イベント

「最大のポイントはIn-Memoryオプション」、日本オラクル、三澤専務に聞くOpen World 2013の総括 (最大のポイントはIn-Memoryオプション)

最大のポイントはIn-Memoryオプション

 今回のOracle Open World San Francisco 2013において、最大の発表は、Oracle Database 12c向けに提供されるOracle Database In-Memoryオプションだといえます。

 第3次オンライン当時を知る、現在50歳代のCIOの多くが持つ究極の夢は、リアルタイム化です(笑)。つまり、バッチ処理を極小化して、よりリアルタイムな情報システムを構築したいと考えています。今回のIn-Memory技術でいよいよそれが可能になると考えています。大きな可能性を秘めている。それに向けて、年内から国内の大手ユーザーと一緒に概念実証を繰り返して、成果を明確にしていきたいとしています。

 In-Memory技術は新たな技術ではなく、既存のOracle Databaseが持っていた技術の上に作られたものです。そのため、データの互換性が100%維持され、アプリケーションの互換性が担保されている。デュアルフォーマットが最大のウリとなっていますが、これはOracleだからこそ実現できるものです。

 もともとOracle Databaseは、行レベルロックや、読み取りの一貫性を担保するために、バッファキャッシュというエリアを持っています。これがデュアルフォーマットが実現できる理由なのです。Columnストアだけをデザインすると、パフォーマンスの問題が出てきますが、SIMDと呼ばれるベクター演算によるハードウェアアシスト機能を使うことで、パフォーマンスを落とさずに、デュアルフォーマットが可能になる。競合他社のデータベースとはまったく異なる設計を、最大限に生かした進化であり、他社とは異なる形で、In-Memoryを進化させたといえます。

 Oracle Database 12cのIn-Memoryオプションでは、ディスクから同時にrowとcolumnを作るデュアルフォーマット方式であり、基本的にはrowを見に行き、データウェアハウスにおいてはcolumnを見に行くという仕組みとなっています。もともとOracle OLAPの技術を持っていて、そこにベクターを乗せることで高速化ができる。OLAP関数をリレーションのなかに実装しているからこそ実現できるのです。

 こうしたことを考えると、今後、データウェアハウスの専用装置はなんら意味がなくなるでしょうね。

Oracle Database 12cへの移行を促進

 振り返ってみますと、この4年間ほどで、Oracle Databaseの移行はかなり進んでいます。Oracle Databaseでは、9iから10gへの進化において、オプティマイザのメカニズムが「ルールベース」から「コストベース」に変わったことで、非互換が発生し、移行のハードルが高かったといえます。いまでもそれは残っています。

 しかし、裏を返せば、10g以降のアップグレードは非常に簡単であるという前提があります。また、この4年間で移行が進んだというのは、Exadataが爆発的に売れたということも大きな要因です。Exadataはすべて11gであり、Exadataを既存システムに追加するユーザーは、必ずOracle Databaseのバージョンを11gにあげていただいています。

 これによって、アップグレードに対するバリアが下がったこと、われわれにもそのノウハウが蓄積したこと、「リアルアプリケーションテスティング」、「アプリケーションテスティングスイート」といったアップグレードを支援するツールが充実してきたことも移行を加速させています。つまり、

 12cにあげるというバリアはあまり感じていません。そうしたなかで、Oracle Database 12cに対して、Oracle Database In-Memoryオプションが登場したわけです。

(大河原 克行)