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日立、スケールアウト型フラッシュストレージなどインフラ製品を強化

エッジからクラウドまで、コンポーザブルな製品・サービス群としてラインアップを刷新

 株式会社日立製作所(以下、日立)は10日、ストレージおよびサーバー、クラウド関連サービスを刷新し、同日より順次販売開始すると発表した。

 新製品群は、スモールスタートが可能なスケールアウト型フラッシュストレージ「Hitachi Virtual Storage Platform(VSP)5000シリーズ」、エッジでのデータ処理や分析に特化したエッジアナリティクスコンピュータ「HA8000Eシリーズ」のほか、プライベートクラウド環境の導入を容易にする「IT基盤ユーティリティーサービス」、適切な運用コストでデータ利活用を促進する「ITリソース最適化支援サービス」などのクラウド関連サービスで構成される。

 日立ではこれらの新製品群を、システム基盤の刷新による「デジタル基盤を支える」、デジタル対応商材の強化による「データの価値を高める」、クラウド連携の強化による「多様な環境をつなぐ」の3つの観点から、柔軟な構成が可能なコンポーザブルなITインフラ製品/サービスと位置づけており、IT/OTデータの収集から蓄積、統合、分析までのさまざまなシーンにおけるデータ運用を支援。顧客のデジタル基盤を支え、データの価値を高めるとともに、エッジからクラウドまでのシームレスなデータ運用を実現することで、企業のデジタルトランスフォーメーションに貢献できるとしている。

スケールアウト型フラッシュストレージのHitachi VSP5000シリーズ

 新製品のうち、スケールアウト型フラッシュストレージのHitachi VSP5000シリーズでは、データセンターにおける安全で高速なデータ統合、蓄積、分析を支援する。日立 サービス&プラットフォームビジネスユニット ITプロダクツ統括本部事業主管の位守弘充氏は、「高性能で、高信頼性なデータ利用環境を実現し、オンプレミスからクラウドまでのシームレスなデータ利用、マルチクラウド環境でのリソースの効率利用が実現できる」と特長を説明した。

日立 サービス&プラットフォームビジネスユニット ITプロダクツ統括本部事業主管の位守弘充氏
Hitachi Virtual Storage Platform5000シリーズ

 また、日立 サービス&プラットフォームビジネスユニット ITプロダクツ統括本部プロダクトビジネス本部の後藤照雄本部長は、「スケールアウト型のアーキテクチャを採用することで、柔軟性を実現。多くのワークロードとの統合が可能になっている。さらに、独自のインターコネクトスイッチを採用することで、多数のコントローラ間でのデータ転送を効率化。NVMeドライブをSASドライブと混在できる環境の実現も他社との差別化になる。従来モデルであるVSP F1500に比べて、性能は2.3倍、スケールアウトは6倍に高めている」とした。

日立 サービス&プラットフォームビジネスユニット ITプロダクツ統括本部プロダクトビジネス本部の後藤照雄本部長
NVMeドライブをSASドライブと混在できる
新アーキテクチャの採用などで性能を大幅に向上

 このほか、運用面におけるメリットを、「Hitachi Storage Plug-in for Containersにより、コンテナ管理ソフトと連携してデータの永続化を実現。開発者はコンテナにボリュームを割り当てることができ、デジタルビジネスを支えるアプリケーション開発を可能にしているほか、開発から本番環境への移行も容易にしている」(後藤氏)とアピール。

データ永続性のあるアプリケーションの開発環境を構築可能に

 可用性やセキュリティでの強みについても、「99.999999%の可用性を実現しており、二重障害の発生時でもデータアクセスを維持できる。また、データ保護、管理インターフェイスの堅牢化、暗号化の強化の組み合わせにより、データ漏えいやデータの改ざんを防止。1024世代のバックアップが可能であり、マルウェアの長期潜伏にも対応できる」(後藤氏)と説明した。

可用性とセキュリティが大幅に向上しているという

 今後は、エンタープライズ向けのSDS(ソフトウェア・デファインド・ストレージ)技術を活用したIoT向け分散ファイルストレージを提供するサービスや、AIを活用したITインフラ運用の自律化を実現する運用管理ソフトウェア「Hitachi Ops Center」を提供する姿勢を明らかにした。

今後のポートフォリオ強化

 Hitachi Ops Centerは、AIを活用して、予兆検知と自動解決を図るほか、API連携によるハイブリッドクラウド管理を実現。IT関連費用の80%を占める維持運用コストを削減し、デジタルビジネスの推進に貢献できるとのこと。

 後藤氏は、「市場変化のスピードや複雑さに追随できる俊敏性や柔軟性、デジタルビジネスの継続を支える堅牢性、AIを活用した運用管理の自動化、運用容易化を実現できる」と説明した。

 また位守氏は、「AI技術を活用し、マルチクラウド環境におけるITリソース全体の運用の自律化を実現。ビジネス状況に応じて、柔軟なデータの利用を支援する製品群を順次拡充する」との方針を示している。

Hitachi Ops Center

エッジアナリティクスコンピュータ「HA8000Eシリーズ」

 エッジアナリティクスコンピュータのHA8000Eシリーズは、エッジでのリアルタイム分析からセンター側の詳細分析までの、シームレスなデータ運用を支援し、事業に求められるスピードや重要度に応じたデータ活用環境を構築できる。

 「多様なIoTデータ収集に対応し、大量データの蓄積や高速アクセスへの対応や、ミッションクリティカルシステムを支える高信頼サーバーと長期サポート、高度サポート体制の継続が可能になる。日立SDSを搭載したHCIにより、データ収集から分析基盤までの構築をトータルで支援。高信頼なデータレイク基盤を実現できる」(位守氏)とした。

 具体的には、OT接続テンプレートや高い耐環境性、有線および無線接続による「容易な接続」、サーバークラスの高性能とエッジ上での分析処理を行うほか、エッジでデータを加工し、転送量や回線コストを削減できる「リアルタイム分析」、コスト最適化やエンタープライズ向けの高信頼、高性能の実現、データ活用の容易化を行う「データレイク構築」の3つの特徴を持つという。

HA8000Eシリーズ
IoTデータ基盤の強化を図る

ITリソースの柔軟な活用を可能にする新サービス

 「ITリソース最適化支援サービス」では、多様なIT環境におけるリソース状況の見える化や、その最適構成を経営層に提案。IT投資の最適化や適切なデータ運用コストでのデータ利活用を可能にする。

 「ダッシュボードにより、問題個所の特定を容易化しており、アプリケーション層における問題点も特定できる。日立のマネージドサービス運用ノウハウを活用した最適配置分析チャートにより、容量や性能リスクだけでなく、コストも考慮したバランス最適化を提示できる点が特徴」(後藤本部長)という。

 また位守氏は、「クラウドを含めたITリソース全体を稼働状況に応じて最適利用できるほか、さまざまなクラウドサービスを使用量に応じたITコストで利用できる。また、用途に応じてクラウドサービスを容易に使い分けることができる。これらのサービスを利用することで、各種のLumadaソリューションのシステム基盤を構築する際に、高信頼性で、運用負荷の少ない基盤構築を適切なコストで実現できる」とした。

 このほか、日立のストレージやサーバーを月額料金で提供する「IT基盤ユーティリティサービス」、システム移行の設計、構築、運用を支援する「パブリッククラウド移行支援サービス」、日立のストレージをEquinix IBX DC上で提供し、パブリッククラウドとの高速アクセスを実現する「ストレージボリューム提供サービス on Equinix IBN DC」を提供することも発表されている。

 日立では、これらの活用により、最適なITリソース配置の提案、最適なクラウド基盤の提供、クラウド間の移行支援が可能になるとした。

ハイブリッドクラウドを使いこなすための新サービス群を提供

 「デジタルトランスフォーメーション(DX)に多くの企業が取り組んでいるなか、日立はOT、IT、プロダクトの強みをLumadaに集約し、これらの企業を支援している。今回の製品群は、Lumadaの価値創出を加速するITインフラの強化になる。今後も、ラインアップを強化していくことになる」(位守氏)。