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NECがディープラーニングの自動最適化技術を開発、認識精度の向上を支援

 日本電気株式会社(以下、NEC)は12日、認識精度の向上を容易に実現する、深層学習(ディープラーニング)の自動最適化技術を開発したと発表した。

 画像認識や音声認識などさまざまな分野で利用されているディープラーニングでは、深い層構造を持ったニューラルネットワークを用い、あらかじめ準備したデータを学習させることで高精度化を実現している。

 しかし、データを過度に学習すると、学習したデータしか高精度に認識できず、学習に用いていないデータに対する認識精度が低下する「過学習」現象が生じてしまうことから、学習が過度に進まないように学習の進行を調整する「正則化」技術が使われているという。

 ただし、ニューラルネットワークの学習の進み具合は、その構造によって複雑に変化するため、従来はネットワーク全体に対して同じ正則化を用いるしか手がなく、ネットワークの各層によって過度に学習したり、あるいは学習が進まなかったりする問題が生じ、本来の認識性能を十分に引き出すことが困難だったとのこと。

 これに対して今回開発された技術では、ニューラルネットワークの学習の進み具合を、その構造に応じて自動的に最適化する。

 具体的には、ニューラルネットワークの構造をもとに学習の進み具合を層ごとに予測して、各層の進み具合に適した正則化を層ごとに自動設定できる。これにより、ネットワーク全体での学習の進み具合を最適化可能なため、各層によって過度に学習したり、学習が進まなかったりする従来の課題を解決したという。

ニューラルネットワーク各層における正則化自動設定イメージ

 また今回開発された技術は、ニューラルネットの学習を行う前に一度だけ実施すればよく、学習にかかわる計算量は従来と同等のままで、高精度化を実現できるとした。

 NECによれば、この技術を用いた手書き数字データの認識実験において、認識エラーが20%程度削減されたとのこと。同社では、顔認証や行動解析などの映像監視の高精度化、インフラなどの点検作業の効率化、障害・事故や災害などの自動検知の実現が期待できるとしている。

学習データの数に対する認識エラー率の推移