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NTT Comの2019年度事業戦略、顧客のDX実現に貢献するサービス群を強化・拡充
2019年4月9日 16:16
NTTコミュニケーションズ株式会社(以下、NTT Com)は9日、2019年度の戦略説明会を開催した。代表取締役社長の庄司哲也氏は、NTT Comの2019年度の戦略として、データ利活用を支えるサービス群の強化・拡充により、顧客のデジタルトランスフォーメーション(DX)実現に貢献する“DX Enabler”として、NTTグループが取り組んでいる「Smart World」の実現による企業・社会の持続的成長を目指すとした。
NTT Comの2019年度の戦略については、データ利活用によって顧客のDXを推進するサービス群と、データ利活用の基盤となるインフラサービス群という、2種類のサービス提供を拡大していくと説明した。
データ利活用によって顧客のDXを推進するサービス群については、日本語に強みを持つAIサービス「COTOHAシリーズ」に今後も新たなサービスを追加していくことや、サブスクリプションビジネスを展開する企業向けの支援サービスを今秋から提供を予定することを紹介。また、企業にとって重要となるデータマネジメントに必要なサービスや機能を、NTTグループやパートナー企業とともに提供していくとした。
データ利活用の基盤となるインフラサービス群については、企業にとってはデータの価値に応じて最適なデータの配置場所を選択することが重要となっており、データの種類、保管場所、立地、接続方法といった全体を可視化し、管理・運用できるサービスを提供していくと説明。3月に株式取得が完了したフランスのMVNE/IoTモバイル通信事業者Transatelのサービスなども活用し、グローバルでのIoTトータルソリューション提供力を強化していくとした。
8日には、設定内容の遠隔管理が可能なeSIMを活用した、グローバルなIoTビジネスの展開を実現するモバイル通信サービス「IoT Connect Mobile」の提供を発表。さらに今秋には、コロケーションやプライベートクラウド、パブリッククラウドといったデータの保存先と、VPNやWi-Fiといったネットワークに対して、データの種類に応じた経路の設定やトラフィック全体の可視化を実現する「Flexible InterConnect」も提供を予定していることを紹介した。
NTT Comのネットワークサービスは190以上の国/地域で展開され、通信ケーブル容量は16.6Tbpsに達したことを紹介。また、データセンターは20以上の国/地域で展開し、サーバールーム面積は40万㎡以上に拡大した。2018年度には、日本の「東京第10データセンター」や、インドの「ムンバイ 6 データセンター」「バンガロール 3 データセンター」を開設したが、2019年度にはさらに世界で6カ所のデータセンターの開設を予定する。
また、マネージドサービスについても強化。NTT Comでは、「Global Management Oneサービス」としてマネージドサービスを提供しているが、新たにServiceNowとの提携による「Global Management One ITSM Platform」を、運用プラットフォームをSaaS型で提供するメニューとして、セルフマネージドを志向する顧客向けに追加するとした。
7月には事業再編、NTT Com自身も変化を進めていく
庄司氏は、NTT Comは1999年のNTT再編に伴い、長距離、国際、インターネット通信の会社として発足しており、今年の7月には創立20周年を迎えることを紹介。当時はブロードバンドや携帯電話の普及期であり、企業や家庭にインターネットが浸透した時代だったと振り返った。
その後、2010年代前半には、企業におけるクラウドの普及があり、ICT資産は「所有」からサービスの「利用」へと移り変わり、ICT投資を抑えたビジネス拡大の流れを受けて、日系企業のグローバル進出が活性化。こうした企業の当時の経営課題であったグローバルガバナンスの強化に向けて、NTT Comでも「Global Cloud Vision」を戦略として掲げ、グローバル統一のメニューを持つサービスを中心としたソリューションの提供を行ってきたとした。
さらに、2010年代後半になると、Amazon Web Services(AWS)やMicrosoft Azureといったハイパースケールプロバイダーが台頭し、マルチクラウド・ハイブリッドクラウドが一般化する一方で、企業にとってはICT環境の複雑化が課題になっていると説明。また、仮想化技術やAI、IoTの急速な発達により、クラウドネイティブ企業が出現し、異業種参入や規制市場をディスラプトするスタートアップ企業の活発化といった状況にあるとした。
こうした中、2010年代後半のNTT Comの戦略は、企業の経営課題であるビジネスプロセス改革とビジネスモデル創出に対応するため、「Transform. Transcend.」をスローガンとして掲げ、Software Defined技術を活用した柔軟で迅速なICTの強化、複雑なICT環境に対応した管理・自動化機能などの強化、AI/IoTサービスの提供など、顧客のDX実現をサービス・ソリューションの提供に取り組んでいるとした。
この間にはNTT Com自身の事業構造も変化しており、2001年度には音声・データ通信関連事業が収益の87%を占めていたが、2017年度には57%にまで縮退しており、これに変わってクラウドやマネージドを含むソリューション事業が12%から42%に拡大。また、国内と海外の収益比率も、2001年度は海外が7%だったものが2017年度には25%にまで拡大したと説明。2024年には固定電話、マイラインの廃止も予定されるといった状況もあり、NTT Com自身がさらなるトランスフォームを推進していく必要があるとした。
また、7月にはNTTグループの再編により、NTT ComはNTTセキュリティなどのグループ会社とともに、グローバル事業会社と国内事業会社に再編成される予定となっている。庄司氏は、「NTT Comは、顧客のDX Enablerとして、Smart Worldの実現に向けて取り組みを一層強化していく。7月のグローバル事業統合も、我々にとっては第二の創業と捉え、新しい企業理念やブランディングなどについて見直している最中だ」として、顧客に最大の価値を提供できるよう、体制を整えていくと語った。