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バラクーダ、SaaS型WAF「Barracuda WAF-as-a-Service」を国内提供へ
パートナーブランドでのサービス販売を計画中
2018年7月12日 06:00
バラクーダネットワークスジャパン株式会社(以下、バラクーダ)は11日、Webアプリケーションファイアウォール(WAF)機能をSaaS型で提供する「Barracuda WAF-as-a-Service」を発表した。
WAF-as-a-Serviceは、これまでは物理/仮想アプライアンスとして提供してきたWAF製品「Barracuda WAF」の機能をSaaS型で提供するサービスだ。高度なレイヤ7攻撃、DDoS攻撃、SQLインジェクション、JSON攻撃、OWASP Top10などの脅威からWebアプリケーションを保護することができる。
従来のBarracuda WAFでも日本語GUIを提供するなど、なるべくユーザーの管理負担を減らせるようにしていたというが、それでも小規模なWebサイトを運営するユーザーにとっては、ハードルが高いのが現状だった。しかしWAF-as-a-ServiceはSaaS型のため、導入や運用に手間が掛からず、シンプルな5つの手順のセットアップウィザードにより、数分でWebアプリケーションの保護を開始できるという。
また最大の特徴は、「Webの脆弱性スキャンを定期的に行いつつ、発見された脆弱性の保護を自動的に行えるようにする」(SEディレクター 鈴木啓之氏)仕組みを備えていること。脆弱性やアプリケーションそのものは日々変化するため、一般的に、WAFを継続して運用するには定期的なメンテナンス作業が必要になる。しかしWAF-as-a-Serviceでは、こうした作業が自動化されているので、運用に際しての負担もかなり軽減されるとのことだ。
さらに、APIが公開されているので、アプリケーションと連携してWAFの設定を簡単に変えることが可能なほか、DDoS対策機能により、アプリケーションレイヤだけではなく、低いレイヤへのDDoS攻撃も防ぐことが可能という。
なお、国内でバラクーダは直接WAF-as-a-Serviceの販売は行わない。パートナーへエンジンとして提供した上で、パートナーがサポートなどの付加価値サービスと組み合わせ、自社ブランドでユーザーへ提供する方式を採用する。
執行役員社長の大越大造氏は、この理由を「パートナーのビジネスに配慮するため」と説明。10年以上の提供実績があり、高い評価を受けてきたバラクーダのWAF技術と、国内パートナーの営業力を生かして、国内での販売を進める考えを示した。
すでにパートナーとの話し合いも進んでおり、「早いところは8月くらいから提供できるのではないか」(大越社長)、とのこと。「当社が培ってきたものをSaaSとして提供してもらいたい、という声はこれまでも多かった。当社では、11年間、全世界で何万台ものWAF製品を売ってきた実績があるので、それをサービス化できるのは強み。先行するサービスはたくさんあるが、パートナーと一緒にそれらをキャッチアップする」と話している。
対象としては、従来のように中・大規模環境も狙っていくものの、SaaS型ならではの容易な導入・運用を生かして、小規模環境へのアピールにも力を入れていく考えで、「まだWAFについては知名度が十分はいえず、啓発活動を行っていく必要がある分野。トラフィック量が少ないWebサイトについても(アプライアンスと比べて)“お手軽価格”で提供可能になっているし、必要性を訴えた上で、簡単に導入できるサービスとして訴求したい」と話す。
なお、当初は国外のデータセンターを利用するが、国内でのサービス提供も視野に入れているとのこと。大越氏は、「クラウドストレージサービスも当初は国外のセンターを利用していたが、すぐに国内でのサービス提供に切り替えた。それと同じことが起こるのではないか」と述べている。
一方で、APJ営業担当副社長のジェームス フォーブス-メイ(ボンド)氏は、アプライアンス製品を提供してきたバラクーダがSaaSに注力する理由として、「市場のニーズ」を挙げる。5年前、ビジネスの8割がアプライアンスだったというバラクーダだが、この5年で、ビジネスの比重としてソフトウェアが大きくなりつつあるのは、IT市場全体の流れに沿ったもの。同社でも、買収などを通じてすでにいくつかのクラウドサービスを提供しており、今後もこうしたサービス化の流れは続いていきそうだ。