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OpenStackの専門カンファレンス「OpenStack Days Tokyo 2018」、8月2日・3日に開催

今年は「Cloud Native Days Tokyo2018」も同時開催

 日本OpenStackユーザ会のOpenStack Days Tokyo 2018実行委員会は、2018年8月2日~3日、OpenStackの専門カンファレンス「OpenStack Days Tokyo 2018」をベルサール東京日本橋で開催する。

 5日にはイベントに先立ち、OpenStack Days Tokyo 2018の注目トピックや、グローバルにおけるOpenStackの最新動向を紹介する記者説明会が開催された。

「Cloud Native Days Tokyo 2018」を同時開催

 日本発祥のグローバルなイベントとして6回目を迎えるOpenStack Days Tokyoの今年のテーマは、「Toward Cloud-Native」。昨年のテーマである「Collaboration」をさらに進め、よりパワーアップしたプログラムを企画しているという。

 また今年からは、OpenStackの枠を外し、さまざまなクラウドプラットフォームを横断するベンダーニュートラルな立場で、“Cloud Native”をさらに掘り下げて議論する「Cloud Native Days Tokyo」も同時開催する。

 Cloud Native Daysについて、OpenStack Days Tokyo 2018実行委員長 長谷川章博氏は、「クラウドをより効率的に活用するためのプロジェクト横断イベント。単にクラウド上でVMを動かすというだけではなく、いろいろなフレームワークやミドルウェアを使って、クラウドを『クラウドらしく』利用するために何をすればいいのかについては、まだまだ議論しつくされておらず、情報も不足している。Cloud Native Daysは、それらの情報をカバーするために開催する」と説明した。

 つまり、クラウドネイティブなインフラを作る技術にフォーカスしたOpenStack Daysに対し、クラウドネイティブなアプリケーションを動かす技術にフォーカスしたイベントがCloud Native Daysである。今後はこの2層でイベントを開催していく予定であるという。

OpenStack Days Tokyo 2018実行委員長 長谷川章博氏
OpenStack Daysはクラウドネイティブなインフラにフォーカスし、Cloud Native Daysはアプリケーションを動かす技術にフォーカスしている

テーマ別に70を超えるセッション

 初日の基調講演では、OpenStack FoundationのExecutive Director Jonathan Bryce氏と、Cloud Foundry FoundationのExecutive DirectorのAbby Kearns氏によるIaaS×PaaSのコラボレーションセッションが予定されている。

 そのほかにも、NEC Technologies IndiaのDeepak Kumar Gupta氏による最新のインフラストラクチャの事例、NTTドコモ 秋永和計氏による音声を通じてサービスや情報を提供する「AIエージェント基盤」の事例、トヨタIT開発センターの大西亮吉氏によるAutomotive Edge Computingの事例などを紹介するセッションが予定されている。

初日にはOpenStack FoundationとCloud Foundry FoundationのExecutive Directorが登壇予定

 さらに「Dev/Ops/PaaS」「AI/Deep Learning/HPC」「コンテナ」「Edge/NFV」といったテーマ別に、70を超えるセッションが予定されているという。

 その中でも注目セッションとして長谷川氏は、Google Cloidチーム 佐藤一憲氏による「TensorFlow × Machine Learning」、「NFVインフラと5G」をテーマに大手キャリアの代表が一堂に会して行われるパネルディスカッション、KDDIの上村真也氏と和田雄太郎氏による「マルチテナント環境のKubernetesによるGPU演算基盤技術検証」、ソラコム 松下享平氏による「作りこまないIoTを実現するためのクラウドネイティブなIoTシステム構築」などを紹介した。

「Dev/Ops/PaaS」「AI/Deep Learning/HPC」「コンテナ」「Edge/NFV」のテーマ別に70を超えるセッションが用意されている

「OpenStack Summit Vancouver 2018」から見たOpenStack最新動向

 また、日本OpenStackユーザ会 会長の水野伸太郎氏は、5月21日~24日にカナダで開催された「OpenStack Summit Vancouver 2018」についても報告し、グローバルにおけるOpenStack最新動向を紹介した。

 OpenStack Summit Vancouver 2018のテーマは「Open Infrastructure」で、OpenStackだけではなく、コンテナやCI/CD技術などの対象範囲を拡大しているという。OpenStack Foundationはコンテナ、CI/CD、NFV、IoTといったOpenStackをとりまくエコシステムに関連する他のOSS団体との連携を強化し、さまざまな取り組みを推進しているという。

 イベントの参加者数は、ピークの2016年の約7800人に対し、2018年は約4,300人と減少しているように見える。しかし、これは2016年秋から開催されている「KubeCon+CloudNativeCon」と、OpenStack Summitのどちらか片方にしか参加できないという人が多く、結果的に分散してしまっていることが要因だと水野氏は説明している。

 参加者そのものも変化してきており、OpenStackとは何かを知りたいという層から、OpenStackを実際に使っている、あるいは使いたいというリアルユーザー層へと変化しているという。それに伴い、スポンサーも変化しており、通信関連企業および中国企業が目立つようになってきた。

 セッション構成も、開発者向けイベントとして「OpenStack PTG(Project Teams Gathering)」が2017年から分離されたことから、ユーザーあるいは運用者にフォーカスしたセッションが中心となっている。

 水野氏はコミュニティの変化について「開発者ドリブンからユーザードリブンへと変化してきている」と述べ、User Committeeの強化、個別のトピックについて継続理論ができるSIGの立ち上げ、Forumのフィードバックにより方向性が決まるようになったことなどを紹介した。

 このほか、OpenStack Summit Vancouver 2018の主要トピックとして水野氏は、5月22日にリリースされた「Kataコンテナ Ver1.0」、CI/CDツールの「Zuul」、コミュニティサポートが12カ月から18カ月に延長されたことなどを挙げている。また、エッジコンピューティングのプロジェクトとして、「airship」と「Starling X」という2つのプロジェクトが立ち上がったことも紹介した。

 なお、次回のOpenStack Summitは、2018年11月13日~15日にベルリンで開催されるという。

日本OpenStack ユーザー会 会長水野伸太郎氏(NTTソフトウェアイノベーションセンター)

参加者の声を反映したイベントとするため参加費用が有料に

 今回から、OpenStack Days Tokyoは参加費が有料となっている。参加費の有料化について長谷川氏は、「これまでは『OpenStackとは何か』を啓発する色合いが強いイベントだったため、OpenStackを広めたい企業にスポンサーしていただいて参加費を無料にしてきたが、今後はクラウドをネイティブに使いたい技術者や企画者の声を反映したイベントとするため、会場やスピーカーのコストを来場者にも負担していただきたい。その代わり中立的で幅広いコンテンツを用意できている」と説明した。

 参加費用は1万円だが、7月18日までは早期割引で5000円となるため、参加したい場合には早めの申し込みがお勧めだ。申し込みの期限は7月27日17時までとなっている。