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パナソニックが社内分社を北米に新設、ソリューション事業強化を図る

 パナソニックは、パナソニックノースアメリカの社内分社として、パナソニックシステムソリューションズノースアメリカを、2018年4月1日に、米国ニュージャージー州ニューアークに新設すると発表した。また、新会社のなかにデジタルソリューションセンターを開設し、北米におけるソリューション事業を強化する。

 パナソニック コネクティッドソリューションズ社の樋口泰行社長は、「パナソニックは事業部制が強く、事業部ごとにひもづいた形で海外子会社が存在していた。米州においてもたくさんの子会社が存在する。今回の新会社は、ソリューションセリングやレイヤーアップの体制を確立するために、コネクティッドソリューションズ社関係の子会社を統合することにした。個々のハードウェア単体でビジネスをドライブするのではなく、業界別体制で、お客さまのニーズを把握しつつ、自社製品同士の組み合わせや他社製品との組み合わせ、あるいはソフトウェアとの組み合わせによって、ソリューションを提供する組織になる」と位置づけた。

パナソニック コネクティッドソリューションズ社の樋口泰行社長

 新会社は、コネクティッドソリューションズカンパニー北米本部(CNSNA)のほか、セキュリティカメラや堅牢パーソナルコンピュータ、POSシステムなどを中心としたシステム製品を取り扱うパナソニック システムコミュニケーションズノースアメリカ(PSCNA)、プロジェクターや放送用カメラなどを取り扱い、エンターテインメント事業を担当するパナソニック メディアエンターテインメント(PMEC)、電子基板への部品実装機、溶接ロボットなどを取り扱うパナソニック ファクトリーソリューションズアメリカ(PFSA)を合併して設立するもので、現場のニーズに合わせたハードウェアの提供に加え、業界別営業体制を構築。「ビジネスフロント(現場)に根ざしたソリューションの提供により、顧客の経営に貢献する」(樋口氏)という。

 具体的には、パナソニックが持つ特徴のあるハードウェアに、ファクトリーオートメーション事業で培ったソフトウェア開発力を組み合わせ、システムエンジニアリングによって、他社にない付加価値の高いソリューションを提供したり、お客さまの経営課題を解決する付加価値の高いサービスを提供したりといった役割を担う。これらのソリューション事業の推進を通じて、製造拠点やシステムエンジニアリング、サービス基盤の稼働を最大化し、さらなる収益拡大を目指すという。

新会社の概要と狙い

 統合の中核を担う1社であるパナソニックシステムコミュニケーションズノースアメリカの中山正春社長は、「北米においては、以前から商品別、カテゴリー別の販売会社があったが、そこには合計すると100人規模でSEが在籍していた。だが、分散していたために効果が限定的であった。新会社の設立に伴い、SEを集約するとともに、これを倍増させることでエンジニアの力を最大化したい」と述べた。

 また、横串型の組織として、業界向けのソリューション力の強化を目的にした「デジタルソリューションセンター(DSC)」を新設し、蓄積した業界ごとの知見を共有しながら、共通のプラットフォームによってソリューション開発を進める体制を整えるという。

パナソニックシステムコミュニケーションズノースアメリカの中山正春社長

 DSCでは、コアテクノロジーを活用して、クラウドベースの共通プラットフォーム上で開発したサービスを提供するためのシステムインテグレーション機能を持ち、主に、北米における公共セキュリティ分野、製造分野、フード&リテール分野、物流分野、テーマパークなど、それぞれの分野に特化したソリューションを提供していくことになる。

 ここでは、先ごろ発表したB2B向けIoTサービスである「μSockets」を活用。マイクロサービスのモジュールを組み合わせる一方、日本におけるパナソニックシステムソリューションズジャパンが持つノウハウを生かしながら、米国市場向けにソリューション開発および提案を行っていくという。

 なお、μSocketsのSocketsは、創業者である松下幸之助が発明した二股ソケットからとったものであり、μは、マイクロサービスを指し、複数のマイクロサービスを組み合わせて提供するという意味を持たせたとした。

μSockets

 樋口氏は、「パナソニックシステムソリューションズジャパンの知見を、グローバルのソリューション販社と共有しやすい体制に持って行きたい」とコメント。また、パナソニックシステムコミュニケーションズノースアメリカの中山氏は、「米国に対してソリューションを提供するだけでなく、得意領域であるFA分野を中心に、米国からほかのリージョンをサポートするといった体制も整えたい。日本のパナソニックシステムソリューションズジャパンとも連携を深めていく。また、収益力の高いソリューションにシフトしていくことになるため、売り上げ成長よりも、利益率、利益額を成長させたい」と述べた。

 新会社の取り扱い製品は、パーソナルコンピュータ、放送機器、プロジェクター、業務用ディスプレイ、セキュリティシステム、業務用通信システム、POSシステム、ファクトリーオートメーション、LED大型画面表示システムなどの販売のほか、ソフトウェア開発、サービスによるシステムソリューションの販売を行う。

 なお、新会社の社長は現時点では未定であり、従業員数は約870人になる見込みだ。