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BIGLOBE、企業でのIoT導入のハードルを下げる新デバイス「BL-02」
2018年4月12日 11:33
ビッグローブ株式会社(BIGLOBE)は11日、法人向けのIoTデバイス「BL-02」の販売を開始した。サンプル価格は3万9800円(税別)。
BL-02は、2.8インチディスプレイ(240×320ピクセル)を搭載したAndroid端末で、10軸センサー(加速度センサー3軸、ジャイロセンサー3軸、地磁気センサー3軸、気圧センサー1軸)やGPS機能を備える。単体で位置情報や加速度などの計測が可能だが、BluetoothやWi-Fi(IEEE 802.11n/a/g/b)、LTE通信(au/docomo)にも対応するため、各種センサーからデータ収集を行うゲートウェイ端末としての利用も可能。
OSはAndroid 6.0を採用し、CPUはCortex-A7(1.1GHz、クアッドコア)、メモリは1GB、ストレージは8GBを搭載。1100mAhのバッテリーで連続待受時間は約420時間、充電時間は約105分。IPX5相当の防水とIP6X相当の防塵機能を備える。本体の大きさは57.5×15.8×93.9mm(幅×厚さ×高さ)で、重さは約102g。
「行動センシング」で社会・企業の課題解決を
BIGLOBEは、BL-02を核とした企業向けのIoTサービスを展開するという。具体的には、クラウドサービスを手掛けるオプティムや、屋内位置情報ソリューションを手掛けるマルティスープ、路面情報管理クラウドサービスを手掛けるバンプレコーダーなどの企業とパートナーシップを結ぶことで、AIを活用したデータ分析、行動センシング、路面状況管理ソリューションを提供するとしている。
BIGLOBE執行役員常務の松田康典氏によると、同社ではこれまでMVNOサービスなどに加えて、企業の課題を解決するためのソリューション提供も行ってきたという。例えば、位置情報の可視化による鳥獣被害対策、海洋データを用いた漁場予測など、企業のIoT化を支援するためのサービスを展開してきたという。そのような取り組みを行う中で、少子高齢化などによる労働力不足の問題や、インバウンド対応で求められる多言語対応など、社会・企業における新たな課題が見つかったという。
そこで、BIGLOBEではセンサー技術を活用した「行動センシング」に注目。例えば、ベテランスタッフの動きをセンサーで記録して新人教育に活用するノウハウ継承や、製造現場における動線の効率化・安全管理などにIoT活用の可能性を見出した。
行動センシングは、位置、加速度、気圧などの各種センサーで収集したデータをゲートウェイを通じてクラウドにアップロードし、AIでデータ解析を行う仕組みとなるが、現状では導入がなかなか進まないという。
原因としては、多種多様なセンサーが存在するため、モニタリングに最適なものを選択・追加する手間が生じることや、センサーとゲートウェイの相性問題もある。また、センサーで収集したデータをすべてクラウドに上げようとすると通信容量が膨大になるため、エッジ処理プログラムの開発が求められるが、現状では開発が困難な上にカスタマイズの自由度も限られるそうだ。収集したデータの活用についても、クラウドとAIを連携させたシステムの設計はハードルが高くなるという。
BL-02はこれらのIoT導入における課題を解決するために投入した。本体には多様なセンサーを搭載し、OSにはアプリ開発者も多いAndroidを搭載することで、エッジ処理のプログラム開発も容易になる。例えば、電源のオン/オフを自動で切り替えたり、アプリの自動起動、ファームウェアのカスタマイズなども簡単にできるとしている。スマートフォンと異なり、業務用の端末として開発されたため、業務に必要な機能のみを搭載し、必要に応じてカスタマイズできること、筐体も継続して供給できること、コンパクトなサイズ感であることをメリットとして挙げる。
在宅医療や店舗でのインバウンド対応などに
BL-02を用いた具体的なソリューションとしては、例えば、在宅医療において、患者の行動・バイタルデータを収集し、オプティムの「OPTiM Cloud IoT OS」と連携することで、事故・怪我などの予測ができるようになる。また、マルティスープの屋内位置情報ソリューションと連携することで、行動計測・作業分析で業務効率化を支援できる。
行動センシング以外の領域においては、店舗における多言語翻訳端末として活用できるという。NECの多言語音声翻訳サービスと連携することで、小規模店舗におけるインバウンド対応も実現する。同サービスは固有名詞の登録も可能なため、業種に適した翻訳にも対応する。すでに小田急百貨店での実証実験にBL-02が導入されたそうだ。
さらに、路面状況管理での利用にも活用できるとしている。バンプレコーダーの管理サービスと連携することで、公用車だけで広範囲な路面状況を計測し、調査コストも専用の路面性状測定車を利用する場合と比較して、約10分の1のコストを削減できるとしている。
松田氏は「BL-02の使い道はいろいろな発想によって広がっていく。発想を広げて、さまざまなシーンで幅広く使ってもらい、パートナー企業とともにIoT化を推進していきたい」と語った。