次期Officeは「デバイス、クラウド、ソーシャル、管理」の4つの価値を提供
業務執行役員Officeビジネス本部本部長のロアン・カン氏 |
日本マイクロソフト株式会社が開催している「The Microsoft Conference(MSC) 2012」の28日の基調講演では、同社業務執行役員Officeビジネス本部本部長のロアン・カン氏が登壇し、次期Officeの「Office 2013」とクラウド連携の次期「Office 365」について語った。
カン氏は、スマートフォンやタブレット端末などモバイルデバイスの急速な普及に加え、多くの企業がクラウドへの移行を進めており、多数の人々がソーシャルネットワークを利用するようになっているという変化が、現在のワークスタイルのトレンドとなっていると説明。こうした「デバイス、クラウド、ソーシャル」の3つの変化への対応に加え、企業向けのより強力な「管理」という4つの価値を次期Officeでは提供するとした。
次期Officeの新機能については、Officeビジネス本部プラットフォームマーケティンググループ部長の吉村徹也氏がデモを交えながら紹介。Office 2013では、タッチ操作のタブレット端末に対応する新たなユーザーインターフェイスを搭載し、マウス操作とタッチ操作の場合で表示するメニューの大きさを変えるなど、ユーザー環境に応じて最適なインターフェイスを提供していくと説明。デモで紹介したインターフェイスは、現在一般公開しているカスタマープレビュー版からさらに改良が施されており、現在もユーザーからのフィードバックを得て改良を進めているという。
マウス操作時のメニュー | タッチ操作時のメニュー。指での操作に合わせてメニューを大きく表示している |
クラウドとの連携では、文書の保存先が標準でオンラインストレージの「SkyDrive」となっており、「最近使ったファイル」の情報もクラウド上に保存されるため、複数の端末で同様の作業環境が得られると説明。企業向けにも、「SharePoint Online」として提供しているオンラインストレージサービスを、「SkyDrive Pro」という名称で提供していく予定だとした。
管理機能では、Exchange Serverの情報漏えい防止機能や、訴訟の際にメールなどのデータを証拠として開示するeDiscoveryのための機能を紹介。情報漏えい防止機能では、メール中の文字列などをフィルターで判定して、クレジットカード番号などポリシーに違反する内容が含まれていた場合に警告を表示するといったデモを披露した。
さらに、Officeの展開支援や運用モニタリングを行う「Officeテレメトリダッシュボード」を紹介。エージェントが収集したデータを分析することで、エラーが発生している文書ファイルやエラーの原因、解決方法などを確認できるツールで、日本の顧客からの要望により日本で開発されたものだという。
Exchange Serverの情報漏えい防止機能 | Officeテレメトリダッシュボード |
また、新しいアプリケーションモデルとして「Apps for Office」のデモを披露。Outlookでメール内に含まれる顧客IDとデータベースと連携させたり、ExcelでファイルとBingマップを連携させるといったアプリを、JavaScriptやHTML5などの標準技術で作成できるもので、これらのアプリを公開・販売できる「Office Store」が用意されるほか、企業での配布向けにはイントラ内のストアも構築できるとした。
メール文中のIDとデータベースを連携するアプリの例 | ExcelとBingマップを連携するアプリの例 |
カン氏は、現在公開しているOffice 2013や次期Office 365のカスタマープレビュー版は、既存のOfficeとも併用できるため「試さない理由はないと思う」として、来場者にもぜひカスタマープレビュー版を試用してほしいと呼び掛けた。