インタビュー

GitHubの担当者に聞く、「GitHub Actionsはどう使われていくのか?」

 今回のGitHub Universeでの発表の目玉となったのは、間違いなくGitHub Actionsであり、世界中のGitHubユーザーの関心を集めている。

 このGitHub Actionsについて、GitHubのSam Lambert氏(Head of Platform)と、Max Schoening氏(Senior Director, Product Design)に話を聞いた。

GitHubのSam Lambert氏(Head of Platform)

GitHub Actionsは「申し込みの待ち行列が信じられないぐらい長かった」

 まず、発表に対するユーザーの反応について尋ねると、「とてもハッピーでポジティブで、みんなエキサイティングだと言っていました。β版への申し込みが殺到して、待ち行列が信じられないぐらい長くなり、ダッシュボートがクラッシュしたほどです(笑)。ソーシャルメディアの反応も、書き込みの数だけでなく、皆の意欲が伝わってきました」とのことだった。

 GitHub Actionsの使い方としては、CI/CD(継続的デリバリー/継続的インテグレーション)がまず考えられる。すると、GitHubからのCI/CDとして利用されているCircleCIやTravis CIなどの外部サービスと競合するのではないかという心配があるが、これについては「競合するとは考えていません。別ものだと考えています。GitHub Actionsでは自分のユースケースに合わせてワークフローを作っていくことができます」という回答だった。

 ちなみに筆者がCircleCIの展示ブースで「GitHub Actionsは敵だと思うか味方だと思うか」とぶしつけな質問を投げかけたところ、「GitHub ActionsからもCircleCIが使え、互いにプラスになる関係だと思う」との返事だった。

 さて、GitHubはGitHub Actionsというフレームワークを用意するが、その中で組み合わせられる各アクションはユーザーが作ると考えているのだろうか、それともGitHub自身でアクションを用意する考えなのだろうか。

 これについては「これはオープンソースソフトウェア(OSS)と似たものと考えられます。他人が作ったアクションやワークフローを使うだけの使い方も、自分で作ることもできます。正確な割合はわかりませんが、イメージとしては、使うだけの人が8割、作る人が2割ぐらいと思っています」との回答だった。

 なお、「アクションを開発するようプロモーションしていくか」という問いについては、当然「Yes」と返ってきた。

 そして気になるのは、いつ正式サービス(GA)になるのかということと、そのサービス形態がどうなるかということだ。

 時期については「われわれのプロダクトのリリースの考え方は、徐々に進めるというものです。βテストのユーザーが増えても新しいフィードバックがあまり得られないようになったら、そこでGAとします」という。

 無料か有料か、その形態はといったことについては「GitHubのリポジトリと同じモデルを考えていて、オープンソースの利用には無料(提供)を考えていますし、クローズドソースの利用には課金を考えています。エンタープライズ利用についても、柔軟性と情熱のある楽しい開発環境を企業ユーザーに提供する考えで、それはGitHub.comとGitHub Businessと同じです」との回答だった。

Microsoftの顧客からエンタープライズユーザーを獲得する

 GitHubというと無償でソースコードを公開する用途が有名だが、オンプレミス用のGitHub Enterpriseなど有償ビジネスも盛んで、それによって堅調な売り上げを立てている。こうした同社のビジネスについて、GitHubのPaul St John氏(Vice President of Sales)に話を聞いた。

GitHubのPaul St John氏(Vice President of Sales)

 まずGitHubで販売しているものとしては、プライベートリポジトリ(非公開リポジトリ)、あるいはDeveloperプランやTeamプランなどの有料プランがある。

 また、上記のようにオンプレミス用ソフトウェアとして販売するGitHub Enterpriseもあり、「日本でもGitHub Enterpriseを使っている企業が多く存在します」との言葉だ。なお、売上の55%ほどはソフトウェア販売で、残りの45%ほどが有料プランなどだという。

 そのほか、プロフェッショナルサービスも提供している。トレーニング、バージョン管理システムの移行、ソフトウェアのセットアップなどだ。

 なお、オープンソースの開発者向けビジネスというと、無償のイメージもあり、企業のビジネスとして成長させるには課題があるのではないかとも考えられる。これについては「その通り、開発者はあまりお金を払いたがらない。しかしビジネスでは、イノベーションや安全にはお金を払います。例えば、ある医薬品会社が、チームでセキュアに使うために有償で利用しています」との答えだった。

 日本でのビジネスも、2015年にスタートしてから毎年成長している。それから2年10カ月の期間で、年次収益(ARR)では300%以上成長しているという。

 また、これからの成長としては、「最低50%の成長を期待している」とする。その要因としてJohn氏は2つを挙げた。

 1つは、Microsoftによる買収だ。「Microsoftはエンタープライズな顧客を多く抱えています。われわれの従来の顧客に加えて、Microsoftの顧客から新規顧客を獲得し、そこで成長できると考えています」とJohn氏は話す。

 もう1つは開発者の仕事の増加で、「企業でソフトウェアの活用を求められると、開発者のニーズが増えます。それに向けて、ほかの業界から開発者に転向することもあるでしょうし、新興国市場も大きいと考えています」とJohn氏は語った。