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Dockerコンテナ/Kubernetesに関するユーザー導入調査、コンテナを本番環境で使用している国内企業は9.2%~IDC Japan調査
2019年7月4日 12:42
IDC Japan株式会社は3日、コンテナインフラストラクチャソフトウェアのDockerコンテナ(以下、コンテナ)とコンテナオーケストレーションツールのKubernetesの導入状況に関する調査結果を発表した。
調査は、2019年4月に国内の企業および組織468社に対してアンケートを実施したもの。コンテナの導入状況については、本番環境で使用している企業は9.2%で、2018年調査からの上昇率は1.3ポイントにとどまった。また、導入構築/テスト/検証段階にある企業は16.7%で、これも2018年調査からわずかな上昇となった。
IDC Japanでは、Dockerコンテナは導入構築やテスト/検証に時間を要し、本番運用になかなか移れていない状況にあると考えられると分析。また、使用を計画、検討している企業と情報収集や調査を行っている企業の割合は2018年調査からやや低下しており、この傾向は、導入意向のある企業とそうでない企業がはっきりしてきているため、具体的な導入に向けた検討や調査の段階に移ってきていることが考えられるとしている。
コンテナを本番環境で使用している企業と導入構築/テスト/検証段階にある企業を対象とした、Dockerコンテナ環境で使用しているコンテナオーケストレーションツールについての調査では、45.5%の企業がKubernetesを使用していた。その次に多く使用されているのがベンダーディストリビューションであるRed Hat OpenShift Container Platform(以下、Red Hat OpenShift)の19.8%で、Red Hat OpenShiftではコンテナオーケストレーションツールとしてKubernetesが採用されているため、Kubernetesがコンテナオーケストレーションのデファクトスタンダードになっているとしている。
コンテナを導入している環境についての調査では、オンプレミスが45.5%、IaaSが31.4%、PaaS/CaaS(Container as a Service)が23.1%。IaaSとPaaS/CaaSを合わせると54.5%となり、クラウドサービス上に導入している割合が半数を超える結果となった。
コンテナの導入促進要因については、回答率が最も高かったのは「インフラの使用効率向上とコスト削減」の34.7%で、コンテナは仮想マシンに比べて軽量で集約率が高く、コスト削減にもつながるとしている。次に回答率が高かったのは「開発者の生産性の向上」の30.6%で、開発環境やテスト環境を容易に用意できることや、開発環境の差異をなくすことができるなど、コンテナは開発者にとって大きなメリットがあるとしている。
3番目以降は、「アプリケーションの信頼性/可用性の向上(28.1%)」「アプリケーション運用の効率向上とコスト削減(28.1%)」「アプリケーション開発/リリーススピードの向上(27.3%)」が続き、アプリケーションに関する効果がコンテナの導入を促進する主な要因になっているとしている。
IDC Japanのソフトウェア&セキュリティ リサーチマネージャーである入谷光浩氏は、「コンテナはアプリケーション開発の生産性やアプリケーション能力を大きく向上させる技術であり、クラウドネイティブアプリケーションには必須である。しかし、現在の国内市場において、コンテナはまだキャズムを超えられていない。一方で、CaaSのようなコンテナとKubernetesの導入が容易なコンテナ向けクラウドサービスや、ベンダーとSIerのコンテナ導入支援サービスが充実してきており、導入に苦労している企業やPoCで止まっている企業にとって強い味方になるであろう。来年までにはキャズムを超え、コンテナの本格的な普及期に入っていくであろう」と述べている。