米Oracle、クラウドサービスにおけるパートナー向けプログラムを公表

日本でのプログラム導入は「今後検討へ」


 米Oracleは9月30日(米国時間)、クラウドビジネスにおける新たなパートナープログラムについて公表した。今後、日本における導入についても検討していくことになる。

 同日から米カリフォルニア州サンフランシスコのモスコーニ・コンベンションセンターで開催されている「Oracle Open World San Francisco 2012」において、Oracle ワールドワイドアライアンス&チャネル担当シニアバイスプレジデントのJudson Althoff氏が明らかにしたもので、5つのプログラムで構成される。

 

Oracle特化型クラウドの支援やリセールプログラムなどで構成

プログラムの1つ、Oracle Cloud Builder
米Oracle ワールドワイドアライアンス&チャネル担当シニアバイスプレジデントのJudson Althoff氏

 ひとつめの「Specialized Oracle Cloud Builder」は、Oracleのデータベース、ミドルウェア、仮想化、Linux、Engineered Systemなどを活用した、Oracle製品に特化したクラウド環境を構築するためのパートナー向け支援プログラムだ。Oracleのコンサルティングチームなどが支援。プライベートクラウド、パブリッククラウド、ハイブリッドクラウドを問わずに対象としていく。

 「Oracleの製品は、あらゆるクラウドサービスで利用されており、アマゾンやグーグル、セールスフォース・ドットコムといった競合でさえも、Oracleの製品がなくてはクラウドサービスを提供できない。2500万社のユーザーがOracleのクラウドを利用しており、業界で最先端の技術を活用した環境構築を支援していくものになる」とした。

 2つめは、パブリッククラウドに関する紹介制度である「Refer Program」。2万5000社のOracleパートナーネットワークを活用し、ERPをはじめとする14種類の同社サービスを利用する顧客を獲得していくことになる。「現在、パートナーへの条件、コミッションなどを検討しているが、競争力があり、高い利益を提供できるものになる」などとしている。

 3つめは、Cloud Service Specialization with RapidStart。顧客の多様な要求に対して、迅速にクラウドサービスを提供するための仕組みで、システムインテグレータやVARなどを通じて、提供していく。「当社が持つ知財を活用し、競合よりも速く、クラウドサービスを提供するものになる」と位置づけた。

 4つめがResale Programで、クラウドのスペシャリゼーション認定パートナーが、パブリッククラウドサービスを活用して展開するもの。RapidStartを活用した営業支援体制と、スペシャリゼーションが持つ技術スキルを組み合わせて提供するものになるという。「単にソリューションとして再販するだけでなく、パブリッククラウドサービスを活用したリニューアル、クロスセールス、アップセールスなどを展開できる」などとしている。

 最後が、ISVを対象にしたPlatform Services for ISV's。ISV側からみれば、Oracleをパートナーの1社として捉え、Oracleが提供するPaaSを活用。「すべてのスタックを結びつけるにはどうしたらいいか、ホスティングのプロバイダがアップグレードしたいといった場合にはどうするか、アプリケーションのロジックにどんな影響を与えるのか、といったことを気にすることなく利用できるPaaSを提供する。開発環境だけでなく、本番環境でもOracleのPaaSを利用してもらうことで、ISVはアプリケーションの開発に集中してもらえる」とした。

 

国内での展開は検討中、Engineered Systemsはパートナーも拡大へ

 Althoff氏は、「これらのプログラムを多くのパートナーに参加してもらい、クラウドサービスをビジネスのチャンスに結びつけてほしい」とした。

 さらに、OracleのMarc Hurdプレジデントも、「Oracleは、クラウドに関しては、優れた技術と製品を提供している。これをパートナーが活用してビジネスを展開できる点は、パートナーにおいても大きなメリットをもたらすことになる」などと語った。

 なお、日本オラクル アライアンス統括の渡部洋史執行役員は、「今後、日本でもこのパートナープログラムを導入について検討をしていくことになる」としている。

 一方で、同社では、Engineered Systemsに関するパートナー販売を加速していく姿勢をみせ、「全世界で300社のパートナーがEngineered Systemsを販売しており、IBMやHPを販売していたパートナー企業が、従来型のUNIXシステム市場などを対象にして販売するといった動きがみられている」などとした。

 さらに、Oracle Open World San Francisco 2012の会場において、OPN(Oracleパートナーネットワーク)の最上位のSpecializedレベルとなるDiamondに新たに日立製作所が加わったことも明らかにされた。

 Diamondレベルは、20以上のSpecialized認定を取得しなくてはならず、日本では富士通がすでにDiamondレベルのパートナーとなっている。


日本オラクル アライアンス統括の渡部洋史執行役員Diamondレベルのパートナー。今回、日立が加わった
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(大河原 克行)
2012/10/1 09:21