ニュース

シュナイダーエレクトリック、工場内の機械データを見える化するクラウドサービス「マシンアドバイザー」

 シュナイダーエレクトリック株式会社は、生産現場の機械を常時監視するクラウドベースのサービス「EcoStruxure(エコストラクチャー) マシンアドバイザー」(以下、マシンアドバイザー)を6月3日から提供開始した。

 生産現場をIoT化することで実現する機械監視は、稼働状況の把握によって事前に故障検知が可能となるため、メンテナンスコスト削減につながるなど、工場機械を生産しているメーカーにとっても、工場で機械を使っている企業にとってもメリットがある。しかし、IoT化を実践するためにはITの知識やノウハウが必要となるため、実践している企業は限られているという。

 そこでシュナイダーエレクトリックでは、アカウントを作れば即利用可能にするなど、導入のハードルを下げたIoTサービス「マシンアドバイザー」をサービス化した。カスタムメイドで作り上げるのではなく、多くの機器と連携し、すぐに利用できるようにソフトウェアをセットしたレディメイド形で提供する。

 低コストで、簡単に利用できるサービスを提供することにより、これまではIoT導入に二の足を踏んでいた中小企業などの参入を促すことが狙いだ。

EcoStruxure マシンアドバイザー

クラウドベースの機械常時監視サービス

 シュナイダーエレクトリックは、「エネルギーマネジメントとオートメーションのデジタルトランスフォーメーション(DX)をリードする」という方針で、電力マネジメント関連の事業と共にインダストリー関連事業を展開している。

 今回のマシンアドバイザーはインダストリー事業に属するもので、「IoT時代となり、機器をつながるモノへと変化させていくための活動を行ってきた。今回の発表は、アプリ・アナリティクス・サービスというレイヤーのひとつだが、機械メーカーに向けたサービスとなる」(シュナイダーエレクトリック 日本統括代表の白幡晶彦氏)と説明している。

シュナイダーエレクトリック 日本統括代表の白幡晶彦氏

 サービスの最大の特徴は、最短半日と導入までの期間が短く、従量課金制で低コストになっている点。また、シュナイダーエレクトリック製品を組み合わせないと利用できないといった制限がなく、幅広い製品の一元管理と監視が可能である点だ。

 「データ収集はできるようになってきたが、活用は進んでいない。活用していくためには、ビジネスモデルや社内の考え方を変えていく必要があるが、大きな投資をしてそれを実践するのは難しいのが現状ではないか。そこで今回提供を始める『マシンアドバイザー』は、工場など生産現場の製造機械に関する各種データをクラウドに収集・管理することで、データの一元化を実現し、機械の運用とメンテナンスの簡便化を実現する」(シュナイダーエレクトリック インダストリー事業部 川田学氏)という。

 また、「当社のユーザーの60%がグローバル展開をしているが、海外でフィールドサービスができているところはまだ少ない。新サービスを利用してもらうことで、価値を上げてもらうことを狙う」とした。

シュナイダーエレクトリック インダストリー事業部の川田学氏
収集されたデータのうち10%しか利用されていないという

 サービスの主な中身は次の3つ。

 1)「トラック」サービス
機械の設置場所をマップ上に表示し、機械種別テンプレートの作成や構成部品などをシステム構成図として管理する。BOM、マニュアルなどの書類やHMI、PLCプログラムなどの保管、メンテナンスログの記録、あらかじめ設定してある機械の保全タスクの管理などを行える。

主な特徴
「トラック」サービス

 2)「モニター」サービス
機械/設備データの収集と監視を行う。ベンチマーク、KPIなど各種データをダッシュボードとして表示でき、ダッシュボードでは、各種部品を対話的インターフェイスで自由に追加・削除可能。収集したデータの過去トレンド参照、収集したデータの各種演算とアラーム設定など、動的な情報を扱い、現在動いている機械の状態を見える化する。

 (3)「フィックスサービス」(2019年末に提供開始予定)
機械の制御機器と暗号化通信で接続し、ソフトウェアの遠隔修正を行うサービス。

「モニター」サービス

 機械メーカーにとっては、海外にある機械の確認が容易にできるようになる、サービスモデル実現が容易に行えるなどのメリットがある。一方で、機械を利用している工場にとっても、ダウンタイム削減、稼働率向上、部品などの機器管理の効率化、操作マニュアルなど機械に関する情報の一元管理などが行えるメリットがあるとした。

常時監視によるメリット

 価格は、トラックサービスは無料。モニターサービスは重量課金方式で、1機械×1データ×1カ月(1分更新)が約100円。機械3台までは無料となる。なお、1機械あたりの年間利用料金は2万円程度になるとのこと。フィックスについては、サービス開始時に料金を公開予定だ。

価格

 欧州では2018年5月からサービスを開始し、2018年は接続機械数がトラック515台、モニター165台で、2019年には全世界で5000程度の接続数となる見込み。

 日本でも展示会などで先行公開しており、「早く日本でサービスを始めて欲しいという声ももらっている。反応が良いのは、リスクを懸念するところよりもIT寄りの先進的なサービスに興味が高い企業」という。