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FRONTEO、情報公開作業の効率化をAIで実現する行政機関・自治体向け「情報開示対応システム」を開発

 株式会社FRONTEOは4日、情報公開制度に基づく情報開示の作業を支援し、官公庁などの行政機関や自治体がより迅速に住民からの開示請求に対応しつつ、職員の労力を削減・作業を効率化する「情報開示対応システム」を開発したと発表した。

 FRONTEOは、米国での訴訟におけるディスカバリ(証拠開示手続き)支援を手がけており、米国では企業向けだけでなく司法省の公的機関や市などの自治体にも、対象となる文書の収集から分析、提出までの一連のワークフローをワンストップで行う独自のシステム「Lit i View」シリーズを提供している。

 FRONTEOでは、日本の行政機関では現在、年間約12万件もの開示請求が利用され、約11万件の情報開示が決定されており、行政機関によっては1日あたり平均50件~100件を超える請求に日々職員が対応していると説明。国民や住民の「知る権利」に応える情報開示の対応は重要な業務である一方、現在の開示方法は作業の効率性や精度に課題が見られていると指摘する。

 例えば、開示請求を元に、対象となる文書を選び出す作業において、キーワード検索を行うと、抽象度が高い内容では何度も検索しないと必要な文書が発見できず、多くの時間がかかってしまう場合があると説明。また、開示の際に文書内の個人情報保護を行う作業は、PC上で人が目視で確認しながら作業を行なっているという。

 開発した「情報開示対応システム」は、こうした作業を効率的かつスムーズに行い、省力化する。

 システムではまず準備プロセスとして、行政機関や自治体において、開示の対象となる期間や内容の記録を収集。分析を行う際に必要となるテキストデータ化されていない紙の文書はOCR(光学的文字認識)によりデータ化、またPDFや文字を含む画像などで認識できないものもテキストデータ化を実施する。また、同一項目、同一期間において、重複したデータが無いかを確認し、重複がある場合、1つを除いて分析の対象から除外するなどの前処理を行う。

 さらに、情報開示請求への対応プロセスとして、住民などからの開示請求が発生した場合に、前処理済みのデータの探索・分析を行う。

 請求の内容が具体的かつ限定されている場合は、日付などでの確認のほか、固有名詞などキーワードでの検索を行う。請求の内容がキーワード検索だけでは見つけることのできない“他の言葉を使っているが似た意味や文脈・ニュアンス”を持つ文書の発見には、FRONTEOが独自に開発した人工知能エンジン「KIBIT」を用いて、分析を行う。KIBITは、探している対象の候補となる文書を類似性が高い順番で提示する。

 開示対象の文書等が確認できた後、個人のプライバシーに関わる情報や機密情報などを開示する際に墨塗りを行う。必要と思われる箇所をシステムが自動的にあらかじめ指定し、職員が行う作業を大幅に削減する。また、今後、似たような請求があった場合に迅速に文書を取り出すことができるよう、請求時の要件を付加して案件を記録する。その後、PDF化を行い、請求があった住民に行政機関・自治体を通じて提出する。

 「情報開示対応システム」では、これらのの作業を一貫したワークフローで行うことができる。これらの技術は、FRONTEOが2005年から米国のディスカバリ支援のために開発したもので、現在も日々使用されていると説明。FRONTEOでは、システムの提供を通じて行政機関や自治体などの業務を効率化しつつ、情報公開制度の意義も実現する仕組みを提供し、行政サービスにおいても、AIが支援できることはAIを活用し、人にしかできない高度な業務を職員が注力できる環境づくりを目指すとしている。