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国内中堅中小企業のベンダー選択、SIer利用企業は「サポート」を重視~IDC Japan調査

 IDC Japan株式会社は7日、従業員数999人以下の国内中堅中小企業(SMB)を対象に2月中旬に実施したユーザー調査や、7月~9月に実施した主要ベンダー、地場の販売代理店、SIerなどへのヒアリング調査結果を基にした、国内SMB IT市場におけるベンダー動向を発表した。

 国内SMBユーザー調査では、サーバー、PCなどのハードウェアや、パッケージソフトウェアの導入状況の調査結果においては、購入先選定の理由としては「価格」を挙げる企業が最も多かった。

 ただし、購入経路によって選択理由の優先項目の傾向は異なり、購入経路として「ハードウェアベンダー(営業担当者)」「販売代理店」「小売店/量販店」を選択した企業では、「価格が安い」を挙げる企業が多かったが、「SIer」を選択した企業では、「保守運用が優れる」または「導入のサポートが充実」を挙げる企業が多かった。SMBにおいては、ハードウェアの低価格化が進む中で、導入、運用のサポートを拡充させ、他のチャネルとの「差別化」を図ることも有効だとしている。

国内中堅中小企業のベンダー選択、SIer利用企業は「サポート」を重視~IDC Japan調査 サーバー/PC購入先選定の理由(上位3項目):SMB、購入経路別、複数回答(出典:IDC Japan)
サーバー/PC購入先選定の理由(上位3項目):SMB、購入経路別、複数回答(出典:IDC Japan)

 IDC Japanでは、大手国内ベンダー/外資系ベンダーはSMB向けビジネスの強化のため、営業体制の整備、製品/ソリューションの強化を積極的に行っており、特に、これまでSMBでは活用が遅れていた、第3のプラットフォーム(クラウド、モビリティ、ビッグデータ/アナリティクス、ソーシャル技術)や、イノベーションアクセラレーター(IoT、コグニティブ/AIシステムなど)関連のソリューションについても展開が本格化し、地場の販売代理店/SIerにおいても、取り扱いの動きが始まっていると説明。

 ただし、大都市圏以外の地域では、SMBのITニーズの低迷などの要因から地域戦略の見直しに迫られるケースもある一方で、さらなる需要掘り起こしのために体制強化を図るベンダーもあり、パートナー企業へのサポートのあり方がさらに重要になるとしている。

 国内SMB IT市場の状況については、既存システム刷新案件がハードウェア低価格化、クラウドシフトなどの要因から小規模化している一方で、コグニティブ/AIシステム、IoTといったソリューション活用における新しいニーズが高まりつつあると説明。IDC Japan ITスペンディング リサーチマネージャーの市村仁氏は、「ITサプライヤーは、既存ビジネスの見直しを行うと同時にSMBのニーズに対応するために新しいビジネスモデルの構築が求められている」と分析している。