イベント
IIJがエッジデータセンターを出展、KDDIはAIデータセンターとその上で動くAIサービスなどを展示
Interop Tokyo 2025 ブースレポート
2025年6月23日 06:15
最新のネットワーク技術を中心としたICT技術やソリューションのイベント「Interop Tokyo 2025」の展示会が11日、千葉県千葉市の幕張メッセで6月11日から13日まで開催された。
IIJ、現場に設置できるエッジデータセンターを2種類展示
展示会場の「Data Center Summit」コーナーの中のインターネットイニシアティブ(IIJ)のブースでは、エッジデータセンターを展示していた。
「DX edge Cool Cube」は、19インチラック1架に、冷却装置や電源装置などを備えたモジュール型データセンターだ。現場に近いところにミニデータセンターとして設置することを想定している。
GPUサーバーも収容可能な45kWの電力使用に対応しているのが特徴で、河村電器産業との共同開発。現在、検証パートナーを募集しているという。
ブースでは実物大のパネルが展示されていたほか、MR(複合現実)で立体的にDX edge Cool Cubeの様子が見える展示も用意されていた。
「DX edge Pro」は、さらに小規模で運搬も可能なマイクロデータセンター(MDC)だ。12U・25U・38Uの3モデルに、それぞれ屋内設置タイプと屋外設置タイプがある。工場などの現場で収集したデータを一次処理してクラウドに送る用途などを想定している。
ブースで展示されていたのは25Uの屋内型だ。冷蔵庫のようなコンパクトなサイズの中に、空調設備や、無停電電源(UPS)、スマートPDUなどを備える。遠隔制御可能な電子錠や、セキュリティカメラも装備して、ドアを誰が開けたかなどを確認できる。
KDDI、大阪堺データセンターをイメージしたAIデータセンターとその上のサービスを展示
展示会場の「Data Center Summit」コーナーの中のKDDIのブースでは、AI時代のビジネスプラットフォーム「WAKONX」ブランドを掲げて展示していた。
ブース正面には、3月にスペインで開催されたモバイル業界の展示会「MWC Barcelona 2025」でも展示されたAIデータセンターの模型が設置されていた。
2026年春に開業予定の大阪堺データセンターをイメージしたもので、GPUサーバーや水冷システムなどを搭載する。NVIDIAのリファレンスアーキテクチャーNVIDIA GB200 NVL72を採用とのことで、NVIDIA GB200スーパーチップの実機も展示していた。
ブースではそのほか、さくらインターネット株式会社と株式会社ハイレゾとの3社で、各社のデータセンターのGPUを相互に利用していくことに関して共同検討することで合意したことについても紹介していた。
データセンターのインフラの上で動くAIサービスも展示されていた。
KDDIの連結子会社である株式会社ELYZAは、法人向け生成AI SaaS「ELYZA Works」を展示しデモしていた。
ELYZA Worksは、生成AIアプリを、生成AIを使って自動生成できるクラウドサービスだ。定型業務で使われるフォーム形式のアプリを、AIやコーディングの知識なしに作れる。
用意されたさまざまな業務の中から目的の業務を選んで、アプリの説明を自然言語で入力すると、UIであるフォームとその裏で使われるAIへのプロンプトが作成される。
「KDDI Retail Data Consulting」は、小売店の店舗開発についてAIがコンサルティングするソリューションだ。KDDIの持つ人流データや興味関心データなどと、顧客が持つ会員データや商品データなどを組み合わせ、出店候補地や商品などをAIが提案する。顧客から売上データを提供してもらえば、売上予測もするという。
KDDI自身のAI活用事例として、KDDI-BX(営業組織改革プロジェクト)×生成AIについても展示されていた。営業における、商談仮説検討、資料作成、レビューのそれぞれのフェーズをAIが助けるものだ。
商談仮説検討の段階では、「A-BOSS」が企業リサーチから提案の仮説までサポートする。資料作成のフェーズでは「資料作成支援AI」、SharePointに蓄えられた社内の過去資料をベースに、営業担当者が入力したAIプロンプトから提案書を生成する。生成された提案書をもとに自分で手を入れて完成させたら、上司の指摘を学習したA-BOSSがレビューもしてくれる。