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日立、OT/ITデータの統合的な分析を可能にする社会・産業インフラ分野向けのデータ分析基盤を提供開始

 株式会社日立製作所(以下、日立)は29日、機器やセンサーから得た多種多様な現場データ(OTデータ)と、各種業務システムなどのデータ(ITデータ)との統合的な分析・利活用を支援する社会・産業インフラ向けデータ分析基盤を整備し、鉄道や電力・ガスなど社会インフラ分野や、製造プラントを有する産業分野などに向けて、基盤を活用したデータ準備・分析のためのサービスを4月2日から提供すると発表した。

 サービスは分析基盤を活用し、社会・産業インフラ分野におけるデータ分析を加速する環境構築を支援し、データを一元管理するデータレイクの構築から、分析のためのデータ準備・管理、AIやBIツールを活用した分析サービスまでをトータルに提供する。

 日立では、各種機器やセンサー、業務システムからのデータなど、膨大で多種多様な形式の情報から効率的に分析目的のデータを抽出・作成できる「Big Data Discovery(BDD)」と、分析者の視点でデータ構成を再定義して管理できる「NX Context-base Data Management System(CDMS)」を新たに開発。OTデータとITデータの統合的な分析・利活用の事前準備を支援する「現場データ準備・可視化サービス」および「現場データ管理サービス」として提供する。

 また、これらのサービスをAIやBIツールを活用した「プロフェッショナル分析サービス」と組み合わせ、社会・産業インフラ分野におけるデータ分析をトータルに支援する。

社会・産業インフラ向けデータ分析基盤のサービス概要図

 「現場データ準備・可視化サービス」は、データを収集・蓄積する環境を提供し、分析目的のデータの抽出・作成を容易にする。BDDにより、データ形式の統一や異なる項目名称で管理されているデータの統合といった、データ分析作業全体の大半を占めるとも言われる分析データ準備作業を効率化できる。

 「現場データ管理サービス」は、機器やセンサーなどから得られるさまざまな現場データの関係性を容易に管理できる。CDMSにより、現場データの構成などを分析者視点で再定義することが可能で、従来は各機器やセンサーの仕様に精通する専門家しか取り扱えなかったデータを、さまざまな分析やアプリケーション開発で利活用できるようにすることで、オフラインとオンラインの双方でのデータ分析の効率化・高度化を実現する。

 データ分析基盤は、大量データを高速に分散処理するイベント駆動型フレームワーク「Hitachi Application Framework/Event Driven Computing(HAF/EDC)」や、OTデータに分析に必要な情報を付与して収集する「監視制御データ活用基盤 NX IoT Gateway」に、BDDやCDMSといった新規開発のソフトウェアを組み合わせ、社会・産業インフラ向けに整備した。

 サービスの提供価格はいずれも個別見積もり。日立では今後も、幅広い分野で培ってきたOTナレッジや分析技術などを活用し、OTとIT双方のデータ利活用を促進するソリューションの開発を進め、社会・産業インフラ事業者の業務改革・新サービスの創出に貢献していくとしている。