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ブロードバンドタワー、5G時代のデータセンター「新大手町サイト」を9月1日運用開始

NTT回線を異局・異ルートで利用可能、主要IXやクラウドサービスへの直接接続を実現

ブロードバンドタワーの新データセンター「新大手町サイト」のサーバールーム

 株式会社ブロードバンドタワーは27日、東京都千代田区大手町に新たに開設するデータセンター「新大手町サイト」を、9月1日に運用を開始すると発表した。

 ブロードバンドタワーの新大手町サイトは、5G時代のインターネットインフラを支える拠点「5Gデータセンター」となることを目指し、5Gモバイルの特徴である超高速(10Gbps)、超低遅延(1msec)・超多地点同時接続(100万点/k㎡)をコンセプトとして開設されたデータセンター。1ラックあたりの料金は35万円(税別)から。

 キャリアアクセス環境としては、完全キャリアニュートラルで、顧客のニーズに合わせた回線環境を構築でき、主要IX(JPIX、BBIX、JPNAP)や代表的なクラウドサービスとの直接接続が可能。また、NTT東日本への回線については異局・異ルートでの入線となっており、構内配線も含めて完全異ルート化を実現した。また、ブロードバンドタワーの既設データセンター「第1サイト」とはプライベートファイバーによる直接接続が可能で、2施設を連携・一体化した利用にも対応する。

外部からの光ファイバーが引き込まれるMDF室
ビルへのキャリア入線イメージ

 データセンター面積は約3000㎡(付帯設備含む)で、ラック数は最大750ラック。空調方式は、ラック上部からの吹き下ろし方式を採用。床面はフリーアクセスなし、各種配線を上部から行う形式で、床耐荷重は1800kg/㎡を実現。ラック電源は標準で1ラック実効6kVA、最大では20kVAに対応予定。

 電力供給は、本線・予備線の特別高圧2系統受電(特別高圧66kV)。万が一の停電時などに備えた非常用発電機はN+1の冗長構成で、無給油連続運転時間は72時間を確保。無停電電源装置(UPS)もN+1の冗長構成で、10分間の電源供給が可能。また、通常は地下に設置されることが多い特高電気室をビルの4階に設けたことで、万が一の水害時にも安心だとしている。

 セキュリティ管理面では、顔認証と静脈認証による2段階生体認証を実施。24時間365日体制での有人監視を実施し、海外のユーザーに向けた英語オペレーションにも対応。ビル内ではデータセンター専用エレベーターによって、セキュリティの堅牢性を高めている。

空調は上部からの吹き下ろし方式を採用
非常用発電機は無給油連続運転時間72時間を確保
入館受付システム

 27日に行われた説明会では、代表取締役会長兼社長CEOの藤原洋氏が、大手町は多くの金融機関や情報通信、メディア企業などが集積するとともに、インターネットのトポロジーにおいても中心地となっている、フィジカルとサイバーの中心として位置が一致する場所になっているとコメント。

 ブロードバンドタワー創業時の2000年には、主にポータルサイトのためのデータセンターとしてサービスを提供していたが、新大手町サイトは第5世代のデータセンターとして、IoT/AI/ビッグデータ/フィンテックが活用される「第4次産業革命」に向けた情報の交換拠点と位置付け、顧客企業間の柔軟な相互接続を実現する施設・基盤を整備しているとした。実際に、新大手町サイトに最初に入居するユーザーも、これまでのネット企業だけでなく、AIやIoTを手掛ける企業も含まれる形で商談を進めているという。

 5Gに向けたデータセンターの特徴としては、NTT東日本回線の異局異ルートの実現や、データセンター間のプライベートファイバーの提供など、大手町に位置するデータセンターということもあり、ネットワークデータセンターとしての利用を重視していると説明。また、低遅延を実現するために光電変換など遅延の原因となる要因を可能な限り減らすなどの工夫を行っているとした。

 ブロードバンドタワーでは、新大手町サイトを通じて、さまざまな産業とICTとの融合・活用によるデジタルトランスフォーメーションがもたらす、あらゆる企業・組織の新世代事業の展開・発展を支援していくとしている。

ブロードバンドタワー代表取締役会長兼社長CEOの藤原洋氏
電源フロアの消火設備
ミーティングスペースには和室の空間も設けられている
ラック設置前のサーバールーム