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ミツウロコCSとNEC、LPガスの検診自動化と配送効率化に向けた実証実験の結果を発表

配送回数・平均配送業務時間を約3割削減

 株式会社ミツウロコクリエイティブソリューションズ(以下、ミツウロコCS)と日本電気株式会社(以下、NEC)は、名古屋市において、LPガスの検針業務自動化および配送業務効率化に関する実証実験を2018年10月から2019年9月にかけて実施していたが、その結果を11月20日に発表した。

 それによると、両社が共同で開発したLPガスメーターの情報提供サービス「LPガスメーター指針値提供サービス」(2019年2月発表)を活用し、検針業務を自動化して日次でガス残量を正確に把握した結果、従来のガス残量の予測に基づく配送に比べて、配送回数・平均配送業務時間ともに約3割削減できたという。

実績値に基づいたガス残量の把握で配送業務の効率化を図る

 LPガス配送事業者では、月1回のLPガスメーター検針値や過去の消費実績から、LPガス容器内のおおよそのガス残量を予測し、LPガス容器の配送計画を立案している。多くのLPガス配送事業者は、消費者宅に2系統(供給側・予備側)を設置しているLPガス容器を交互に交換し、おおよそのガス残量予測で生まれる非効率な部分を許容することで、ガス切れリスクを回避しているという。

 しかし、人手不足が深刻化するなかで、ガス業界でも人員確保が困難な状況が生じており、検針員とLPガス容器配送員の不足が深刻な問題になっているとのこと。

 今回の実証実験は、こうした課題を踏まえ、日次で取得したLPガスメーター指針値から、予測値ではなく実績値に基づいてLPガス容器内のガス残量を正確に把握することで、配送業務の効率化を目指して行われている。

 具体的には、「LPガスメーター指針値提供サービス」を活用し、LPガスメーターの指針値を遠隔から網羅的かつ高頻度に自動取得。LPガス残量を日次で把握するとともに、LPガス容器を全量(2系統)交換することで、検針業務の自動化と配送業務の効率化が可能かどうかを検証した。

実証実験システムの概要

 その結果、検針業務の自動化については、「LPガスメーター指針値提供サービス」を用いた、所定の検針日における取得率が99.7%(2019年9月)となり、自動取得した指針値と、検針員による従来の検針で取得した指針値の差異は0件(2018年10月~2019年9月)だったという。

 一方で、予測に基づく従来の配送計画と、指針値の自動取得による実績に基づく新しい配送計画とを比べた場合、配送回数は2568回から1820回へと減少。残ガス率も16.6%から7.8%へ、配送本数に関しても4430本から4093本へ、それぞれ減少したとしている。

 また前年同月との比較では、平均配送業務時間(時間/日)が9.4時間から6.5時間へ、平均走行距離(km/日)も105.8kmから84.1kmへと減少している。

 両社は今後も、今回の実証で得られた成果の分析と現場への活用を引き続き進めるとともに、AIを活用した効率的な配送ルートの自動構築に向け、開発を進めていくとのことだ。