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国内シンクライアント専用端末市場、2019年の出荷台数は総計37.4万台で前年比53.6%増

 IDC Japan株式会社は26日、国内シンクライアント専用端末市場の主要ベンダーの競合状況に関する分析結果を発表した。

 2019年の国内シンクライアント専用端末市場における出荷台数は総計37.4万台で、前年比成長率53.6%と大きく成長し、2008年にIDC Japanが当該市場を調査開始して以来、1年間あたりの最高出荷台数となった。この市場拡大の要因については、超大型案件の更改、Windows 7のEnd Of Support(EOS)における買い替え需要、働き方改革、製品品質向上と機能拡充などが挙げられるとしている。

 フォームファクター別の割合では、デスクトップシンクライアントが58.7%、モバイルシンクライアントが40.8%、オールインワン(ディスプレイ一体型)が0.5%と、モバイルシンクライアントの割合が40%を超えた。

 世界の他の地域では、大部分がデスクトップシンクライアントで、モバイルシンクライアントの割合は3%前後と低いが、国内市場はモバイルシンクライアントの需要が非常に高く、多くの企業で採用されていると指摘。選定ポイントは軽さ、スクリーンサイズ、性能、デザイン、堅牢性で、歩いて持ち運ぶ機会の多い国内市場において、特に軽さの優先順位が高い傾向にあるとしている。

 ベンダー別出荷台数では、1位が日本HPで14.4万台(シェア38.5%)、2位は富士通で9.8万台(シェア26.3%)、3位はデルで4.7万台(シェア12.5%)、4位はAtrustで3.5万台(シェア9.4%)、5位はNECで9700台(シェア2.6%)となった。

 日本HPは前年比191.5%増、富士通は前年比51.5%増となり、この2社は自社の年間当たり最高出荷台数を達成した。IDC Japanでは、日本HPは超大型案件需要と堅牢性の高いモバイルシンクライアントによって、富士通は軽量かつスタイリッシュなモバイルシンクライアントにより、それぞれ伸長していると分析している。

 また、デルは前年比17.5%増、Atrustも前年比14.1%増と成長しており、上位4社のシェアが86.7%を占めている。

 IDC Japan PC、携帯端末&クライアントソリューション シニアマーケットアナリストの渋谷寛氏は、「2019年は、超大型案件の更改、Windows7 EOSにおける買い替え需要、働き方改革、製品品質向上と機能拡充によって、市場は大きく拡大した。2020年は、その反動でやや減少する可能性があるものの、一定の需要は確保できるであろう。企業/政府/自治体/学校などが、シンクライアントの特性をうまく使いこなせば、働き方改革にも貢献できると考えられる」と述べている。

国内シンクライアント専用端末市場 ベンダー別 出荷台数シェア、2019年(出典:IDC Japan)