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パナソニック、頑丈PC「TOUGHBOOK」の新ハイエンドモデル
樋口泰行氏がパナソニック入社後、製品発表に初めて出席
2017年7月6日 06:00
パナソニック株式会社は、頑丈フィールドモバイル「TOUGHBOOK(タフブック)」の新製品として、12.0型デタッチャブルPC「CF-33」を、2017年9月下旬から日本国内で発売する。パナソニック コネクティッドソリューションズ社の樋口泰行社長は、「あらゆる業界のフィールドで貢献することかできる製品だと確信している」と、新製品に自信をみせた。なお、パナソニックストアでの価格は43万6200円(税別)から。
タフブックの新ハイエンドモデル
今回発表したCF-33は、2010年に発売し、これまでに43万台の累計出荷を持つCF-31の後継機種にあたり、タフブックのハイエンドモデルに位置づけられる。
頑丈性と薄型、軽量化を実現しながら、タブレットとしても利用できるデタッチャブル(着脱式)としたのが特徴で、120cm落下試験をクリアしているほか、IP65に準拠した防塵防滴性能を実現。MIL-STD-810Gに準拠した耐振動や、マイナス10℃~50℃の耐環境試験もクリアしているいう。重量は約2.76kgで、タブレット部のみの重量は1.53kg。
樋口社長が2017年4月にパナソニック入りしてから、製品発表の会見に出席するのは、今回が初めてだ。「土地勘」があるPC事業を最初の製品発表に選んだともいえる。
会見であいさつした樋口社長は、「日本マイクロソフト時代に、タフパッドの発表会にゲストとして出席したことがあったが、そのときには、まさか自分がタフブックの発表をするとは思っていなかった」と前置き。
「タフブックは今年で21年目を迎えた。オンリーワン戦略により、他社にはまねができない尖(とが)った技術により、尖った製品を作ろうという方針で開発したのがタフブックである。その間、お客さまの声をきっちりと聞き、現場でどんな使われ方をするのかをきっちりと理解し、そこにこだわって開発をしてきた。お客さまに育ててもらい、お客さまによってここまで仕上がった製品である。お客さまには大変感謝をしている」と述べた。
そして新製品について、「CF-33は、タフブックのフラッグシップモデル。ごつく見えるが、120cmの高さからの落下、長時間バッテリ駆動、大幅に軽量化を実現しながらも、タフな製品に仕上がっている」と特徴をアピールしている。
また樋口社長は、「コネクティッドソリューションズ社は、法人のお客さまに相対するカンパニーである。製造、物流、流通、公共のお客さまに対してバーチカルなソリューションを提供することになる。そのためには、業界や現場にフィットした製品を作らなくてはいけない。そして、尖った製品をコアデバイスとして開発していきたい。最新テクノロジーを搭載しながらも、手に取って使ってもらえる製品開発を引き続き進めていく。これからもコネクティッドソリューションズ社に期待してほしい」と述べた。
ユーザーの声を反映し頑丈と軽量を両立
パナソニック コネクティッドソリューションズ社 モバイルソリューションズ事業部の坂元寛明事業部長は、「CF-31は当初は30万台の計画だったが、それを大きく上回る実績となっている。だがその一方で、大画面を継続しながらも、約4kgという重量をもっと軽量化してほしいという声や、タブレットとしても、ノートPCとしても使いたいといった要望があったし、プラットフォームを刷新するタイミングにも入ってきた。一方、日本においては、1年前に、軽量化を実現するとともに、10型液晶ディスプレイを搭載したCF-20を試験的に発売したが、もう少し画面サイズが少し大きいものが欲しいという声も上がってきた」と話す。
その上で、「今回のCF-33は、タフブックの発売20周年モデルとして開発し、頑丈と軽量を両立したものとなっている。2017年5月からは欧米で販売を開始しており、いよいよ日本でも発売するものだ。救急・消防、電気やガス、水道などのユーテリティ、製造、物流などの業界を主要ターゲットとし、各業界の働き方をタフブックで改革していく」とした。
液晶は屋外でも見やすい約1200cd/m2の高輝度液晶を搭載。縦横比3:2の12.0型のQHD(2160×1440ドット)としており、静電容量式ながら手袋装着時や水滴付着時にもタッチ操作を可能になっている。またペンモードでは、画面に手が当たっても誤動作しない設計としたことなども説明された。
タブレット部には、バッテリパックを2本搭載。ホットスワップ対応としており、これにより約12.5時間の長時間駆動を実現した。コンフィグサービスを利用した大容量バッテリ搭載時には、最大で約25時間の駆動が可能だ。
さらに、兵庫県神戸市の同社神戸工場において、バーコードやシリアルコネクター、USB 2.0ポート、リアカメラ、ワイヤレスWAN、大容量バッテリなどの内蔵オプションを搭載できるコンフィグサービスを用意。各企業の用途に応じた仕様に変更できることを強調した。
パナソニック コネクティッドソリューションズ社 モバイルソリューションズ事業部 CF-33プロジェクトリーダーの上田大氏は、「過酷な現場に耐える頑丈設計のデタッチャブルPCであり、現場ニーズに細かく対応できる拡張性、現場で役立つ視認性、操作性、長時間駆動を実現した製品だ。頑丈設計では、タブレットとキーボードの接続において、ガードでタブレット部をしっかりと支え、凸凹部でタブレットとキーボードをかみ込ませる構造で保持機構を強化。パナソニック独自のダブルフック着脱機構により、2方向でロックし、使用時は外れにくく、着脱時は外しやすくした」と述べた。
パナソニックの坂元事業部長は、「タフブックは、1996年に米国政府向けにCF-25を発売。その後、AT&Tや米国警察への導入のほか、欧州の鉄道において車掌が利用する端末にも使用されている。標準仕様で提供するだけでなく、お客さまの困り事を解決したり、現場業務で必要な機能をカスタマイズして提供しているのも特徴。堅牢ノートPC分野では、約60%のシェアを持ち、15年連続でトップシェアを持っている」とコメント。同社によると、2016年度におけるパナソニックのPCの販売台数は73万台。そのうちタフブックおよびタフパッドは40万台。レッツノートは33万台の実績となっている。
「2016年度の日本国内におけるタフブックおよびタフパッドは、4万台の実績とまだまだ低いが、白バイには5型のタフパッドを搭載したり、物流事業者との商談が発生するなど、日本ならではの商談も出ている。レッツノートは、人の業務を改革する製品だが、タフブックは、作業現場そのものを改革する製品になる。12型までのフルラインアップにより、シェア拡大とともに、堅牢PC市場を拡大していく」と述べた。
2017年度は、日本国内において、タフブックおよびタフパッドで5万台の出荷を計画。今後、年平均成長率で20%増を目指すという。
一方、会見ではアルピニストの野口健氏がゲストで登場。「ヒマラヤやエベレストに登頂した際には、必ず10台ほどのPCを持って行き、気圧が安定したタイミングを見計らって、PCを使っていた。気圧の急激な変化によって、圧がかかり、ハードディスクがクラッシュすることがあったり、登山中の振動で壊れたり、凍ってしまって液晶が表示できなくなったりということがあり、5~6台が壊れてしまう。また、持ち運びの際にも、1カ月半以上もの間PCに気を遣っており、そこにエネルギーを持って行かれるということもあった。エベレスト(チョモランマ)の清掃活動などにおいても、CF-33があればよかったと思う。12月にはヒマラヤに登頂する予定であり、CF-33を使って、ヒマラヤから世界に発信したい」などと述べた。
また、氷漬けにされたタフブックを見て、「この状態でも動作することはすごいが、もし、エベレストでこの状況になったら、私の方が死んでいる」などと話し、会場を沸かせた。