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クラウド技術に関するカンファレンス「CloudNative Days Tokyo 2022」、11月21日~22日に開催
量子コンピュータや金融、eBPFなど多彩なキーノートを用意、“ともに広がる”企画も
2022年11月7日 07:00
クラウド技術に関するカンファレンス「CloudNative Days Tokyo 2022(CNDT2022)」が11月21日~22日に開催される。今回のテーマは「+Native ともに広がるクラウドネイティブの世界」。
この2年はオンライン開催が続いていたが、今回はオンラインとリアル開催を組み合わせたハイブリッド形式で開催する。リアル開催は「有明セントラルタワーホール&カンファレンス」で行われる。参加費は無料(事前登録制)。
CNDT2022開催に関する記者説明会が11月4日に開かれ、実行委員会の草間一人氏(HashiCorp Japan株式会社)と青山真也氏(株式会社サイバーエージェント)がイベントについて紹介した。
オフラインとオンラインが対等な本当のハイブリッド開催
今回のテーマは「+Native ともに広がるクラウドネイティブの世界」だ。この「ともに広がる」について青山氏は、クラウドネイティブの世界が広がって個人や1つの会社でカバーするのが困難になっているのでコミュニティで“ともに広がる”ことで助けあうこと、そしてコロナ禍以後の場所と時間を超えた集まりを模索しつつオフラインの集まりをあきらめない“ともに広がる”の2つの意味を語った。
今回はハイブリッド開催となった。「オフラインが主でそれをオンラインにも流すという形にならず、登壇者も参加者も場所や時間にとらわれず参加でき、かつ優れた体験を得られることが、本当のハイブリッドイベントなのではないかと考えた」と草間氏は狙いを語る。
そこで、登壇者も参加者もリモートでもオフラインでも参加でき、地方や海外からでもライブ参加でき、後からアーカイブで見ることもできる、どの形態でも自由にやれる形を選んだという。
ちなみに、説明会前日の時点の参加者登録では、オンラインとオフラインの比率が約5:2だったとのことで、「思ったよりはオフラインの人が多い」と草間氏はコメントした。
オンラインイベントのプラットフォームは、オンライン開催が始まった2020年からCNDTの実行委員会で内製している。
このプラットフォームは継続的にアップデートしており、現在では最初のバージョンとは別物になっていると草間氏は説明した。この開発はCNCF(Cloud Native Computing Foundation)の「Cloud Native Trail Map」を実践しているという。
開発の最初は開発速度を優先してモノリシックなアプリケーションをHerokuで動かしていたが、現在はKubernetes上で動いている。それにともなって、システム情報やイベントの統計情報などを見られるObservability(可観測性)も向上させた。
今回はKubernetesを中心にしつつ、AWS LambdaやAmazon API Gatewayを使ってサーバーレスによる機能を増やしてマイクロサービスに作り替えているという。これにより、チームごとに開発できるマイクロサービスのメリットを享受できていると草間氏は語った。
機能としては今回、ハイブリッド開催に向けた機能などが追加された。オフライン開催での現地の受付案内機能や、オンラインとオフラインのコミュニケーション機能などが追加された。
そのほか追加された機能としては、CFP(発表募集)の段階で、応募セッションに投票できる機能があったという(現在では終了)。
デジタル庁や、量子コンピュータ、金融、eBPFなど多彩なキーノート
今回のキーノートセッションは6本だ。
デジタル庁からは、「デジタル庁が考えるクラウドネイティブや取り組みについて」と題して、クラウドエンジニアのAkihiro Yagasaki氏が講演する。
「Kubernetesを用いた量子コンピュータ実行環境」では、日本アイ・ビー・エム株式会社 マネージャーのDaiju Nakano氏が、量子コンピュータを操作する環境をKubernetesで構築した事例を語る。
「金融システムにおけるクラウドネイティブなアーキテクチャ設計とその構築」では、株式会社NTTデータ SREのTetsuya Nakamura氏が、金融システムをクラウドネイティブな技術スタックやハイブリッドクラウドで実現している先進的な事例を語る。
「eBPF Superpowers」は、Linuxカーネル上の仮想マシンであるeBPFについての講演だ。eBPFは、Kubernetes上のサービスメッシュ実装などにも使われている。今回は、eBPFによってセキュリティイベントを収集するCilium/Tetragonを開発しているIsovalent, INCから、Technical Community AdvocateのTracy P Holmes氏が講演する。
「同士諸君よ、ゼロトラストを撃て」では、株式会社LayerX シニアセキュリティ・アーキテクトのKengo Suzuki氏が、語られ始めて数年たったゼロトラストについて、事例や今後取り組んでいくべきことについて語る。
「Future of CI/CO: testing.next」は、Jenkinsを開発したことでCI/CDの世界で知られるLaunchableのKohsuke Kawaguchi氏が、CI/CDの未来について語る。
一般セッションは、全体の特徴としては、アーキテクト向けや運用向け開発向け、CXO(経営層)向けなど、想定受講者がバラエティー豊かだという。
また、Kubernetesが一般的になって、その次に何をするかのセッションが目立つという。ハイブリッド/マルチクラウドなど複数のクラウドや、セキュリティ、コスト、効率的な運用などだ。「今回に限ると、先進的なセッションというより、使っているものの悩みを解消したセッションが多い気がする」と青山氏はコメントした。
オフラインとオンラインで“ともに広がる”企画
セッションのほか、今回はオフラインとオンラインで“ともに広がる”企画も開かれる。
スタンプラリーは、オフラインもオンラインも参加できる。セッションに参加すると、オフラインはセッション終了後に表示されるQRコードで、オンラインもセッションに参加することで、スタンプが貯まる。そのスタンプ数に応じてCNDT2022グッズをプレゼントするという、一種のゲーミフィケーションだ。
クイズ大会も、Day 1セッション終了後に開催され、オフラインもオンラインも盛り上がれるようにする。
これまでのCNDTで好評なホワイトボード企画も、オンラインとオフラインで参加できるようにする。テーマを決めたホワイトボードを置いて、来た人が書き込んで議論したり悩みを書き込んだりするものだ。今回は物理的なホワイトボードと、オンラインホワイトボードのMiroを使用。オンラインからオフラインのボードを見られる仕組みも考えているという。
オフラインの会場感がオンラインに広がるような企画も設けられる。
フォトコンテストでは、参加者が会場の写真をTwitterに投稿する。
Observability機能を使って、現地会場の可観測性にも取り組む。カメラ学習とAIによる人数推定や、センサー配置によるCO2濃度の可視化によって、コロナ対策の一部とする。
ハンズオンイベントも開催する。今回はすべてリアルタイムで、相互コミュニケーションがとれる形で実施される。テーマとしては、Kubernetesのupstream(開発元)への貢献方法や、有志スポンサー提供の無償ハンズオンが開かれる。
そのほか、CloudNativeコミュニティと連携し、コミュニティの紹介や募集なども実施する。コロナでコミュニティ活動が少し弱まっていたと感じていて、今回オフラインを復活させたことで、コミュニティ間で参加者が広がっていくように考えたと草間氏は語った。