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すっぴんでもメークしたような顔でビデオ会議できるアプリ、資生堂とマイクロソフトが開発

 株式会社資生堂は7日、オンライン会議の画面に表示される顔に自動で肌色を補正し、メークを施すアプリ「TeleBeauty(テレビューティー)」を発表した。日本マイクロソフト株式会社より技術支援を受けて開発しているという。

TeleBeauty使用前後の比較

 今回発表されたTeleBeautyの試用モデルは、Skype for Businessのカメラデバイスとして動作するアプリ。カメラに映っている顔の画像をTeleBeautyが補正し、すっぴんでも、Skypeの画面にはメークされているかのように表示する仕組みとなっている。

 利用方法はSkype for Businessの設定画面からビデオカメラとしてTeleBeautyを選択するだけなので、誰でも簡単に、補正した顔の画像でオンライン会議に参加することができる。

 リアルタイムの動画に対する画像補正のため、メークの効果が人物の動きについてくるかどうかを実際のアプリで試用してみたが、かなり頭を動かしてもメーク効果がズレて福笑いのようになることはなかった。肌色の補正は女性だけでなく男性にも効果が高いという。ただしヘアスタイルの補正機能はないので、寝癖などはそのまま反映されてしまうので注意が必要だ。

 実際にTeleBeautyでは次のような補正を行っているという。

・メークパターンをワンクリックで画面の顔に反映させる「自動メーク」
・カメラ性能、照明環境、服や背景の色などにより顔色が悪く見えることを避ける「顔の明るさと色の補正」
・メークや照明環境によって目立って見えてしまう毛穴、しわ、隈などを自然にぼかす「肌のテクスチャの補正」
・目元・口元のメークの濃淡を調整可能な「オプションモード」

 現在実装されているメークパターンは、「Natural(自然なメーク)」「Trend(2016年の流行)」「Cool(シャープ)」「Feminine(かわいらしい)」の4種類。自動メークについては、資生堂のアーティストが持つメーク技術、店頭での運用実績もあるメークシミュレーション技術、トレンド情報などを活用しているという。

Natural(自然なメーク)
Trend(2016年の流行)
Cool(シャープ)
Feminine(かわいらしい)

 さらに、自宅や外出先からオンライン会議に参加した際、背景が映りこむことを好まない女性も多いことから、顔以外の背景をぼかす機能も搭載されている。

 資生堂 執行役員の副島三記子氏は、「これまで資生堂は女性の人生に寄り添い、さまざまな気付きを得てきた。女性が抱えるさまざまな悩みを解決する知見を生かすことで、何か社会に役立てるのではないかと考えている」と述べる。

 さらに、TeleBeauty開発の背景として「働き方の多様化が進み、働く場所や時間に捉われず柔軟な働き方ができるテレワークを活用する人が男女ともに増えている。このテレワークに資生堂ならではの知見として、自宅からオンライン会議にフルメークは面倒だったり、疲れていて顔色が悪いといった女性の悩みを解決する」と話した。

資生堂 執行役員の副島三記子氏

 女性が抱えるオンライン会議への主な悩みについて、資生堂 宣伝・デザイン部 クリエーティブ企画室長の片岡まり氏は、「自宅からSkypeで会議をされる女性の多くは、会議のためだけにメークなどの身なりを整えるのが大変だと感じている。背景がカメラに映りこんでしまうため、自宅内でもどこで会議していいのか迷う方も多い。また、メークをしている場合であっても、PCのカメラはアングルが下からで首や顎が太く見える、肌色がきれいに見えないなど。化粧をしていても綺麗に見えないといった意見も多く、PCに付属しているカメラのレンズに付せんを張ってしまう人も多い」と述べる。

 しかし、こうした悩みを解決するためのアプリとしてリリースされたTeleBeautyでは、「ビジネスシーンにおける自分らしい美しさを再現し、自信を持ってオンライン会議に参加できるアプリだ」アピールした。

 また、顔の画像にメーキャップしているような補正を行うことで、化粧品の売り上げが下がってしまうのではないかという懸念について、片岡氏は「デジタル上で自分の美しさを再確認したり、似合うメーキャップパターンを発見することで新しい色や美容法へのリアルなチャンレジにつながる」と述べ、仮想的なメーキャップが逆にチャンスの拡大につながるとの予測を示した。

資生堂 宣伝・デザイン部 クリエーティブ企画室長の片岡まり氏

 一方で、日本マイクロソフト 執行役員常務の織田浩義氏は、「マイクロソフトがテレワークに力を入れるのは、そこに“うまみ”があるため。リモートで仕事をする人は1995年当時と比較すると4倍に増加し、日経平均銘柄の80%の企業はマイクロソフトのクラウドを活用している。時間と場所から解放されることで、働く“質”が向上し、女性の離職率も40%まで低下している」とテレワークの重要性をアピールした。

 日本マイクロソフトは、同社が今年も展開する「働き方改革週間2016」(2016年10月17日(月)~21日(金))においてTeleBeautyを賛同法人による試験運用を実施するほか、日本マイクロソフトの女性社員100名の試験運用も実施するという。

日本マイクロソフト 執行役員常務の織田浩義氏