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キヤノンMJ、手書き帳票を高精度にデータ化する「手書き AI OCRソリューション」を提供開始

AIスタートアップ企業のコージェントラボと協業

 キヤノンマーケティングジャパン株式会社(以下、キヤノンMJ)と株式会社Cogent Labs(以下、コージェントラボ)は25日、AIを活用した手書きOCR分野で協業し、紙帳票の電子化や紙から業務システムへの入力業務の効率化を実現する「手書き AI OCRソリューション」を11月より提供開始すると発表した。

 「手書き AI OCRソリューション」は、コージェントラボのAIを活用した手書き文字デジタル化サービス「Tegaki」と、キヤノンの画像処理技術によるOCR開発キット「Rosetta-Stone-Components」を連携させ、活字と同様に手書き文字も高精度に自動認識させることで、金融機関における申し込み書類の処理など、紙文書からのエントリー業務全体の効率化と業務品質の向上を実現する。

「手書き AI OCRソリューション」の概要

 ソリューションでは、Rosetta-Stone-Componentsの画像補正や文字認識技術により、筆跡の明瞭化や傾きの補正、背景色のノイズ除去などの前処理を実施。読み取りやすい画像を作成した上で、Tegakiを活用して手書き文字を高精度にデータ化し、必要な情報を抽出する。

 Tegakiは、製造、販売、金融、医療、サービス、教育など、各種業界で使われている手書き帳票に書かれた文字を、高精度に認識するサービス。読み取る帳票をウェブブラウザー上で指定することで、手書き文字と活字を同時に認識することが可能。データの認識と読み取り結果はAPIで提供するため、利用中のシステムとの接続も容易に行える。

 手書き文字の読み取りについては、文脈から文字を認識する独自開発のAI技術でデータを処理し、ディープラーニングで学習させることで、読み取り精度の継続的な向上を可能にした。キヤノンMJが行った実証実験でも、手書き文字の自動認識率を大幅にアップすることに成功しており、再学習による認識率向上も確認できたという。

 「手書き AI OCRソリューション」の料金は、初期費用が個別見積もり、月額費用は20万円(スタンダードプランの場合)から。

 コージェントラボは、今後、多数の事例をもとに「Tegaki」の読み取り精度をさらに高め、企業のエントリー業務全体の効率化を支援する。

 キヤノンMJでは、確認や修正作業の手戻りを効率化する「定型・非定型OCRソリューション」との組み合わせや、業務システムとの連携など、顧客の要望に合わせたシステムを構築。金融、流通、製造業などの大手企業を中心に拡販し、顧客の業務プロセスの最適化を実現し、働き方改革を支援していくとしている。

 また、入力から保管、検索、帳票出力までのトータルドキュメントソリューションに加え、業務プロセスを管理するBPMや、作業を自動実行させるRPA、ドキュメントに関する各種コンサルティング、BPOなどを組み合わせ、顧客の業務プロセス変革を支援していく。

 キヤノンMJでは、AI・IoT関連技術を持つスタートアップ企業と積極的にアライアンスを進めることで、新ビジネスの創出を進めている。コージェントラボはキヤノンMJがリミテッドパートーナーとして出資する「FinTech ファンド」の投資先であり、今回の協業は、キヤノンMJのドキュメントソリューション領域におけるAI分野でのオープンイノベーション第一号となる。