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IIJ、最新の無線技術を体感できる「白井ワイヤレスキャンパス」を開設

 株式会社インターネットイニシアティブ(以下、IIJ)は6日、2019年5月から運用している白井データセンターキャンパス(以下、白井DCC)内に、最新のモバイル技術を体感できる実験施設「白井ワイヤレスキャンパス」を開設し、11月9日から顧客に公開すると発表した。

 IIJでは、白井DCCを新しいサービスの開発に必要な実験の場としても位置付け、屋内外に無線基地局を設置したラボ環境を構築し、開設当初よりモバイル技術を用いたさまざまな実証実験を行ってきた。今回、顧客が最新の無線通信技術を実際に体験できる施設として、白井ワイヤレスキャンパスを公開する。

 白井ワイヤレスキャンパスは、多種多様な無線通信技術を一カ所に集め、デモや展示を通じて、顧客がそれぞれの特徴や実力値を体感できる場として利用できる。また、端末や通信機器メーカーにとっては、新製品の動作検証や、コアネットワーク設備との相互接続性の検証環境として利用できるほか、顧客と共同で無線通信ネットワーク運用の実証実験を行う場としても利用できる。

 開設時点で展示するデモのうち、「プライベートLTEとパブリックLTEの自動切替」では、プライベートLTEとパブリックLTEのエリアを行き来した場合に、電波受信を自動的に切り替え、インターネットに接続できる。

 「プライベートLTEを利用した警備ロボットの遠隔監視と制御」では、警備ロボット(ALSOK製フィジカルロボットREBORG-Z)をプライベートLTEにより制御し、白井DCC内の巡回監視や来訪者アテンド業務に利用する。今後、複数のプライベートLTE基地局で、館内・屋外における警備ロボットのシームレスな移動や、閉域接続によるセキュアな通信環境での実証を行う予定。

 このほか、混雑環境下における通信効率を大幅に向上させたWi-Fi 6の実力値をWi-Fi 5とのスピード比較で紹介するデモや、LoRaWAN対応のIoTセンサーやIoTプラットフォームの紹介、ローカル5G SA(StandAlone方式)を模した有線接続による映像伝送、携帯電話事業者の無線ネットワークにより長距離データ通信と低消費電力を実現する「セルラーLPWA」と、端末の小型化や低消費電力化に有用なIIJの「SoftSIM」を組み合わせた製品の紹介などを行う。

展示室のイメージ

 ローカル5Gに関する今後の予定としては、ローカル5G NSA(Non-StandAlone)方式については、IIJが住友商事株式会社と共同で設立した株式会社グレープ・ワンが提供している地域BWAや5G NR(5Gの高い要求条件に対応可能な、ミリ波を含む幅広い周波数帯をサポートする新たな無線技術)の無線基地局を同社より調達し、白井DCCに設置する予定。IIJでは現在、白井データセンターにおけるローカル5G無線局免許申請を進めている。

 ローカル5G SAについては、2020年末に予定されている6GHz未満の周波数帯(Sub6帯)割り当ての制度化に合わせ、2021年6月以降に、国内メーカーのコアネットワークと無線基地局を組み合わせた5G NRによる検証環境を構築する予定。

 IIJでは、白井ワイヤレスキャンパスでの研究開発や実証実験を通じて、新しい無線通信技術の普及・推進を積極的に行っていくとしている。