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2016年度の国内クラウド市場規模は前年比4割増の1.4兆円、MM総研調査
2017年12月28日 11:00
株式会社MM総研は27日、国内クラウドサービス市場規模の2016年度(2016年4月~2017年3月)の実績と、2021年度までの予測、および需要動向に関する調査結果を発表した。
調査は、クラウドサービスを導入済みまたは検討中の法人計1360社を対象に、2017年12月にMM総研が実施したアンケートをもとにまとめたもの。
国内クラウドサービス市場については、2016年度の市場規模は前年度比38.5%増の1兆4003億円と大きく成長。クラウドの持つコストメリットやスピードメリットを背景に、社内の既存システムのクラウド移行は今後も続き、2021年度までの年平均成長率は20.6%、2021年度の市場規模は2016年度比2.6倍の3兆5713億円に成長すると予測している。
パブリッククラウド(SaaS/FaaS/PaaS/IaaS)の市場規模は、2016年度が前年度比40.9%増の3883億円、2021年度までの年平均成長率は22.1%で、2021年度には1兆556億円に達すると予測。また、特定の機能や関数をREST APIやHTTP、モバイルアプリなどで呼び出し、その実行環境をサーバーレスで利用できる「FaaS(Function as a Service)」の導入が2016年度から増加し、2016年度の実績は76億円となったとしている。
プライベートクラウド(デディケイテッド/オンプレミス/コミュニティ)の市場規模は、2016年度が前年度比37.7%増の1兆121億円、2021年度までの年平均成長率は20.0%で、2021年度には2兆5157億円になると予測する。
クラウドサービスに対するイメージについては、「情報漏えいなどのセキュリティが心配」と回答したユーザーの比率が、前年の調査時から大幅に減少した。クラウドサービス事業者のセキュリティ対応力の向上に加え、クラウドサービス利用者の増加に伴い、クラウドサービスの正しい理解が進んだことで、「自前でセキュリティ対策をするより、クラウド事業者に任せた方が安心」というイメージに変わりつつあると指摘している。
FaaSを基盤として活用している法人が利用するサービスでは「AWS Lambda」が35.3%と最も多く、次いで「Google Cloud Functions」が28.4%、「Azure Functions」が27.6%となった。最近では、ビジネススピードの加速に伴いアジャイル開発が進んできており、FaaSは開発スピードだけではなく、変更への柔軟性を担保できるサービスとして期待が高まっていると指摘している。
PaaSを基盤として活用している法人が利用するサービスでは、「Amazon Web Services(AWS)」が41.4%と最も多く、次いで「Microsoft Azure」が29.0%、「Google Cloud Platform(App Engine)」が17.1%となった。PaaSの利用を検討する企業においては、Microsoft Azureが24.6%と最も多かった。
IaaSを基盤として活用している法人が利用するサービスではAWSが35.5%で最も多く、次いでMicrosoft Azureが24.8%、「FUJITSU Cloud Services」が12.6%となった。AWSを追いかけるMicrosoft Azure(PaaS/IaaS領域)は、ユーザーの積極的な取り込みにより利用率が高まっており、2016年12月の調査時より3ポイント差を縮めており、上位2社における顧客獲得競争は一層激化することが予想されるとしている。
人工知能(AI)の導入を目的にクラウドサービスを利用・検討するユーザーの導入目的は、「業務効率化」42.0%で最も多く、次いで「リスク管理」が34.0%、「製品・事業としての展開」「開発力の強化」「新しい事業付加価値創出またはビジネス機会発見」が31.0%で続いた。国内の産業では金融業や情報通信業、製造業のAI導入率が高くなっており、いずれも業務や作業の効率化、自動化など、コスト削減のために導入するケースが多いと分析している。