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NEC、保育園入園選考の業務効率化をAIで支援するシステムの実証実験を山形市で実施

 日本電気株式会社(以下、NEC)とNECソリューションイノベータ株式会社は15日、保育園入園選考の業務効率化を目的として、人とAIとの共同作業で選考業務を支援するマッチングシステムを開発し、山形市の協力のもと2019年7月から2020年2月に実証実験を行ったと発表した。実証実験では、従来の人手による選考結果との比較では99.3%が一致し、選考業務時間の約9割を削減できることを実証したとしている。

 NECでは、近年、地方自治体においては、少子高齢化に伴う労働力人口や歳入の減少などにより、AIなどの先進技術を用いた業務効率化や生産性向上が求められていると説明。山形市ではこれまで、保育園入園選考業務を十数人で数日をかけて人手で実施していたため、業務負荷が大きく、業務効率化が課題となっていたという。

 今回、実証で用いたマッチングシステムは、選考過程や結果に至った判断根拠を可視化でき、人とAIの共同作業を実現した。

 実際の選考業務では、職員が家庭状況や細かな希望などに配慮し、複雑な判断をすることが必要とされており、職員が保護者からの申請書をもとに、入園を希望する保育園や家庭状況などをシステムに入力しており、AIが市の定める配点基準や優先順位、きょうだいの同一保育園への入園希望など複雑な条件を組み合わせて児童に保育所を割り当てることで選考を行う。

 実証の選考過程では、複雑な判断を必要とする約3%の選考を山形市の職員が確認・承認。その結果、従来の人手による選考結果との比較では99.3%が一致し、選考業務時間の約9割を削減できることを実証した。

 NECソリューションイノベータでは、実証での実績やノウハウを生かし、「NEC 保育園AIマッチングシステム」として5月に製品化した。また、システムはNECの「GPRIME 福祉総合システム」との連携にも対応する。