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キヤノンITS、LuxFluxの統合ハイパースペクトル画像処理ソフトを提供開始

 キヤノンITソリューションズ株式会社(以下、キヤノンITS)は9日、独LuxFluxと販売代理店契約を締結し、同社の統合ハイパースペクトル画像処理ソフトウェアの提供を12月上旬に開始すると発表した。価格はオープン。

 LuxFluxの統合ハイパースペクトル画像処理ソフトは、紫外~可視~赤外の光の領域のうち、数十以上の波長から分光イメージングデータを得られるカメラ(ハイパースペクトルカメラ)およびそのデータを解析する、ハイパースペクトルイメージング(HSI)技術を中心としたデータ処理を行う汎用的な産業用ソフト。機械学習(AI)による解析・測定モデル開発ができ、製造ラインにおいて対象物の可視化、分類、測定ができる。

 従来、ハイパースペクトルイメージング技術は、対象物の分類を中心に活用されていたが、LuxFluxのソフトは分類用途に加えて、薄膜の厚さや、薬や食品など対象物の成分量を測定できるため、今まで難しいとされてきた半導体、フィルム、素材、FPDなどの製品検査で活用できるとしている。

ハイパースペクトルイメージング技術を利用した可視化例

 製品は、開発環境「fluxTrainer」と実行環境「fluxRuntime」で構成される。fluxTrainerは、ハイパースペクトルカメラで撮像した大量のデータの中から波長分類(特徴量抽出)をし、ハイパースペクトルデータに含まれる膨大な光学情報を網羅的に処理できる。AIを用いた学習モデル生成が可能なため、ユーザーが検証作業を容易に行える。

 fluxRuntimeは、fluxTrainerで生成した学習モデルをもとに、リアルタイムで対象の判定をする実行環境のソフト。キャリブレーションや対象の位置補正、コントローラやPLC(Programmable Logic Controller)との連携も可能。精算・検査ラインで得られた結果をチューニングできるため、従来の研究用解析ソフトでは考慮されていなかった生産現場の業務でもスムーズに活用できる。

 キヤノンITSでは、従来の可視光では不可能な用途に活用できるハイパースペクトルデータの産業利用・AI化の画像処理市場を創出し、LuxFluxの製品群の販売で2022年に売上1億円を目指すとしている。