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富士通研究所、AI技術で内部の損傷度合いを推定できるセンサーデータ分析技術を開発
2017年8月28日 12:39
富士通株式会社と株式会社富士通研究所は28日、富士通のAI技術「FUJITSU Human Centric AI Zinrai(ジンライ)」(以下、Zinrai)を活用し、橋梁内部の損傷度合いの推定に成功したと発表した。両社では今回、橋梁の表面に取り付けたセンサーで振動データを収集。Zinraiを活用して内部の損傷度合いを推定できる、センサーデータ分析技術を開発したという。
現在、橋梁の点検業務は、主に構造物の損傷確認を目視で行っているが、目視による情報だけでは、構造物の表面に現れた変状しかとらえられないため、内部の損傷度合いに関する情報は把握できない、という課題があった。
近年は点検業務のICT化に向け、橋梁床版(橋の上を通る車両の重みを橋げたや橋脚に伝えるための構造物)の表面にセンサーを取り付け、振動データを活用して損傷程度を評価するといった試みもされているものの、これまでの手法では、床版内部の損傷度合いをどう正確に把握するかが課題になっていたとのこと。
これに対して富士通研究所は今回、時系列データに対するDeep Learning(ディープラーニング、深層学習)技術を拡張し、IoT機器などに搭載したセンサーから取得される、変動の激しい時系列の振動データから抽出した幾何学的特徴を学習させて、構造物や機器などの正常値との差を表す異常度や、状態の急変を表す変化度を数値化し、異常の発生や特徴的な変化を検知する技術を開発した。
この技術を、モニタリングシステム技術研究組合(RAIMS)による加速試験(輪荷重走行試験)で取得された振動データに適用したところ、同技術で振動データから抽出した幾何学的特徴が、健全時は1つの固まりにまとまっているのに対して、橋梁に内部損傷が発生した際には形状が変化する結果が得られたという。
さらに幾何学的特徴の数値化を行い、そこから算出された異常度および変化度の結果と、床版内部測定用に埋め込んだ歪みセンサーの測定結果との一致を確認し、本技術の有効性が立証できたとのこと。
また、この技術により、橋梁表面に取り付けた1カ所の加速度センサーのデータ解析結果から、広範囲の橋梁内部の損傷度合いを推定できることが確認されたほか、内部歪みの発生を検知することから、損傷の初期段階の推定が可能となり、損傷の早期対策に貢献できるとしている。
今後は実証実験を重ね、橋梁表面に取り付けたセンサーで、内部の損傷度合いを遠隔から高精度に推定できるよう改善していく予定で、2018年ごろの社会実装を目指すとしている。