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大塚商会、2017年度決算は売上・利益とも過去最高となる増収増益を達成

 大塚商会は1日、2017年12月期(2017年1月~12月)の決算を発表した。連結売上高は前年比7.4%増の6911億6600万円、営業利益は同11.9%増の443億8600万円、経常利益は同11.5%増の454億6000万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同18.3%増の315億6000万円。過去最高となる増収増益を実現した。

2017年12月期の決算概要
売上高・利益の状況

 代表取締役社長の大塚裕司氏は、「連結、単体ともに売上、利益が過去最高となった。計画比についても計画を達成することができた。利益はいずれも2けた増となった」と話し、好調な業績となったことを強調した。

代表取締役社長の大塚裕司氏

 今年度、2018年12月期(2018年1月~12月)の連結業績予想は、売上高は前年比4.2%増の7200億円、営業利益は前年比6.6%増の473億円、経常利益は前年比5.6%増の480億円、親会社株主に帰属する当期純利益は前年比1.0%増の318億8000万円。大塚氏は、「うそのない業績実現を」と堅実な売上、利益を目指す姿勢を強調した。

 企業の働き方改革が大きな注目を集める中で、「最先端のものを活用しながら、販管費を右肩下がりとする、大塚商会が取り組んできたIT化による生産性向上の成果をバックにお客さまへのアピールを行っていきたい」と自社で取り組んできたIT化による生産性向上をベースに顧客提案を行っていくことを今年度の取り組みとしていく。

 大塚商会の平成30年12月期の単体決算は、売上高は前年比4.4%増の5841億3800万円、営業利益は同7.2%増の361億0900万円、経常利益は同7.5%増の374億1100万円、当期純利益は同14.5%増の247億7600万円。

 連結のセグメント別売上高は、システムインテグレーション事業が8.6%増の4087億1800、サービス&サポート事業が5.8%増の2820億6400万円、その他の事業が4.4%減の3億8300万円。

 連結子会社に変わりはないが、「特にネットワールドの業績が好調。売上高は前年から127億円増加したが、大塚との取引もあるが、外部との売り上げが増加している。仮想化、バックアップ、セキュリティに加え、HCI需要が本格化している。今期も安定的な伸びが期待できる」とネットワールドが好調であるという。

セグメント別の業績(連結)
連結子会社の概要

 単体の詳細セグメント別売上高は、SI関連が前年比8.0%増の3048億9000万円、受託ソフト等が同6.4%増の406億8300万円、サプライが同5.7%増の1435億9300万円、保守等が同6.1%増の1355億2700万円。

セグメント別の業績(単体)

 2017年10月~12月の業績は、連結売上高は前年同期比8.7%増の1746億3700万円、営業利益は同8.8%増の11億8600万円、経常利益は同8.3%増の114億400万円、純利益は同17.1%増の81億4900万円。

2017年10月~12月の業績

 「第4四半期になって特にラージアカウントが動き始めた。控えめだったIT投資が復活した感触がある」(大塚社長)とIT需要が復活していると分析した。

 社員数は2017年12月末時点で8658人。1人当たりの売上高は7983万円でやはり過去最高を更新した。

 重点事業の状況は、たのめーるが前年比5.1%増の1535億円、SMILEが同10.7%増の108億1700万円、ドキュメント事業ODS21が同8.2%増の559億9700万円、セキュリティ事業OSMが同0.6%減の675億1400万円。セキュリティ事業が前年割れしたのは、「前年度に大型案件があった影響」と説明している。

 複写機は前年割れとなり前年比1.7%減の438億700万円、サーバーは同5.1%減の312億3200万円、パソコンは同3.8%増の8876億4000万円、クライアント合計では同2.6%増の9278億3500万円。

重点事業の状況(単体)

 「サーバーは前年割れとなっているものの、10数台分が1台にまとまり、クラウドなど選択肢が広がっている状況を考えると良い数字ではないか。案外、サーバービジネスは堅調に推移している」とサーバーの前年割れには問題はないと説明した。

 パソコンについては、「JEITAの出荷統計と比較すれば堅調に推移している。そろそろ、Windows 10へのリプレース、Windows XPサポート終了時に導入したパソコンの置き換えなどの需要が出てくる。このビジネスはしっかりとやっていきたい」とビジネスを強化していくとした。

 たのめーるは、口座数が引き続き増加しており。「大塚商会のビジネスを広げる、ドアオープナーとしての機能をしっかり果たしている」と事業全体に貢献しているとした。

 クラウドなどWebサービス(ASP)については、「2017年の利用者は211万人で、1年間で18万人増えている。着実にストックビジネスを積み上げている」と順調に需要が拡大しているとした。

 こうした利益に貢献しているストックビジネスについては、「安定的に伸長している。上場した2000年時点が815億円だったのに対し、2017年には2660億円まで拡大している」と順調に伸長しているとアピールした。

パソコン販売台数の四半期推移
複写機販売台数の四半期推移
たのめーる年次推移
主なWebサービス(ASP)の利用人数推移
ストックビジネスの推移

 今後の計画については、基本方針と中期計画は大きく変更せず、営業利益率、経常利益率ともに7%を目指す。

 2018年の市場予測としては、攻めのIT投資、生鮮性向上、精進かニーズ、AI、IoTなど新たなIT技術への関心の高まり、そして働き方改革へのニーズの高まりを挙げている。

 ユーザーとの関係性については、2017年4月から「Webでのお客さまとの関係作り」を目指し、お客さまマイページをスタート。さらに、これまで培ってきた大塚商会のノウハウを反映したAIを使ったチャットボットなどを2017年7月からスタート。顧客からの単純な問い合わせはAIを活用していく。

 働き方改革を求めるニーズに対しては、「大塚商会の取り組みは、ある意味、常に先取りをしていた。これをさらに推進し、2017年7月からは一部の職種で営業職テレワーク、阪急制度、在宅勤務なども取り入れている。こうした経験、事例をお客さまの働き方改革支援に活用していく」という方針を掲げている。

 これはIT活用によって社員一人当たりの売上高、営業利益が増加している経験を反映させていくもの。1986年にパソコンを各拠点に導入し、1995年にテレビ会議導入、独自開発のCRM+FAである「SPR」の活用などを行った結果、1998年時点と比較すると、社員数は460人増にとどまっているものの、売上高はほぼ倍増、社員の休日が増加しているといった実績が出ていることに起因している。

 「働き方改革で、残業時間を減らすことも大切だが、休みの日数を増やすことは働き方改革に取り組んだひとつの答えとなるのではないか」(大塚社長)。

基本方針と中期計画
2018年の方針と施策
お客さまとの新たな関係作り
働き方改革
社員一人当たりの売上高、営業利益の推移
IT化による生産性向上

 2018年12月期の売り上げ目標(連結)は7200億円で、セグメント別売上高はSIで4264億2000万円、サービス&サポートで2935億8000万円。

 「現状と比較すると低い伸び率となるが、悲観してこの数値としたのではなく、社内計画と公表値に差を持たせたいため」と堅実な数値としたと強調した。