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東北大学、乳がんのエコー画像診断研究に「SAS Viya」を採用

 東北大学大学院 医学系研究科(以下、東北大学)は9日、乳がんのエコー画像診断研究において、SAS Institute Japan株式会社のデータ分析基盤「SAS Viya」を採用したと発表した。

 乳がんを早期発見するための乳房エコー検査(乳腺超音波検査)において、現在、エコー画像の読影が技師や医師の主観や経験に依存しがちな点や、読影による負担の増加が課題になっているという。また、乳がんの主要な画像所見「腫瘤」は、形状や特徴が多種多様で良性・悪性の判別が難しい場合も多く、より正確に判定できる技術が求められていたとのこと。

 そこで東北大学では、これを解決する手段の1つとして、エコー画像の読影に深層学習技術を活用することを検討。その中でも、画像を認識して高い精度で分類/推論できる手法「CNN(Convolutional Neural Network)」に注目した。

 CNNの最大の特長は、対象の識別に有効な特徴量を学習によって自動的に獲得する点で、東北大学は乳がんの病変の多様性に応用すべく、CNNの実装が可能な分析プラットフォームのSAS Viyaを採用した。

 SAS Viyaの採用に際して最大の決め手となったのは、医学研究生にも複雑な深層学習を簡単なコードで実装できること。同製品は幅広いユーザー層を対象に設計されているため、SASやPython、Rといった言語により、容易に最先端のAI技術を研究に取り込むことが可能という。また、SAS Viyaはスケーラビリティが高い点も評価されたとした。

 なお東北大学は、2019年3月をめどに論文や学会での発表を目指して研究を開始する。あわせて、今回の研究で作成した深層学習モデルは、そのまま臨床でも実用化するとともに、研究を通じて得た深層学習に関するノウハウやナレッジを、新たな分野にも展開していきたい意向だ。