ニュース
ヴィーム・ソフトウェア、ハイパーアベイラビリティ実現に向けた製品戦略を発表
慶応義塾のVeeam製品活用事例も紹介
2018年4月19日 11:40
ヴィーム・ソフトウェア株式会社(以下、ヴィーム)は18日、同社の製品戦略および導入事例について記者説明会を開催した。説明会では、Veeam Software アジアパシフィック&ジャパン シニア・バイス・プレジデントのショーン・マクレガン氏と、製品戦略担当バイス・プレジデントのダニー・アラン氏が登壇。“ハイパーアベイラビリティ”の実現に向けたビジョンや製品展開を説明したほか、導入事例として、慶応義塾 インフォメーションテクノロジーセンター本部の宮本靖生氏を招き、Veeam製品の活用例を紹介した。
まず、Veeam Softwareのグローバルでの事業概況について、マクレガン氏は、「当社は現在、180か国以上に28万2000を超える顧客をもっており、毎月4000以上の顧客が増加している。そして、1630万の仮想マシンをVeeam製品で保護している。さらに、当社のネットプロモータースコアは73となっており、非常に高い顧客満足度スコアを実現している」と、ビジネスが好調に推移していることを強調。
「これまでの製品戦略の歩みとしては、2008年当初は仮想ワークロードの保護に特化していたが、2012年からプライベートクラウドに対応し、データセンター全体のアベイラビリティを実現してきた。今年は、保護対象をマルチクラウドに拡大し、企業のハイパーアベイラビリティを実現するソリューションを展開していく」との方針を示した。
ハイパーアベイラビリティの定義について、アラン氏は、「従来のアベイラビリティ(availability:可用性)は、データのバックアップ、複製、モニタリングにとどまっていた。これに対して、ハイパーアベイラビリティは、1つのデータセンターだけではなく、クラウド全域においてアベイラビリティを実現するソリューションになる」と説明し、「当社は今後、インテリジェントなデータ管理ソリューションにおいて最も信頼されるプロバイダになるため、データのハイパーアベイラビリティを求める全世界の企業からの期待に応えていく」と、製品戦略のビジョンを語った。
同社が展開するハイパーアベイラビリティ・プラットフォームの概要については、「従来から当社が提供してきたバックアップ&復元製品、およびレプリケーション&フェイルオーバー製品が、ハイパーアベイラビリティを促進するコアエンジンを担っている。また、APIファーストのアプローチにより、パートナーとの連携ソリューションを早期に実現することが可能だ。アプリケーションやハイパーバイザー、ストレージ、ネットワークなど、戦略的パートナーとの連携によって、アベイラビリティとSLAを高度化することができる」(アラン氏)としている。
「さらに、ハイパーアベイラビリティ・プラットフォームでは、独立したデータラボを用意している。データラボでは、ビジネスを中断することなく本番データを使える開発環境を提供し、イノベーションの加速やITリスクの軽減、セキュリティの向上など、バックアップとレプリケーションだけではないビジネスへの新たな付加価値を実現する」(アラン氏)と、本番環境から切り離されたデータラボによって、データをコピーして保護するだけでなく、ビジネスにも活用できるようになると訴えた。
今後の展開としては、「ハイパーアベイラビリティ・プラットフォームでは、クラウドからSaaS、物理環境までをカバーする可視性と管理機能を提供しているが、今後、一つの画面であらゆるデータを一元管理できるエグゼクティブレベルのビューを提供する。そして、インテリジェントな自動化によって、ビジネスの要求に応じてクラウド、SaaS、物理環境への柔軟なデータの移動を可能にしていく」(アラン氏)とした。
また、アラン氏は、米国で発表されたPure Storageとの提携についても触れ、「当社とPure Storageの提携によって、24時間365日止まらないビジネスを支える統合プラットフォームを提供することが可能となった。具体的には、Veeamのストレージスナップショットからバックアップを行うことで、優れたデータ保護とバックアップパフォーマンスを実現する。また、Veeamのデータラボにより、本番データのコピーに容易にアクセスできるようになる。そして、データの復元期間をこれまでの数日から数分へと短縮し、Always-On Enterpriseに求められる復元のサービスレベルを大幅に向上する」と説明した。
仮想基盤の可用性をVeeamで高めている慶應義塾
次に、Veeam製品の国内での導入事例として、慶応義塾 インフォメーションテクノロジーセンター本部の宮本靖生氏が、慶応義塾の全塾仮想基盤の高可用性をVeeam製品で実現した活用例を紹介した。
「慶応義塾では、サービス継続性の確保のために、仮想基盤に対して10年ほど力を注いできた。現在稼働している仮想基盤は3代目となり、ハイパーコンバージドインフラ(HCI)を採用し、効率的なインフラ管理と運用を実現している。一方で、この次世代仮想基盤の確実なバックアップ、および迅速なリカバリとリストアが行える環境の構築が急務となっていた。また、クラウド連携への対応も課題として挙げられた」と宮本氏。
「これらの課題を解決するソリューションを検討する中で、2013年にVeeam製品と出会った。そして、機能面やコスト面などRFPの必須要件をすべてクリアしていたことから、同年夏にVeeam製品の導入を開始した。今年度も追加導入を検討している」と、Veeam製品を採用した背景を述べた。
Veeam製品の導入メリットについては、「Veeam製品は、HCIを採用した次世代仮想基盤との親和性が非常に高かった。また、高速処理を実現するとともに、容量をコンパクトに抑えることができ、コストメリットも大きかった。さらに、インフラの運用・管理負荷を大幅に軽減できたことで、サービスアイデアの検討などビジネス活動に注力できるようになった」(宮本氏)としている。
「Veeam製品には、これからの仮想基盤の運用に求められる機能が網羅されていると感じている。今後、さらに多種多様なクラウドを活用する場面においても、Veeamのハイパーアベイラビリティ・プラットフォームによって、バックアップだけでなく、クラウド全体でのデータの見える化や効率的な運用・管理が実現できると期待している」(宮本氏)と、Veeam製品への今後の期待を語った。