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BBIX、NTT-AT、キーサイトの最新ソリューションを紹介 NICTはWarpDriveの大型アップデートを展示
Interop Tokyo 2025 ブースレポート
2025年6月23日 06:30
最新のネットワーク技術を中心としたICT技術やソリューションのイベント「Interop Tokyo 2025」の展示会が11日、千葉県千葉市の幕張メッセで6月11日から13日まで開催された。
NICT、WarpDriveの大型アップデートや、NICTERのリアルタイム統計分析などを新展示
国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)のブースでは、サイバー攻撃統合分析プラットフォーム「Nirvana改」や、サイバー攻撃観測・分析システム「NICTER」、セキュリティ情報融合基盤「CURE」、Web媒介型サイバー攻撃対策プロジェクト「WarpDrive」などを展示していた。
今年の最新展示としては、5月に発表された「WarpDrive」の大型アップデートがある。WarpDriveは、ウェブ媒介型サイバー攻撃(悪性のウェブサイトを閲覧するだけでマルウェアに感染してしまう攻撃手法)の実態把握と対策技術向上のためのユーザー参加型プロジェクト。アニメ「攻殻機動隊 SAC_2045」とタイアップしている。
今回のアップデートでは、ゲーム機能「訓練プログラム」を一新し、ゲーム内で出題されるセキュリティやITに関するクイズの問題数を3000問以上に大幅増加した。また、セキュリティやITの技術分野別に学習できる「通常学習モード」のほか、情報処理関連の各種資格試験にあわせた「試験対策モード」を用意した。
サイバーセキュリティ研究開発の分野では、新しいツールとして「NSD(NICTER Stream Detector)」が展示されていた。
NICTERは、使われていないIPアドレス(ダークネット)への通信を観測するシステムだ。使われていないIPアドレス宛の通信は、攻撃目的のIPアドレスのスキャンが疑われる。NICTERは、こうした通信を分析するものだ。
通常のNICTERは単位時間ごとにデータを分析して可視化する。それに対してNSDでは、リアルタイムで統計分析した結果をターミナルのキャラクター画面に表示する。これによって、例えばマルウェア「Mirai」によるスキャンがどれだけ行われているかという統計情報や、ランキングの表示などが、リアルタイムでできるという。
若手セキュリティイノベーター育成プログラム「SecHack365」の2024年度修了生の作品も展示されていた。
SecHack365は、25歳以下を対象にした、365日の長期ハッカソンで研究開発を行うプログラムだ。アプローチの異なる「表現駆動コース」「学習駆動コース」「開発駆動コース」「思索駆動コース」「研究駆動コース」の5コースに分かれて取り組む。
ブースを取材したときには、作品として「デジタルひきゃく」が紹介されていた。チャット型のコミュニケーションアプリだが、紙の手紙を意識した「あえて、遅い」というのがコンセプトだ。メッセージを出してから、決められた距離を自分が歩かないと相手に届かない。また、便せんも選べるところも手紙風にしてある。
BBIX、クラウド型閉域網サービスOCXを展示、モバイル回線のOCX Mobile Accessも
BBIXのブースでは、ネットワーククラウドサービス「OCX(Open Connectivity eXchange)」について展示されていた。
今回、OCXの中の「OCX Mobile Access」が、Interop Tokyo 2025で出展企業の製品やサービスを表彰する「Best of Show Award」において、「モバイルコンピューティング(5G / 6G)部門」のグランプリを受賞した。ブースでの説明によると、OCXのサービス全体がさまざまな形で使える中でのモバイルサービスというのが受賞理由とのことだった。
OCXは、閉域網のサービスだ。OCXを真ん中に挟んで、顧客側とクラウド側を接続する。顧客側とはさまざまな回線にて閉域網で接続。そしてもう一方では各種SaaSやパブリッククラウド、ガバメントクラウドなどの基幹系のサービスと接続する。これにより、顧客とクラウドサービスの間を閉域網で、かつ柔軟に接続できるのが特徴だ。
そしてOCXは直販でなく、各地の通信事業者などのパートナーから販売している。このパートナーは、オンデマンドでポータルから要件を設定するだけで、顧客とサービスをつなぐ通信サービスをすぐに利用できるようになる。
例えばポータルから、顧客との接続に「Physical Port」を購入し、AWSとの接続に「Cloud Connection」を購入して、論理的に接続すると、顧客とAWSの間がつながるという。
OCX Mobile Accessは、OCXと顧客との接続のための閉域網モバイルサービスだ。これにより、場所を問わずにクラウドサービスに閉域網接続できる。2025年4月に提供開始した。
OCX Mobile Accessでは、BBIXからある程度の量のSIMをまとめて発行し、顧客側で、SIM単位で有効を無効に切り替えて使うものだけ支払えるのも特徴との話だ。課金額なども顧客側でまとめて確認できる。
NTT-AT、生成AIがネットワークの問題を解析する「@FlowInspector mini」を展示、ShowNetでも動作
NTT-ATのブースの中にはネットワークトラフィック可視化・分析システム「@FlowInspector」のコーナーが設けられていた。
@FlowInspectorシリーズの中で、6月に発売開始した、中小規模ネットワーク用のモデル「@FlowInspector mini」が展示されていた。
@FlowInspector miniは、ネットワーク専門家のいない中小規模の現場のために、生成AIでネットワークの問題を解析する機能を搭載しているのが特徴だ。
そのためには、ネットワーク機器のミラートラフィックを収集しておく。そして、問題が発生したときにチャット形式(自然言語)でトラブル解析を依頼すると、保存された情報をもとに、原因の推定や、対応策を返してくれる。
ブースの説明では「ネットワークに詳しいベテランが横にいるような」とたとえていた。料金形態はサブスクリプション方式で、「人を雇うより安い」とのことだった。
なお、@FlowInspector miniは、中のソフトウェアがShowNetのサーバーで動いて、AIによる問題分析に使われた。
キーサイト、AIプラットフォームのトラフィックを模擬するネットワークテスターを展示
キーサイトのブースでは、さまざまなネットワークテスターを展示。その中で、Keysight AI Data Center Builder(KAI Data Center Builder)が、Interop Tokyo 2025で出展企業の製品やサービスを表彰する「Best of Show Award」において、「テスティング部門」のグランプリを受賞した。
これは、AIプラットフォームのトラフィックを模擬して、AIクラスターのファブリックスイッチに流すネットワークテスターだ。AIなどで使われる、RoCE(RDMA over Converged Ethernet)プロトコルや、Collective Communication(集団通信)通信方式のトラフィックを生成する。