物理バグによるトラブルがない、といったメリットがある」とした。

JBCCアジャイルとは

 JBCCアジャイルで採用しているローコード開発ツールのGeneXusは、業務に必要な情報を定義するだけで、データベースやWebアプリケーション、モバイルアプリケーションを100%自動生成するのが特徴だ。

 「知識ベースのなかに、顧客がやりたい要件や要求をGeneXusのオブジェクトによって定義し、投入することで、データベースやアプリケーションが生成される。これまで人が作っていたところをGeneXusに任せることができ、しかも品質が高いものを作ることができる」という。

 さらに、「アベンド(物理バグ)が起きたり、ループでプログラムが停止したりといったことがない。これは、ビルド時にエラーを探知できる機能を搭載していることによるものだ。さまざまな知識を持った技術者をそろえることも不要となり、GeneXusの技術者だけで、モノづくり工程を進めることができる。当初は、さまざまなツールを検討したが、100%自動生成するというのはGeneXusならではの特徴であり、これを採用することにした」と述べた。

ローコード開発ツール“GeneXus”の仕組み
JBCCがGeneXusに期待したこと

 同社によると、画面系では80%の省力化、バッチ系でも70%の省力化を実現。「圧倒的な生産性により、利用現場にシステム提供がスピーディにでき、開発の初心者でも物理バグがなく開発ができること、スキルによる偏りがなく属人化しにくく、新たなテクノロジーにもツールが追随するため、新たなスキル習得がほぼ不要というメリットがある。さらに、さまざまなシステムに対応した豊富なデザインテンプレートを用意。開発時点におけるライセンス費用だけで済むため、開発規模を問わず、費用面でも安心である」とした。

JBCCがGeneXusをオススメする理由

 GeneXusは、1984年に、ウルグアイ共和国大学のブレオガン・ゴンダ教授が生み出した理論に基づいて、同氏の教え子であるニコラス・ホダール氏が、IBMマシン上で稼働するCICS(Customer Information Control System)のプロトタイプを開発したのが始まりだとされる。

 1986年にはプロトタイプが完成。1988年にはIBMの出資を受けて、Artech(現在のGeneXus)を設立。1989年にAS/400への移植が行われ、現在のGeneXusの最初の製品が発売された。数多くのデータベースに対応しており、1999年以降、日本語にも対応。これまでに全世界50カ国以上で8700社以上が導入し、国内では約700社以上の採用実績がある。

 ウルグアイにおいては、GeneXusを利用して、国民や医療従事者、保険会社、政府などをつないだ政府公式の新型コロナウイルス対策アプリケーションを、5日間で開発した実績がある。

 今回の会見では、大学受験予備校の代々木ゼミナールの事例を紹介した。大学入試模擬試験やセンター試験の自己採点判定において、JBCCアジャイルを活用。スピードと柔軟性を持った開発を行うことで、従来手法の約3分の1の開発期間となる1年半で稼働させたほか、導入後のランニングコストが80%減となり、顧客自身がスキルを継承しながら保守、運用を行うことができたという。

代々木ゼミナールの事例

 「JBCCアジャイルを理解して、GeneXusを使いこなせれば、内製化へのシフトもできる。日常的な保守は顧客自身が行い、大規模な改善の際にはJBCCが支援することになる」(金光氏)。

JBCCアジャイルを含むNewSIがSI事業の核に

 JBCCは、2020年度を最終年度とする中期経営計画「Transform2020」に取り組んでおり、そのなかで、7つの注力事業分野として「Transform 2020 WILD 7」を設定。クラウドサービス、セキュリティサービス、ヘルスケア、NewSI、JBソフトウェア、3D事業、人財育成サービスの7つの事業領域にフォーカスしている。

 中でもNewSIは、新しい手法によるシステム開発を行う事業であり、戦略事業分野に位置づけている。2020年度は前年比約1.5倍の60億円の売上高を目標にしている。

Nwe SIの売上伸張状況

 今回のJBCCアジャイルは、NewSIの領域に含まれるもので、同事業領域の約9割弱を占めているとのこと。また、同社は340人のSEを擁しているが、そのうちの6割となる約200人がGeneXusの技術者であり、GeneXusの上位資格であるシニアアナリストおよび認定公式インストラクターの取得者が31人在籍している。新入社員のすべてが、基礎教育とともにGeneXusに関する教育を受けており、今後、GeneXusの技術者の構成比は増加していくことになるという。

 「2021年度からの次期中期経営計画においても、NewSIがSI事業の核になり、JBCCグループの中核になる。強気の成長計画を立てることになる」とした。

 また「JBCCアジャイルは、この7年間でフレームワークはできあがった。今後は、ノウハウやフレームワークの活用や、GeneXusの部品化、標準化を進め、より短期間に、高速に、システムを提供できるように進化させたい。テスト工程の自動化、アプリケーションのデプロイの自動化にも取り組みたい」とした。

 JBCCでは、2020年10月から、サブスクリプションで利用できるデジタル業務ソリューション「おまかせ請求」の販売を開始しているが、ここでもローコード開発を活用するとともに、同社が蓄積した請求に関する業務ノウハウを活用。「中堅中小企業が使いやすいSIの提案につなげ、サブスクリプションによる提案を加速するベースにしたい」などと述べた。