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大塚商会の2017年度中間決算、売上・利益ともに過去最高に 地域密着型への営業体制シフトが成功

 株式会社大塚商会は1日、2017年度(2017年12月期)の中間決算を発表した。連結売上高は、前年同期比5.6%増の3575億8500万円、営業利益は同12.0%増の268億2700万円、経常利益は同11.5%増の273億8700万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は同16.2%増の185億4100万円となった。

2017年度中間決算の概要
売上高・利益の推移(連結)

 代表取締役社長の大塚裕司氏は、「連結、単体ともに売上高、営業利益、経常利益、純利益のいずれもが過去最高となった。計画達成も全項目で達成することができた」と述べ、絶好調の結果だったとアピールした。

大塚商会 代表取締役社長の大塚裕司氏

 好調の要因となったのは、2016年7月から実施している、本部主導による営業体制から地域主体の営業体制へのシフト。「従来体制のままであれば(今回の業績も)厳しかっただろうが、昨年7月に当社の原点である地域密着型での営業体制へのシフトが成功した」(大塚氏)。

 上半期業績は好調だったものの、連結通期予想は年初計画の売上高が前年比4.3%増の6710億円、営業利益は同3.3%増の410億円、経常利益は同2.0%増の416億円、当期純利益は同2.3%増の272億8000万円のまま変更しない。

 「過去2期連続で目標未達となっている。2期連続でうそつきになってしまったことを戒めるために、年初計画のままとする」(大塚氏)とし、計画値をクリアすることに注力する方針だ。

売上高・利益の計画

 なお、大塚商会の単体上半期業績は、売上高が前年同期比4.6%増の3247億6500万円、営業利益が同9.7%増の243億8600万円、経常利益が同9.5%増の253億6800万円、四半期純利益が同14.6%増の174億7700万円。

 連結売上高、経常利益の四半期推移では、「昨年度は経常利益が前年からほぼフラットの状態だったが、今年度は売上高、経常利益ともに前年を上回る成長となり、あるべき姿にようやく戻った」(大塚氏)となっている。前年度の第2四半期は英国がEUを離脱することが選挙で決定するなど、グローバルな経済状況の先行きが不安視されていた時期で、「お客さまのマインドが一気に下がった感があった。今年度は好調な売上高、利益となっている」という。

売上高の四半期推移(連結)
経常利益の四半期推移(連結)
2017年度第2四半期の業績概要
売上高・利益の状況(連結)

 顧客企業の年商別売上構成は、前年度と大きな変化はなく、10億円未満が22.77%、10億円以上100億円未満が30.75%、100億円以上が46.48%で、「ミドル層、ラージアカウントは好調だが、当社のメイン顧客層である売上高10億円未満の層は投資意欲に火がついていない」と分析している。

 従業員1人あたりの売上は、前年から165万円増となる4073万円。「Windows XP(のサポート終了に伴う)特需の時を抜いて、過去最高となった」という。社員数は連結で119人増、単体では104人増で、「説明会では、そろそろ効率化を進めるのは厳しいのではないかというご質問を頂いているが、まだやることはある」とし、社員数は抑えて、売上、利益を追求する方針を維持する。

顧客企業の年商別売上構成(単体)
社員1人あたりの売上と営業利益の推移(単体)

 連結セグメント別売上高は、システムインテグレーション事業が前年同期比6.2%増の2166億0400万円、サービス&サポート事業が同4.8%増の1407億8900万円、その他の事業が同5.2%減の1億9100万円。

 単体の詳細セグメント別売上高は、SI関連商品が前年同期比4.2%増の1637億6600万円、受託ソフトなどが同5.7%増の217億1000万円、サプライが同3.8%増の720億9500万円、保守等が同6.0%増の671億9200万円。

 詳細セグメント別売上高増減率の四半期推移には、「保守が非常に良い形で推移するなど、どのセグメントも非常に良い形で進んでいる」と説明している。

セグメント別売上高(連結)
詳細セグメント別売上高(単体)

 単体の重点戦略事業の状況は、「たのめーる」が前年同期比3.4%増の774億8000万円、「SMILE」が同12.4%増の59億5000万円、ドキュメントソリューション「ODS21」が同12.1%増の320億8300万円、セキュリティソリューション「OSM」が同4.1%減の347億4800万円。「セキュリティがマイナスとなっているが、前年度はランサムウェアがまん延したことによる特需があった。それに比べるとマイナスとなっている」(大塚氏)。

 たのめーるの年次推移は、上半期では前年度から3.4%増となる1374万4627口座で、これまでに比べ低い伸び率となっているものの、「この1年、低収益の口座を精査した影響で伸び率が低くなっている」と説明している。

 ASPの名称で呼んでいるクラウドサービスの利用者数は、2017年6月現在で202万人。前年度末に比べ9万人増加している。

 収益に大きく貢献する、サプライ+契約保守のストックビジネスは、上半期で1324億円となった。これは2005年度の1年間のストックビジネスと同じ水準となっている。

重点戦略事業の状況(単体)
たのめーるの年次推移
主なクラウドサービスの利用者数
ストックビジネスの推移

 複写機の出荷台数は、前年同期比6.0%増の2万5440台、うちカラー複写機は同8.1%増の2万4270台。サーバーは前年同期比13.0%減の1万6021台、パソコンは同8.5%減の43万5431台、タブレットなどを含めたクライアント合計では同10.8%減の45万3087台。

 パソコンの販売数に対しては、「パソコンの販売状況は一応上向き。前年度の第1四半期に比べて下回るなど、低い推移となっているようにみえるが、JEITAのパソコン出荷統計と比較すると当社の方が調子が良い。今後、Windows 10への入れ替えが本格化すること、Windows XP特需から二巡目の入れ替え需要が起こることが予測できることから、クライアントマシン販売数が今後増えていく可能性がある」と述べ、回復の可能性があるとした。

 複写機については、「大型POD(プリント・オン・デマンド)関連が好調で、その結果、コピー機のカウンター料金が増える傾向にある」という。

複写機販売台数の四半期推移
パソコン販売台数の四半期推移

“地域密着型”の体制は今後も継続

 なお、下半期については、「緩やかな景気回復基調にあり、IT投資を攻めの姿勢で行う企業が増えているものの、ITバブル期に比べるとお客さまは慎重に投資を行っている」と需要はあるものの、爆発的にIT投資が増加するような状況ではないと分析する。

2017年下半期の市場予測
2017年下半期の方針と施策

 大塚商会としては、「答えは現場にある」との方針から、本部主導ではなく、地域密着型の地域営業部主体の体制を今後も継続する。従来、本部主導の時には、地域で顧客対応を行っているものの、「例えばその地域では得意ではないCAD製品については、本社に対応を任せて、地域はあまりかかわらないといったことがあった。その状況を変えるために、『山に猟犬を放つ』ように、地域に密着した営業を行って案件を掘り起こす。営業部長が地域の社長となって部下を束ねるということが理想だが、現状は60点から70点で、現場力強化はまだ道半ばというところ」(大塚氏)で、引き続き、地域密着型営業体制を推し進める。

基本方針と中期計画
本部主導から地域主体の営業体制へ

 新たなビジネスとしては、注目が集まっている働き方改革を、本社で実践しながら顧客にもて提案する。「本社では以前からタブレットを支給し、会社以外の場所でも働くことができる体制を作っていたが、勤怠管理を少し工夫して、在宅勤務を取り入れていくためのトライアルを進めている」(大塚氏)。

 顧客との関係づくりとして、顧客ごとに「マイページ」を提供し、さらにAIを使って電話オペレーター、チャットボットなども取り入れていく。「こうした取り組みは、これまで社内データを蓄積してきたからこそ実現できる。全社ビッグデータを活用した検証を行う」とAIを活用したトライアルにも挑んでいく。

働き方改革
お客さまとの新たな関係づくり