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大塚商会が中小企業の脱“印鑑文化”を支援、電子契約に関するオールインワンパッケージを提供

 テレワーク完結には、印鑑文化の電子化が不可欠――。大塚商会は、電子契約導入を検討する中小企業向けに「デジタル契約スタートパック」を提供する。

 大企業向けには2019年10月に、「Adobe Sign」の導入を支援する「Adobe Sign スターターパック」を発売している。しかし、契約書を電子化するにあたっては法律などの専門家のサポートが不可欠となる。そこでAdobe Signの導入に加え、法務・税務の業務コンサルティングをパックにして提供するものが、「デジタル契約スタートパック」だ。

 本来の価格は250万円からだが、初年度特別価格として、ワンパッケージ119万8000円のキャンペーン価格が設定された。紙の書類や印鑑を利用しなくなることで、わざわざ会社に行って作業をする必要がなくなるほか、印紙に使っていたコストを抑えることもできる。

「書類に印鑑を押す文化を見直したい」という声に応える

 新型コロナウイルスの影響で、「書類に印鑑を押す文化を見直したい」という声が高まっている。テレワークを実施したものの、書類に印鑑を押すために出社して作業をする必要が出てくるからだ。

 実際に大塚商会でも、「新型コロナの影響が大きくなる前は、問い合わせをしてくる業種が人材派遣業、建設業、不動産業などに限られていた。影響後は企業の大小、業種を問わず、企業だけでなく学校からの問い合わせなども受けている」(大塚商会 マーケティング本部 クラウドプロモーション部の武沢徹主任)という。

 紙に印鑑による契約を止め電子化することのメリットは、郵送費、印紙代が不要になることから、コスト削減を実現できる点が一点目。さらに、タブレット、スマートフォンなどモバイルデバイスでも可能となることから、契約にかかる時間を大幅に短縮できる。

 実は大塚商会では、2019年時点から電子契約ソリューションの提供を始めていた。2020年は東京オリンピックの影響でテレワークを導入することが増えると予測されたからだ。

 その際、業務を完全にデジタル化するためには電子契約ソリューションが不可欠と見て、電子契約ソリューション提供を計画。使い勝手の良さからAdobe Signを活用した電子契約ソリューション提供を決定した。

 第1弾は、大企業をターゲットとした「Adobe Sign スターターパック」で、Adobe Signのライセンスと導入支援サービスをセットにした。企業が電子サインを導入する際、状況に合わせて利用用途や範囲を確認して設定値を決定し、文書テンプレートの作成方法や管理操作の指導により適切な運用方法を提案するパックとなっている。導入企業にとっては、稟議書の社内承認や契約書の締結といった文書業務にかかる時間とコストを大幅に削減することができる。

 しかし、中小企業が電子契約を導入する際にはこれだけでは不十分ということで誕生したのが、「デジタル契約スタートパック」だ。

 最大のポイントは、業務コンサルティングを行い、ITだけではない法務や税務の専門家によるアドバイスを含めたパッケージとしていることだ。

 2020年度は税制改正が行われ、電子帳簿保存制度の見直しが行われる。「電子帳簿保存制度の見直しで、詳細の確認は所轄の税務署に確認することが必要となる。基本的な部分は法務部がある企業であれば法務部が判断することになるが、中小企業では法務部を持っているところは限られる。そこで弁護士、会計士、税理士などのコンサルティングを含めてパッケージ化した」(大塚商会 マーケティング本部 クラウドアプリプロモーション課の池田一真係長)。

 導入にかかる期間は、利用規模などによるものの、ほぼ1カ月で、長くても2カ月。3週間弱で完了したケースもあるという。

 なお、社内の契約を一気に電子化することは容易ではないことから、雇用契約書、業務委託契約書、秘密保持契約など、自社内で完結する契約から電子化することを勧めている。ただし、「社外を巻き込んだ契約を電子化することが必要な場合には、オプションになるが相手への説明を行うサービスも用意している」(武沢氏)という。

 また、社内で利用しているアプリケーションとの連携例としては、Office 365との連携をはじめ、サイボウズのkintone、DropboxのDropbox BusinessなどとはAPI連携を実現している。

 獲得目標企業数は未公表。ただ、当初予定していた初年度特別価格は20社限定としていたが、反響が大きいことから提供企業数を拡大するとしており、導入は好調のようだ。