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Amazonのデータベース「Amazon Aurora」は、AWS史上最も成長スピードが速いサービスに~AWS説明会
2016年7月29日 13:35
米Amazon Web Services(AWS)の日本法人アマゾンウェブサービスジャパン株式会社は28日、AWSの最新動向に関する説明会を開催した。
アマゾンウェブサービスジャパン技術本部本部長の岡嵜禎氏は、AWSの現状について紹介した。AWSのアクティブカスタマー数は100万を超え、日本でAWSクラウドを利用する顧客は2万以上に上り、世界全体では95億ドルを超えるビジネス規模になっていると説明。さらに機能面でもアップデートを続けており、2015年には722の新機能や機能改善、サービスがAWSに追加されたとした。
最近の新たなサービスとしては、6月27日にはAWSの13番目のリージョンとして、インドに「アジアパシフィック(ムンバイ)リージョン」を開設。6月29日には、ファイルストレージシステムの「Amazon Elastic File System(EFS)」が、米国東部、米国西部、EUの3リージョンで利用可能になったことを挙げた。
Amazon EFSは、Amazon EC2からNFSを使ってネットワーク経由でアクセスできるストレージサービス。NFS v4を利用しており、Linuxからマウントして利用できるため、既存アプリとの親和性が高い。現在、日本のリージョンではまだ利用できないが、ユーザーからの要望も高いため、対応を進めていくとした。
アマゾンウェブサービスジャパン技術本部エンタープライズソリューション部部長の瀧澤与一氏は、AWSで提供しているデータベースサービスについて説明した。
瀧澤氏は、データ処理をクラウドで行うようになったことで、より大容量のデータを扱えるようになり、データ処理に対する考え方も変化してきていると説明。従来は、大量のデータは分析を行った後に捨てていたが、クラウドサービスの低廉化、高機能化により、そうしたデータを「データレイク」としてすべて保存しておき、多様な分析につなげるという手法が可能になっているとした。
AWSでは代表的なデータベースサービスとして、MySQL、PostgreSQL、Oracle DB、SQL Serverに対応する、フルマネージドRDBMS「Amazon Relational Database Services(RDS)」を提供している。
また、データベースとしては、Amazon自身がクラウド時代に向けて再設計したデータベース「Amazon Aurora」も提供している。Amazon AuroraはMySQL互換で、高い可用性を持ち、64TBまでディスクがシームレスにスケールするといった特徴があり、AWS史上最も成長スピードが速いサービスだとした。
既に、日本でも多くのシステムがAmazon Auroraに移行・検証が進んでいるとして、毎日新聞社の事例を紹介。現在、毎日新聞社のコンテンツを格納しているデータベースはすべてAmazon Auroraになっているという。また、当初はRDS MySQLを検討していたが、高速なフェイルオーバー、障害耐性面、MySQLより低コストといった理由からAmazon Auroraの採用に踏み切り、本番移行2週間前に決断したが、アプリケーションの変更は一切なかったという。
また、ゲーム会社のGraniでは、Amazon Auroraを採用したことで年間2200万円超のコスト削減効果が期待できるようになり、ドワンゴの「Live Dwango Reader」では、これまでMySQLに蓄積された大量の記事情報をAmazon Auroraに集約したといった事例を紹介した。
瀧澤氏は、こうしたデータベースの移行には大きなメリットがある一方、コストや時間などの面から難しいと考えている顧客に対しては、マイグレーションサービスの「AWS Database Migration Services(DMS)」や、移行に必要なスキーマやコード変換といったタスクの多くを自動化するツール「AWS Schema Conversion Tool(SCT)」を提供していると説明。Oracle、MySQL、PostgreSQL、SQL Server、MariaDB、SAP ASEなど多くのデータベース間の移行をサポートしており、今年これまでにAWS DMSを使って移行した顧客は2000を超えるとした。