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富士通、マンホール蓋をセンサーノード化、ゲリラ豪雨対策の下水道氾濫検知ソリューション販売開始

自然エネルギーを電力に変換する熱電変換ユニットを搭載し、運用を効率化

 富士通株式会社は15日、下水道事業者向けにゲリラ豪雨などによる被害軽減を目的とした下水道氾濫検知ソリューションの販売を開始した。

 ソリューションでは、水位情報を収集するセンサーを下水道のマンホールに設置し、無線通信で5分ごとの水位情報をクラウド上に収集する。急激な下水道管路内の水位上昇を即座に検知でき、局所的な集中豪雨に伴う氾濫被害の軽減に向けた迅速な対応が可能となり、蓄積した水位情報から排水計画の検証や管路更新計画に役立てられる。

下水道氾濫検知ソリューションのシステム構成

 収集した水位情報は、水位モニタリング用アプリケーションで地図上にグラフ表示する。これにより、自治体の防災担当者が、ウェブブラウザーからインターネット経由で各マンホールの水位情報を確認し、有事の際には、地域住民に対して即座に氾濫情報の通知や被害抑制に向けた事前対応を行うことができる。

 ソリューションに用いるハードウェアは、株式会社富士通研究所による研究開発および2015年度から行っている福島県郡山市での実証実験をもとに、富士通九州ネットワークテクノロジーズ株式会社が製品化した。

 水位情報を収集するセンサーには、マンホール蓋の温度変化から得られるエネルギーを電力に変換する熱電変換ユニットを用いて電力を供給する。これにより、小型化・高効率化を実現することで、マンホール蓋への直接搭載を可能とした。また、バッテリーのみでセンサーを駆動する方式と比較すると、電池交換周期が10カ月から5年に延長でき、運用を大幅に効率化するとともに、電源敷設工事が不要となり、導入コストの抑制が見込める。

マンホール蓋への装置搭載イメージ

 2015年度に改正・施行された水防法では、地下街などの周辺地域に対し、下水道施設の水位情報を周知する制度が創設された。しかし、従来方式の1つである、光ファイバーを用いた下水道管路内の水位測定方式では、測定箇所まで専用ケーブルを敷設する必要があり、導入のために多大なコストがかかり、バッテリーを搭載した水位センサーを活用する方式は、頻繁に電池交換を行う必要があり、多大なメンテナンスコストがかかる課題があった。

 ソリューションの販売価格は個別見積もり。富士通では今回のソリューションにより、システム導入コストや運用コストを抑制するとともに、下水道氾濫による被害を軽減することに貢献するとしている。