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IPテレフォニーなどの国内UC&C市場、2018年は前年比6.0%増の2813億円規模に~IDC Japan調査
2019年5月20日 16:40
IDC Japan株式会社は20日、国内ユニファイドコミュニケーション/コラボレーティブアプリケーション(UC&C)市場について、2018年の同市場の分析と2019年~2023年の市場予測を発表した。
IDC Japanでは、国内UC&C市場を「IPテレフォニー」「コラボレーティブアプリケーション」「IPコンファレンスシステム」「IPコンタクトセンターシステム」の4つの市場に分類し、分析と市場予測を行っている。
2018年の国内UC&C市場は、ベンダー売上額ベースで前年比成長率6.0%の2813億1600万円と推定。今後は、働き方改革によるリモートからの業務遂行需要の継続により、2018年~2023年の年間平均成長率は2.4%、2023年の市場規模は3173憶900万円に成長すると予測している。
分野別では、2018年のIPテレフォニー市場は前年比0.6%増の876億7900万円で、2016年~2017年は売上額ベースの市場規模がマイナス成長となったが、2018年は官公庁/自治体などでの大型案件があり、プラス成長に転じたと分析。2019年から2020年の前半にかけては、ラグビーワールドカップ、東京オリンピック/パラリンピック開催に向けた音声通信基盤整備の需要が活発になり、市場はプラス成長を維持すると予測している。一方、2020年後半以降は、2019年までに更新した音声基盤への投資が減速し、再びマイナス成長になると予測している。
2018年のコラボレーティブアプリケーション市場は、前年比13.2%増の954億3100万円で、好調に推移した。好調の要因は、政府/民間をあげて推進されている「働き方改革」によるモバイル環境での電子メールシステムやグループウェアシステムの活用を背景とした、ファイル同期/共有ソフトウェアなど、クラウド主体の市場の成長であると分析している。2019年以降も、労働人口減少/人手不足対策などによりこの傾向は継続し、クラウド化したコラボレーティブアプリケーション市場が成長拡大していくことで、堅調な市場成長を維持すると予測している。
2018年のIPコンファレンスシステム市場は、前年比5.1%増の422億6700万円。同市場は、大規模ビデオ会議システム導入の一巡感により、小規模システムへのシフトが2017年から発生しているが、ウェブ会議サービスは依然として高成長を維持しており、働き方改革によるリモートサイトからの業務遂行を目的としたビデオコミュニケーションのパーソナル化が進んでいると分析している。2019年以降は、東京オリンピック/パラリンピック向けのビデオを活用した顧客サポート/ビデオによる監視などの大規模需要が見込まれることや、働き方改革の推進によるリモートからの業務量増加に伴い、堅調に成長すると予測している。
2018年のIPコンタクトセンターシステム市場は、前年比4.2%増の559億3900万円。同市場は、2016年以来、案件の長期化や小型システムの増加により成長が鈍化していたが、2018年は大型案件の受注があったため、成長率が増大したと分析。2019年~2020年は東京オリンピック/パラリンピック向けの顧客サポート強化需要が見込まれ、堅調な成長を予測するものの、国内イベント後の2020年後半以降は、前年までの投資の反動やクラウドサービスへの移行加速に伴い、成長率は鈍化すると予測している。
また、国内UC&C市場ではクラウド化が加速しており、SaaS型UC&Cサービスの市場は、2018年~2023年の年間平均成長率が6.2%と、国内UC&C市場全体の成長と比較して高い成長率で推移すると予測している。
IDC Japan グループディレクターの眞鍋敬氏は、「国内ユニファイドコミュニケーション/コラボレーション市場が今後も成長していくために、ITサプライヤーはUC&C機能を提供するプラットフォームの統合、アプリケーション間のデータ連携、働き方改革を軸としたUC&Cによるビジネスコミュニケーションをパートナーと共にいっそう進めるべきである」と述べている。