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ミレニアル世代の働き方改革推進コミュニティ「MINDS」発足、2020年に向けた理想の働き方を実践

 日本マイクロソフト株式会社など8社は、ミレニアル世代の働き方改革推進コミュニティ「Millennial Innovation for the Next Diverse Society(MINDS)」を、2019年1月1日に発足すると発表した。

 発足メンバー企業は、味の素、カブドットコム、電通デジタル、日本航空、日本マイクロソフト、パナソニック コネクティッドソリューションズ社、東日本旅客鉄道、三菱自動車の8社。東京大学先端科学技術研究センターの檜山敦講師がアドバイザーを務める。

MINDS参画企業

 1980年代半ばから2000年代初頭までに生まれ、2000年代に成人を迎えるミレニアル世代の社員が業界の枠を超えて集まり、2020年に向けた理想の働き方を実践して、その学びを自社や社会に還元していくための活動を行う。

 日本マイクロソフト 執行役員常務 クラウド&ソリューション事業本部長兼働き方改革推進担当役員の手島主税氏は、「業界、会社の枠を超えたミレニアル世代が、多様性のあるコミュニティで創造性を高め、日本社会のイノベーション創出に対して、New Work Styleを実行することになる」とした。

日本マイクロソフト 執行役員常務 クラウド&ソリューション事業本部長兼働き方改革推進担当役員の手島主税氏

“1年間で結果を出す”ことにこだわる

 具体的な活動は、3つのフェーズにわかれるが、1年間で結果を出すことにこだわるという。

 第1フェーズは「お互いを知る」として、「各社における働き方の現状を知り、ミレニアル世代からの気づきをまとめる」ことに取り組む。参画各社のオフィスを互いに訪問し、気づきを共有。各社の働き方における課題をミレニアル世代の働き方を参考にしながらMINDSで議論し、実践内容を企画する。

 第2フェーズは「実践・検証」とし、「参画企業各社の代表者で構成されたミレニアルプロジェクトリーダーが議論して、実践内容を決定。その上で各社で実践し、その結果を検証する」という。

 具体的には、ミレニアル世代に対して年長の社員がメンターとなるリバースメンタリングや、実際の働く場面を体感するオフィスシェアなど、ミレニアル世代の考え方の浸透や業務実践を行う。このほか、チャットなどの新たなコミュニケーション手段を活用し、業務遂行にどのような影響があるのかを検証するなど、業務効率化を実現する働き方の実践、検証を行う。

 第3フェーズは「結果の共有、提言」と位置づけ、フェーズ2の結果をMINDS参画企業各社で共有するとともに、提案書をまとめて政府や経済団体などに提言する。

MINDSの活動予定

 MINDSコミュニティリーダーを務める日本マイクロソフト Microsoft 365ビジネス本部製品マーケティング部プロダクトマーケティングマネージャーの山本築氏は、「すでに発足メンバー企業から1人ずつのリーダーを選出し、4回のリーダー会を行っており、お互いに刺激を得ている。各社5人ずつを目安に参加者を募って活動を行い、50人規模での活動を想定している。参加者の平均年齢は30歳前後。MINDSの名称は複数のマインドが集まるという意味があり、業界の枠や年齢の枠などを超えて新しい働き方の実践と提言を行ったり、産学連携による学びの場も提供したい」とした。

日本マイクロソフト Microsoft 365ビジネス本部製品マーケティング部プロダクトマーケティングマネージャーの山本築氏

マイクロソフトは働き方改革Nextの観点から説明

 一方で、日本マイクロソフトの手島執行役員常務は、同社が取り組む「働き方改革Next」の観点からもこの活動を説明してみせた。

 「働き方改革をすることが重要ではなく、人の創造性を生かした企業のイノベーションの創造が重要である。そのためには、新たな企業文化の醸成や共感の創出、社員の創造性や人の洞察とテクノロジーの共創、従来からの規制・習慣からの脱却が、イノベーション創出のための3つの柱となる。今後3年間で、89%の仕事がデジタルテクノロジーによって変化すると見られている。より創造性を生かす仕事に集約されることになるだろう」と前置き。

 「そうしたなかで、新たなワークスタイルのために企業はなにをするかを考えるべきである」と指摘する。

イノベーション創出のための3つの柱
デジタルテクノロジーの進化 仕事はどう変わるか?

 手島執行役員常務によれば、「日本マイクロソフトでは、これまでにも働き方改革に取り組んできたが、福利厚生や弱者救済を目的した在宅勤務やテレワークでは、単に規制が生まれだけでイノベーションは起こらないことがわかった」とのことで、「重要な企業戦略ととらえ、いつでもどこでも、誰とでも働ける環境を作ることが必要。そして、これからは社会要請や社会基盤に対応した取り組みをしていく必要がある。これが働き方改革NEXTとなる」と説明した。

時代とともに変遷する働き方改革

 2025年には、全世界の労働人口の75%をミレニアル世代になる。日本ではその比率は50%にとどまるが、その後は急速に拡大すると言われている。

 手島執行役員常務は、「2025年の生産年齢人口は7230万人。そのうち、50%がミレニアル世代である。ここに、イノベーターやアーリーアダプターの構成比である16%を掛けると約580万人となり、この580万をきっちりと育てる必要がある。今回のMINDSの活動を通じて、2020年までには1万人の働き方に影響を与えたい」とした。

ミレニアル世代の台頭
イノベーションの創出をけん引する“エージェント”

出席各社のコメント

 味の素 人事部労政グループ 菊地さや子シニアマネージャーは、「最近、多くの人が働き方の変化を感じているが、ミレニアル世代や、これから社会に出る人たちは、こうした働き方が当たり前になる。これからは質の変化が求められる。各社の垣根や世代の垣根を越えて、日本の働き方を変えることに期待している」とコメント。

 カブドットコム証券 システム開発部の小田豊部長は、「当社は今年20周年を迎え、カブコム2.0として、デジタル金融企業への進化を目指している。新たなイノベーションの創出に取り組む上で、MINDSの議論を通じて学べることを期待している」とした。

味の素 人事部労政グループ 菊地さや子シニアマネージャー
カブドットコム証券 システム開発部の小田豊部長

 また、電通デジタル 執行役員 コーポレート部門の早武淳部門長は、「MINDSの取り組みに強く賛同し、運営事務局としても参加する。デジタルの進行による社会の変化と、働き方の変革は切っても切れない。電通グループとしても働き方改革に取り組んでおり、まずは、法令順守というところからは始めているところだ」などとした。

 日本航空 人財本部 人財戦略部の福屋智部長は、「これまでは、時間と場所の制約を外すことに取り組んできており、働き方そのものを効率化することはこれからである。オフィスだけでなく、空港や機内などの現場の働き方も変えていく必要がある。広く革新をしていきたい」と語る。

電通デジタル 執行役員 コーポレート部門の早武淳部門長
日本航空 人財本部 人財戦略部の福屋智部長

 、パナソニック コネクティッドソリューションズ社 人事センター人事企画課の高柳光宏課長は、「当社もイノベーション創出には積極的に取り組んでいる。複数の会社のメンバー集まって生まれるMINDSの活動の成果も取り入れていきたい」と語った。

パナソニック コネクティッドソリューションズ社 人事センター人事企画課の高柳光宏課長
MINDSに参加する各社のミレニアル世代のリーダーたち