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シャープ、Office 365と容易に連携可能な70V型4Kタッチディスプレイ「PN-CD701」

Windows collaboration display認証を取得した初の製品

 シャープ株式会社は22日、業界で初めて「Windows collaboration display」の認証を取得したタッチディスプレイ「PN-CD701」を発表した。3月から販売を開始する予定で、市場想定価格は103万円(税別)前後。

 Windows collaboration display認証は、米Microsoftが定めたビジネス用途向けIWB(Interactive Whiteboard:電子黒板)の規格。Windows 10搭載PCと接続し、Office 365などのクラウドサービスと連携することにより、生産性の高いビジネスコラボレーションを実現するという。

PN-CD701

 2018年6月にコンセプトが発表されていたが、シャープは業界で初めて同認証を取得して製品化。2019年のCES 2019で初めて参考展示し、2019年10月に欧州にて販売を開始していた。なお今年のCES 2020でも、Windows collaboration display認証製品がシャープブースに展示されていた。

 今回、日本での販売を開始するのに続き、今後は米国および日本以外のアジアでも販売する予定だ。国内外を含めて月産1000台、そのうち国内向けで200台を目指すとした。

Windows collaboration display認証製品は、CES 2020でもシャープブースに展示されていた

Microsoft製品と連携した大型タッチディスプレイ

 PN-CD701は、70V型の高精細4Kパネルを搭載。Windows 10搭載PCと接続することで、Office 365と連携し、Microsoft Whiteboardなどのアプリケーションを利用できる。また、標準搭載しているカメラとマイクを利用し、エコーやノイズの少ないクリアな音質で、Microsoft Teamsを使った会議をすぐに始められるという。このほか、PowerPointでの効果的なプレゼンテーション、Microsoft Whiteboardでの遠隔地と結んだディスカッション、Outlookによるスケジュール管理も可能になるとのこと。

画面上部にはカメラを設置している
Windows collaboration display認証を取得

 「認証においてはオーディオ機能などの項目で審査が行われ、それらをクリアした。会議をする上で快適な環境を実現する仕様になっている」(シャープ ビジネスソリューション事業本部 ビジュアルソリューション事業部 商品企画部の仁田均課長)。

シャープ ビジネスソリューション事業本部 ビジュアルソリューション事業部 商品企画部の仁田均課長

 4Kの解像度を持つことから、図表やデザイン画などの微細な文字や線を鮮明に表示できるほか、静電容量方式のタッチパネルにより、高速応答で快適なタッチ操作を可能にしているとのこと。「ペン先が2mmのタッチペンを使用。ダイレクトボンディングにより視差が少なく、小さな文字や細い線が書きやすいといった特徴もある」とする。

 さらにモーションセンサーを搭載しており、本体に近づくとスリープから自動で復帰する仕組みを搭載した。

タッチペンでの書き込みができる

 8メートルのUSB Type-Cのケーブルが同梱され、標準規格を超える長さでのケーブル接続も実現している。なお、映像、タッチ信号、ネットワーク接続、ノートPCへの電源供給までを一本で可能にしているとのこと。もちろん、ワイヤレス接続にも対応する。

Windows 10搭載PCと接続して利用する
8メートルのUSB Type-Cのケーブルを同梱

 シャープ ビジネスソリューション事業本部 ビジュアルソリューション事業部の山本信介事業部長は、「Office 365やさまざまなアプリケーションと効果的に連携するとともに、シャープが(電子黒板の)BIGPADで培ってきた技術やノウハウを活用して、使いやすさを追求。コミュニケーションハブとして利用できる。将来的にはIoTセンサーを活用したクラウドサービスへの展開を図る」という。

 IoTセンサーを用いると、温度や湿度のほか、二酸化炭素濃度などを計測して会議室の環境データを収集できるため、シャープでは、これらのデータを活用して会議室の環境改善に生かせるサービスを提供予定だ。

右上にはIoTセンサーを設置している
シャープ ビジネスソリューション事業本部 ビジュアルソリューション事業部の山本信介事業部長

 なおタッチディスプレイ市場は、2020年は180万台の市場規模が想定され、2023年には220万台の規模にまで拡大すると予測されている。山本事業部長は、「教育向けの製品よりも、ビジネス向けの成長率の方が高く、ビジネス向け分野は2023年までに約70%の成長が見込まれている。令和に入り、テレワークやモバイルワークが浸透するとともに、クラウド活用を前提に設計されたタッチディスプレイが求められている」と説明。

 製品の販売戦略として「対象となるのは企業。すでにWindows 10を導入している企業やMicrosoft Teamsを導入している企業に販売するほか、Windows 10搭載PCとのセット販売の提案も行っていく」と述べた。

 また、「今回の製品は、コミュニケーションを促進する快適なワークプレイスを実現し、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方に対応したものになる。シャープは国内タッチディスプレイ市場において、半数を超えるシェアを獲得している。今後も、円滑なコミュニーションを促進する先進のワークプレイスを提案していく」とも話している。

 なお記者発表会には、米Microsoft グローバルデバイスパートナー部門チャネルエグゼクティブのパトリック・ブーヴェ(Patrick Bouvet)氏も同席し、同社からも説明が行われた。

 ブーヴェ氏は、「2020年には、作業者の72%の人たちがリモート環境で作業を行い、従業員の時間の80%がコラボレーションのために費やされている。だが、それにも関わらず、ビデオ会議システムが設置されている会議室は15%にとどまっている」と前置き。

 「Windows collaboration displayによって、組織が生産的な会議を行うことができるようになる。直感的にデバイスを接続でき、室内空間をモダンなコラボレーション空間に変えられ、共同作業を行えるようになる。また、Windows collaboration displayのIoTセンサーを活用することで、データの収集やインサイトの把握も可能になる。作業空間をよりスマートにでき、費用の節約も図ることができるというメリットもある」と、その価値を説明した。

 また製品については、「Microsoft Teamsのエクスペリエンスを最大限に活用できるものであり、両社のチームが協業し、世界で営業活動、マーケティング活動、トレーニングの提案などの活動を行っていく」と話している。

米Microsoft グローバルデバイスパートナー部門チャネルエグゼクティブのパトリック・ブーヴェ氏