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富士ゼロックス、デジタルカラー複合機の新シリーズ 「やさしい、かんたん・あんしん、つながる」をコンセプトに機能強化

 富士ゼロックス株式会社は15日、基本機能とデザインを刷新したデジタルカラー複合機「ApeosPort-VII C/DocuCentre-VII C」シリーズ16機種を、日本およびアジア太平洋地域で同日から順次発売すると発表した。同日に行われた会見では、新シリーズの開発ポイントや特徴、具体的な機能の概要について説明している。

「ApeosPort-VII C/DocuCentre-VII C」シリーズを披露する富士ゼロックス 代表取締役社長の玉井光一氏

 今回発表したデジタルカラー複合機の新シリーズは、従来モデルからセキュリティ機能を大幅に強化し、「やさしい、かんたん・あんしん、つながる」をコンセプトに多くの機能拡張が行われている。

 富士ゼロックス 代表取締役社長の玉井光一氏は、「現在、オフィス環境が抱える最大の課題はセキュリティであると考えている。実際に世界各地でセキュリティ事故が多発しており、日本でも標的型攻撃やランサムウェアによる被害が発生している。そこで、新シリーズでは、データ保護、プライバシー保護、デバイス保護の観点から、セキュリティ機能をさらに強化した。特に、新暗号技術やデータ保護機能については、他社を上回るセキュリティ水準を実現している。また、全体的な性能をワンランク向上するとともに、クラウド連携を簡単に行えるようにすることで、企業の働き方改革にも貢献できる複合機とした」と、新シリーズの開発背景を説明した。

富士ゼロックス 代表取締役社長の玉井光一氏

 「今年は、ゼログラフィーが発明されてから80周年を迎える。『ApeosPort-VII C/DocuCentre-VII C』シリーズはこの80年の集大成となる複合機であり、Smart Work Innovation戦略のフラッグシップモデルに位置付けられる。戦略製品として、国内だけでなくグローバルにも展開し、今後のさらなる成長に向けた起爆剤としていく。新シリーズの投入によって、非常に近い時期に営業利益率10%超を達成したい」と意欲を見せた。

【お詫びと訂正】

  • 初出時、「当社がゼログラフィーを~」と記載しておりましたが、事実関係に誤りがありました。お詫びして訂正いたします。
「ApeosPort-VII C/DocuCentre-VII C」シリーズ

 また新シリーズの特徴について、富士ゼロックス 常務執行役員 エンタープライズドキュメントソリューション事業本部 本部長の岡野正樹氏は、「今回の新シリーズは、2005年に販売開始した初代『ApeosPort』から数えて7代目となる。顧客視点を追求し、オフィスでの活用シーンを想定した新デザインを採用。スマートフォンのようなユーザーインターフェイスとやさしい使い勝手によって、人に“やさしい複合機”に進化した。誰でも簡単に使えるようワンタッチ操作やお助け機能を充実させるとともに、セキュリティ機能を強化することで安心して使えるようにしている。さらに、クラウド認証や各種ソフトウェア、クラウドサービスとのシームレスな連携を実現し、効果的なドキュメントの利活用を促進する」とした。

富士ゼロックス 常務執行役員 エンタープライズドキュメントソリューション事業本部 本部長の岡野正樹氏

「やさしい」「かんたん・あんしん」「つながる」のコンセプトで機能強化

 具体的な新機能の概要については、「やさしい」、「かんたん・あんしん」、「つながる」の3つのコンセプトに沿って紹介。

 まず「やさしい」では、スマートフォンのタップ、スワイプのような操作が可能な10.1型の操作パネルを搭載し、大きくて見やすいアイコンや次の機能を示唆するアイコン表示、ポップアップ機能など、直感的に操作ができるユーザーインターフェイスを採用した。
 加えて、複合機から発する優しい光や音色で作業の進ちょくを通知するほか、放置プリントによる機密情報の漏えいなどを未然に防止する。さらに、給紙トレイには、引き込み機構を搭載し、用紙の補給時などトレイの静かな開閉を可能とした。

10.1型の操作パネル

 「かんたん・あんしん」のうち「かんたん」では、モバイル端末との親和性をさらに向上し、NFCタッチエリアにスマートフォンをかざすことでワンタッチで簡単にプリントが可能な「Print Utility」機能を搭載。

 また、複合機の操作をモバイル端末で行える「Portable UI for Business」アプリケーションにより、モバイル端末によく使う設定を「お気に入り」として持ち運び、社内のどの端末でも同じ設定で複合機を利用することができる。

 このほか、コンタクトセンターのオペレーターと画面共有し操作をサポートするリモートアシスタンス機能も提供する。

 一方の「あんしん」については、データ保護・プライバシー保護・デバイス保護の面から新たな国際基準に準拠するよう、セキュリティ機能を強化。多様化・巧妙化を続けるさまざまなセキュリティ脅威に対応し、ネットワーク通信の安全対策、複合機のハードディスクの安全性をさらに高めた。ハードとソフトの両面でセキュリティを充実することで、堅牢なオフィスのセキュリティ環境を実現する。

 さらに、複合機本体に2つの異なるネットワーク回線を接続することができるため、同一オフィス内でも通信を分けて利用し、よりセキュアな環境を提供可能となった。

セキュリティ機能の他社比較

 「つながる」では、業務効率化や生産性向上に対するユーザーの要望に応えるためソフトウェアやクラウドサービスとの連携をさらに強化した。具体的には、場所にとらわれず組織内・外でシームレスな「どこでもプリント」環境を提供する「Cloud On-Demand Print」では、大手企業向けの対応を強化し、ユーザー数は最大3万人まで登録可能な複合機は最大3000台まで対応する。また、Azure Active Directory認証の利用により、新たにMicrosoftのクラウドサービス「OneDrive for Business」と「SharePoint Online」との連携が可能となった。

「どこでもプリント」の概要

クラウド連携の強化

 なお、各社のクラウドストレージサービスと複合機をひとつのインターフェイスで接続する「Cloud Service Hub」も強化され、従来のシームレスな接続環境に加え、新たにスキャン文書の保存時に文字認識(OCR)処理を施すことが可能となった。保存したスキャン文書の文字情報をもとにファイル検索を行うことができる。

 また、経費精算の業務クラウドサービスであるConcur Expenseとの連携を実現する「Cloud Service Hub for Concur」は、領収書の対応エリアとして米国を追加した。統合管理ソフトウェア「ApeosWare Management Suite 2」では、スキャン文書の保存先としてOneDrive for Businessに対応した。

「Cloud Service Hub」の概要

 さらに新シリーズは、複合機でスキャンした文書に属性を付与できるようになった。これにより、文書トレイで電子文書の受け渡しがスムーズに行える「DocuWorks トレイ 2」では、特定の文書が届いたときに通知を受け取ることが可能となる。

 加えて、電子化した文書の管理・活用に必要な属性の入力や分類・保管を支援する「DocuWorks文書情報エントリー 2」では、文書の属性を活用した検索や保管文書の台帳作成が可能となった。

 インターネット環境下でドキュメントの受け渡し・共有を実現するクラウドサービス「Working Folder」も強化され、登録ユーザー以外からの文書受け取りの機能にも対応。社外の取引先などとスムーズな文書のやりとりを実現する。

 価格は、「ApeosPort-VII C」シリーズが235万円から。「DocuCentre-VII C」シリーズが130万円から。日本、アジア・パシフィック地域合計で年間14万台の販売を目標としている。