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NEC、カメラから顔や体の一部が見えない人物でも外観画像から高精度に照合する「人物照合技術」を開発

 日本電気株式会社(以下、NEC)は7日、カメラから顔や体の一部が見えない部分がある人物や後ろ向き・横向きの人物でも、全身の外観画像を用いて照合できる「人物照合技術」を開発したと発表した。

 開発した技術は、カメラに写った人物の服装や体型などの外観を分析することにより、それらが同一人物か異なる人物かを判定するもの。NECがこれまで顔認証技術などにより培ってきた映像解析技術と深層学習技術を用いることで、顔画像のみに頼らない高精度な技術を確立した。

 NECでは、従来、カメラ映像から人物を照合する場合、顔認証技術だけでは横向き・後ろ向きなどの顔の見えない人物に対応できない場合があり、顔認証技術による人物の判定後に、その人物の外観を複数のカメラ間で照合することが、解決手段のひとつとして考えられてきたと説明。しかし、施設内のように多数の人々や椅子、カウンターなどの遮へい物がある場合、把握したい人物の一部がカメラから見えない場合があり、照合が困難だったという。

 開発した技術では、深層学習技術に独自の工夫を行い、人混みや物陰がある環境など人と人、人と物の重なり、人物映像にカメラから見えない部分がある場合でも、その他の部分を自動的に選択し、それに基づいて人物を照合する。これにより、約9割と高精度の人物照合率を実現した。

 また、深層学習技術の効果的な利用により、複数のカメラで撮影された後ろ向きや横向きなどのさまざまな角度の人物を識別。これにより、顔が見えない場面でカメラ映像のみを用いた人物の照合を実現した。

 NECでは、今回開発した技術により、人や遮へい物が多く、人物の顔や体の一部が見えないような場所でも広範囲での人物把握が可能となると説明。技術の応用例としては、大規模施設内の警備支援や、顔認証技術との組み合わせによる迷子などの人物の捜索といったサービスが想定されるとして、技術を「NEC Safer Cities」の各ソリューションや、顔認証AIエンジン「NeoFace」を採用した商品群、NEC映像分析基盤などに2019年から順次展開していくとしている。