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富士通、田中達也社長と社長就任予定の時田隆仁常務が会見
2019年3月28日 17:54
富士通株式会社は28日、社長交代を発表した。
6月24日付けで、執行役員常務の時田隆仁氏が代表取締役社長に就任。現・代表取締役社長の田中達也氏は取締役会長に、代表取締役副社長の塚野英博氏は執行役員副会長に就任する。
同じ6月24日付けで、代表権を持った副社長には、執行役員専務の古田英範氏、安井三也氏が就任し、3人の代表取締役体制となる。
なお3月28日には、現社長の田中氏と、社長就任予定の時田氏がそろって記者会見に臨んだ。
田中氏はこのタイミングで社長退任を発表したことについて、「就任以来、どの時期に退任するべきかを考えてきた。私が申し上げてきた、富士通の形を変え、質を変える取り組みのうち、形を変えることについては、コアとなるテクノロジーソリューション事業に集約することで、着実な成果が生まれつつある。一方、質を変える取り組みついては、新しいリーダーに引き継ぐベストタイミングという思いが強く、その旨を指名委員会に伝えた」と説明。自らが進めてきた社員のリソースシフトとの関連はないと話した。
時田氏は1962年生まれで、1988年に富士通に入社以来、金融分野のSIソリューション部門で生保、メガバンクを担当。その後、2017年からは金融部門を離れ、グローバルデリバリー部門で全世界8つのデリバリー拠点を統括する役割を担ってきた。
「金融担当の時代にはメインフレームからUNIX、Windowsサーバーの変遷を体験し、金融システム本部時代にはFinTechの波によって、従来のレガシーシステムからデジタル対応することをお客さまに望まれる体験をしてきた。富士通はお客さま第一主義で、お客さまに寄り添ってきた反面、次のアイデアを出してお客さまに新しい価値をお届けするのが不得意な部分がある。横の連携でこれらを改善し、グローバルビジネスについても、日本で展開しているような業種向けサービス提供などを進めたい」と抱負を話した。
社長交代について田中氏は、「以前から、私もオブザーバーとして参加している指名委員会で後任社長候補を議論する中、複数の候補者の名前を伝えており、時田もその1人となる。私の退任申し出を受け、指名委員会が選任したのが時田」と説明した。
時田氏によれば、「具体的な時期はお話できないが、指名委員会の小島(和人)委員長、山本(正已)会長の2人から(社長就任の)話を聞いた。もちろん驚いたが、大変光栄だとも感じた。迷いもあったが、2人と話をして覚悟を決めてお受けするという返事をした」という。
田中氏は現状の富士通が抱える課題として、「富士通には技術力、経験、ノウハウが蓄積されているものの、それが統合された形になっていない。新社長にはやはりここを強化し、統合化された形にして欲しい。後はやはりグローバル戦略。もっともっと富士通のプレゼンスをあげていかないといけない。時田さんは直前までロンドンに駐在し、グローバルでビジネスをした経験を持っている。グローバル体制の強化もお願いしたい」という2点を挙げた。
田中氏は、「営業利益率10%を達成する」という目標を掲げてきた。これは、「お客さまに提供できる価値が営業利益率に表れているのではないかと考えている。グローバルで戦うためには営業利益率10%が必要ではないかとも考え、こだわった」と説明。この営業目標率10%については、時田氏も「継続目標としたい」と話した。
時田氏は国内での課題として、「SIビジネスは、プロジェクトの失敗やトラブルが起こると担当者はネガティブになりがちで、お客さまの言うことを聞くだけがマインドセットになりがちな風潮がある。もうひとつ、富士通ではすべて自前にこだわってきた。しかし、今やすべて自前主義は成り立たない。むしろスピードが求められている。外の力、外の人との関係性を作ることが必要だが、富士通のSEはこれが下手なところがある。もちろん、たくさんのSEが海外製品を使って仕事をしている事実もあり、外部のものも活用していくというメンタリティに変えて行く必要がある」という点をあげた。
グローバルビジネスについては、「ご案内の通り、堅調とはいえない。これまではプロダクトに大きな比重を置いてきたが、ここはコンペティションが激しい分野でもある。デジタル化を進める際に大きな武器となる業種に対する知識を重視する方向へ変えて行く必要がある。同様のビジネスは日本でできているので、グローバルでも展開できるよう組織的なメカニズムを構築したい」(時田氏)と変化の必要性をあげた。
また、グローバル、日本ともに、「クラウド時代となり、プラットフォームだけ、サービスだけ、アプリだけといった単発では戦うことはできない。サービス、アプリ、プラットフォームを統合した形で提供し、外の力、特に海外のテクノロジーの知見を活用するために、語学も含めて取り組む必要がある」とも強調した。
なお、リソースシフトに続く人員削減について、時田氏も「今後も手を着ける可能性もある」と話している。