“自働化”によって進化した「ProLiant DL380p Gen8」サーバー

iLO4の管理機能と性能ベンチマークをレポートする


 今回は、日本HPが3月末から発売を開始した第8世代のProLiantサーバーとなるProLiant DL380p Gen8(以下DL380p)をお借りして、各種のベンチマークを行った。その結果を紹介するとともに、あらためて第8世代のProLiantサーバーの特徴を説明する。

 

第8世代のProLiantサーバーは自働化がテーマ

3月に発表された第8世代のProLiantサーバー
HPの第8世代のサーバーは、自働サーバーがコンセプトになっている
第8世代のProLiantサーバーは、テクノロジー、インフラストラクチャー、サービスの3つが柱となっている

 ベンチマークの前に、第8世代のProLiantサーバーの機能を紹介していこう。

 第8世代のProLiantサーバーは、今までの世代と比べると大きく変わっている。今回のサーバーのテーマは、“自働”化ということだ。

 今まで、ProLiantサーバーは、サーバー内部に多数の温度センサーを搭載することで、サーバー内部を監視することができた。また、リモート管理や電源管理機能を担ってきたiLO(HP Integrated Lights-Out)が搭載されていた。

 このような機能は、サーバーを監視、管理するといったことを目的に搭載されてきた。しかし、第8世代のProLiantサーバーでは、サーバーを導入する作業を自働化する機能をメインテーマとしている。

 HPのサーバーが自働化をコンセプトにしたのは、サーバーが導入される状況が、ここ数年大きく変わってきたことが上げられる。

 仮想化により、社内のデータセンターは、プライベートクラウドへと変化している。また、社外のデータセンターもパブリッククラウドをベースにしたモノへと移行し始めている。

 クラウドへの移行は、効果で手厚い管理を人手で行うことから、標準的なx86/x64のサーバーを多数導入することで、数台のサーバーが故障しても、ほかのサーバーを利用して、耐障害性を高めようというモノだ。つまり、クラウドは標準的なサーバーを多数組み合わせることで、システム全体で可用性を高めていく。

 もう一つ大きな変化としては、サーバーの管理や運用にかかるコストをできるだけ削減していくとこだ。

 リーマンショックを超えて、ITは戦略的な企業活動において非常に重要度を増している。しかし、現実には、IT投資へのコストは低下し、運用しているシステムの管理、保守にコストがかさみ、戦略的なITシステムの構築に向かっていないのが現状だ。

 また、クラウドになり、多数のサーバーにより耐障害性が高められても、システムのインストールや障害発生時の原因分析、修理に人手や時間がかかっているようでは、コストを抑えられない。

 システムの運用、保守のコストを低下させるためには、あらゆる場面において自働化を行い、人手がかからないようにしていくことが必要になる。

 HPが第8世代のProLiantサーバーで目指したのが、運用、保守の自働化だ。HP自体が、サーバーの自働化が必要になってきていると感じたのは、世界各国に散らばっていた自社のデータセンターを集約、統合していくにつれて、保守や運用のコストが上がってきたためだ。クラウド化は、メリットももたらしたが、反面サーバーの台数が多くなり、運用や保守に人手がかかるようになった。

 このような経験を経て、HPではサーバーの自働化をテーマにしたProject Voyagerというプロジェクトを数年前から立ち上げていた。今回の第8世代のProLiantサーバーは、Project Voyagerで研究開発されたテクノロジーがフィードバックされたものだ。


HPでは、省電力・省スペースサーバーのProject Moonshot、ミッションクリティカルなサーバーを実現するProject Odyssey、データセンターの自働化を目指すProject Voyagerを進めている。HPは、次世代のIT環境を実現するための、この3つのプロジェクトを進めているProject Voyagerでは、データセンターでの手作業を極限まで削減するProject Voyagerは、サーバーに電源ケーブルを入れてから、OSのインストールなど、さまざまな局面で作業を自働化する
Project Voyagerは、テクノロジー、インフラ管理クラウド、サービスの3つで構築されている今後、HPのテクノロジーイノベーションを支えるインフラとしてProject Voyagerが置かれる

 

キーテクノロジーはiLO4

自働サーバーのキーとなるのは、iLO4

 第8世代のProLiantサーバーを自働化するキーテクノロジーは、新しいiLO4(HP Integrated Lights-Out) Management Engineだ。iLO4は、今までのように、リモート管理や電源管理機能だけでなく、運用ライフサイクル全般にわたって自動化を行うために進化した。

 例えば、iLO4が持つHP Intelligent Provisioning機能では、自動的にサーバーのファームウェアや各種ツールを最新バージョンにアップデートし、インストールするOSの種類を判別して、必要となるドライバ類を自動的にインターネットからダウンロードしてくれる(iLOが動作する状況で、インターネットアクセスが可能になっている必要がある)。

 つまり、機器のファームウェア、OSが必要とする最新ドライバを自動的にダウンロードし、インストールしてくれるため、OSのインストールが終了すれば、面倒なファームウェア更新作業などをしなくても、すぐにでもサーバーが運用できる状態になる。

 さらに便利なのは、OSの最新ドライバのインストール機能だ。サーバーは、さまざまなネットワークカード、ストレージコントローラなどが搭載されているため、OSインストール後、管理者の手で必要なドライバをインストールする必要があった。特に、ネットワークカードなどのドライバは、ほかのPCやサーバーでダウンロードしたドライバをUSBメモリなどで持ち込む必要があった。特にWindows Serverなどでは、ネットワークドライバがないとWindows Updateも行えない。

 HP Intelligent Provisioning機能を使えば、iLO4がインストールするOSに対応した最新ドライバを自動的にダウンロードし、インストールしてくれる。もちろん、サーバーにインストールされているネットワークカードやストレージコントローラなどをチェックして、必要となる最新ドライバがインストールされる。

 これは、iLO4がOSなどに依存しない、単独で動作する組み込みシステムということもあるが、HPが運用しているサーバー上に、必要なファームウェアや最新のドライバが集中して用意されていることも大きいだろう。管理者が、どのファームウェアをアップデートするのか、どのドライバをインストールするのかで悩まなくてもいいのだ。


HP Intelligent Provisioning機能では、ファームウェアやドライバのインストールを自働化するHP Intelligent Provisioning機能は、スタートアップ時にF10キーを押すだけで、自働インストールが可能になるiLO4は、日本語パックを入れることで英語から日本語に変更することが可能
サーバーの温度情報は、非常に細かなポイントで計測されているiLO4でシステム構成を確認可能リモートコンソール機能で、サーバーのコンソールを表示できる。リモートコンソールは、.NET FrameworkとJavaの2つが用意されている
IE以外のブラウザ(今回はFirefox)で、.NET Frameworkのリモートコンソールを使う場合は、プラグインが必要になるリモートコンソールでインストールしたWindows Server 2008 R2にアクセスiLO4でサーバーの電力グラフをチェックできる
iLO4のすべての機能を使うには、Advancedライセンスが必要になる。今回は、トライアルライセンスを使用したROMベースのセットアップユーティリティもリモートでコントロールできる起動直後にF10キーを押すことで、HP Intelligent Provisioning機能に入る
メンテナンスの実行画面構成とインストールを選択すれば、メニューで選択肢を設定するだけで、ファームウェアやドライバのインストールが可能になるOSは、Windows Server 2008 R2をインストール。各Windows ServerやRed Hat Enterprise Linuxなども選択できる。インストールメディアとしては、iLO4でクライアントPCにあるISOイメージを共有
エディションの選択、キーボードを選択するこれだけで、設定は終了。後は、iLO4がインターネットのHPサイトにアクセスして、ファームウェアやドライバをインストールするファームウェアのバージョンをチェック。アップデートがあれば、インストールする
OSのインストールと同時に各ドライバもインストールされるOSのインストールが終了すれば、NICなどのDL380pに必要なドライバや管理アプリケーションが、すでにインストールされているデバイスマネージャーを見ても、動作しないHWはない。すべて、iLO4がドライバをインストールしている
さすがに、Windows Updateはインストール時に行われないため、OS起動後に手動で行う

 

サーバーの“フライトレコーダ”HP Active Health System

 HP Intelligent Provisioning機能により、OSのインストールなどは自動化できたとしても、サーバーを動作させてから、実際にトラブルがないかということを監視するためには、さまざまなシステム管理アプリケーションが必要だった。

 しかし、第8世代のProLiantサーバーにおいては、HP Active Health Systemという監視機能がiLO4に標準搭載されている。HP Active Health Systemは、サーバーに電源ケーブルを挿した段階から、CPUやメモリ、ネットワークカード、ストレージなどに対して、1600を超える診断を常時行っている。iLO4の上で動作しているため、OSがインストールされていなくても、各種診断は行われている。

 これだけの診断を常時行っているため、もしトラブルが起こったとしても、HP Active Health Systemのログを解析すれば、早期にトラブルを解消することができる。つまり、HP Active Health Systemは、サーバーにおける「フライトレコーダ」と同じ役割を果たす。


従来のサーバーでは、サーバーの状態を常時記録していなため、トラブルが起こった時に、あらためて診断ツールを動かして、そのログでトラブルを判断する。今までの仕組みは、再現性の低い問題はわからなかったり、診断ツールで取得したログを解析するのに時間がかかる。このため、トラブル解決に時間がかかったHP Active Health Systemは、常に診断ツールを動かし、正常な状態のログも記録している。このため、トラブルが起こった時にも、HP Active Health Systemのログを見れば、どのような部分にトラブルがあるのか? すぐにわかる。さらに、再現性の低いトラブルに関しても、常に診断ツールで、ログを取っているため、トラブルの前にどのようなことが起こっているのか分析できる

 HP Active Health Systemにより、サーバーに対して詳細な診断を行えるようになった。しかし、HP Active Health Systemのログを生かして、トラブルを解消することができるだけの管理者が常駐しているとは限らない。

 大企業であれば、管理、保守専門の要員を配置したり、システムインテグレータとの契約により保守要員が常駐していたりする場合もあるだろう。しかし、このような管理体制は、大幅にコストがかかる。

 そこで、HPではクラウドでサーバーを管理したり、保守するHP Insight Onlineが用意された。このクラウドを利用すれば、サーバーの動作状況をクラウドで監視することができる。もし、トラブルが起こったとしても、クラウド上でハードウェア構成、サービスイベント、保証・保守契約などを簡単に確認することができる。

 こいうった管理クラウドがあれば、中小企業においても、専門の要員を配置しなくても、簡単にサーバーの管理が行える。また、システムインテグレータも人を常駐させなくても、クラウドで監視できるため、保守コストを下げることもできるだろう。


今、ITの現場では、サーバーの台数が急激に増加したり、1台あたりのサーバーに関するデータが増えたりして、管理が難しくなっている。多くの企業では、手作業(表計算ソフト)で、サーバーに関するデータを管理しているHP Insight Onlineは、クラウドで第8世代のProLiantサーバーを管理する。これにより、手作業で管理していたサーバーに関するデータをクラウドで一括して管理できるHP Insight OnlineとHP通報サービスを組み合わせることで、サーバーの保守、管理に大きな変革が実現する
HP通報サービスは、HPだけでなく、システムインテグレータにも公開されているため、インテグレータの保守も簡単になるHP Insight Onlineの画面。今回は、HPが用意した環境で使用した。このため、テストしたサーバーは登録されていない登録されているサーバーの状態をクラウドでチェックすることができる。重大なエラーがあれば、アラームが表示される
サーバーの写真も表示されるため、ユーザーはサーバーを間違えなくてもいい。サーバーの構成情報もクラウドで簡単にチェックできる

 これ以外にも、スマートフォンやタブレットが普及してきている現状を考えれば、iLO4へのアクセスをPCやブラウザだけでなく、スマートフォンやタブレットからできるようになった。もちろん、iLO4の電源管理機能だけでなく、リモートコンソール(KVM)機能も利用できるようになっている。

 この機能を利用すれば、何かあった時には、スマートフォン、タブレットからでもシステムの状態を把握することができる。管理者にとっては、今まで以上に便利に利用できるだろう。


iPadにiLO4の管理アプリケーションをインストールこのアプリケーションで、iLO4の管理やリモートコンソールが利用できる。現在、iOS、Android版がリリースされているiPadで見たiLO4の管理画面
iPadでリモートコンソールを起動。縦長だと画面が小さく使いづらいiPadのスクリーンキーボードを出して、Windows Server 2008 R2をコントロール

 

HP ProLiant DL380p Gen8サーバーのベンチマーク

 今回、お借りしたDL380pのハードウェアの仕様に関しては、記事の最後に明記しておくが、DL380pはプロセッサーにXeon E5-2665(2.4GHz動作/Turbo時3.1GHz)を採用している。

 Xeon E5-2665はIntelの2ソケットサーバー向けの最新CPUであり、Sandy Bridge世代のCPUだ。このCPUはコアが8つ搭載され、ハイパースレッディングで16スレッドが実行できる。DL380pは、2ソケットサーバーとなっているため、1台で16CPUコア/32スレッドをサポートするパワフルなサーバーになっている。

 さらに、CPUには、3次キャッシュメモリとして20MBを搭載し、4本のメモリチャンネルをサポートしている。特にメモリチャンネルの強化は、搭載できるメモリ容量のアップにつながっている。DL380pでは、最大384GBもの大量のメモリをサポートしている。これだけのメモリとCPUコアがあれば、仮想化により多くのサーバーを統合することも可能になる。

 CPUに関する機能の詳細は、クラウド Watchの以前の記事を参照にしてほしい。

 注意としては、今回行ったベンチマークは限定された状況下での結果であるから、DL380pの性能をすべて表しているとはいえない。参考程度に考えてほしい(ベンチマークの諸条件も記事の最後に明記しておく)。


HPの第8世代ProLiantサーバーDL380pは、2Uサイズのサーバー内部ファンなどは、スロットインになっているため、交換が簡単に行える

 

CPUベンチマーク

 マルチスレッドの性能を評価するために、MAXON社のCinebench R11.5を使用した。Cinebenchは、搭載されているCPUコア/スレッドに負荷をかけて、映像をレンダリングするのにかかる処理速度を計測するベンチマークだ。最大で64スレッドまで並列に処理することができる。

 Cinebenchでは、GPUを使用するOpenGL、CPU単体を利用したベンチマークの2種類がテストできるが、今回はCPUだけを使用したベンチマークを行った。

 Cinebenchの結果を見ると、DL380pは、20.51PTSと非常に高い性能を発揮している。Xeon E5-2600シリーズと同じアーキテクチャを持つハイエンド デスクトップ向けのCPU「Corei7 3960X」(3.3GHz)が10PTSあたりなので、2ソケットを持つDL380pは素直に約2倍のパフォーマンスを示している。


 より詳細にCPUの性能をチェックするためにSiS SoftwareのSandra2012というベンチマークでテストしてみた。今回は、Sandra2012で整数演算のDhrystoneと浮動小数点演算のWhetstoneの2つのベンチマークを行った。

 Dhrystone、Whetstoneなどのベンチマークは、Xeon E5-2665を2ソケット採用しているDL380pでは高いパフォーマンスを示している。このあたりは、16コア/32スレッドのCPUの特性を表している。

 特に、整数演算のDhrystoneは、高い性能を示している。また、浮動小数演算のWhetstoneに関しては、AVX命令(レジスタを256Bitに拡張、256Bit SIMD演算をサポート)を使うことで高い性能を示している。今後はアプリケーションでも、AVXサポートが前提になっていくだろう。


 次に、Sandra2012で、マルチメディア関連のベンチマークを行った。このベンチマークでは、XeonのSSE、AVXを利用した整数演算、浮動小数点演算をテストしている。ここでも、AVX命令を使用するため、旧来のSSE命令よりも高い性能を示している。


 暗号処理に関するベンチマークも行った。暗号処理は、エンタープライズ用途においては頻繁に利用される機能だ。

 AES256-ECBにおいて、E5-2665は、AES256を直接実行する命令を利用しているため、高いパフォーマンスを示している。

 ハッシュ処理を行うSHA-256でも、E5-2665はAVX命令を使用しているため、以前の世代のCPUよりも高い性能を示している。AVXは256Bitを一度に処理できるため、旧来のSSE4に比べると2倍以上の性能を示している。


 

ディスクパフォーマンスは?

 今回お借りしたDL380pは、ディスクドライブとしてSSDが2台、SASドライブが6台搭載されていた。ディスクコントローラではSSDをRaid0で、SASドライブをRaid5で構成。

 そこで、SSDとSASドライブのディスクベンチマークを計測した。ベンチマークソフトとしては、Crystal Disk Mark 3.0.1 x64版を使用した。

 全体的に、SSDが高いパフォーマンスを示している。さすが、高額なSSDドライブを搭載しているため、ランダムアクセスにおいてもHDDとあまり変わらないパフォーマンスを示している。

 SSDは、シーケンシャルリードに関しては、ずばぬけた性能を示している。ただ、その他のベンチマークでは、6台のSASドライブをRaid5で構成した場合、SSDに近い性能を示している。

 すべてをSSDで構成しなくても、HDDとSSDドライブをうまく配置すれば、システム全体として高いパフォーマンスが得られるだろう。


 データベースのベンチマークとして、Scalable HardwareとTPC-Hのベンチマークを行った。このベンチマークには、クエスト・ソフトウェアが提供している「Benchmark Factory for Database」(以下、Benchmark Factory)を使用した。

 Benchmark Factoryは、OracleやSQL Serverなどのデータベースを搭載したサーバーに対して、クライアントPCから負荷をかけてベンチマークを行うソフトウェアだ。特に、Benchmark Factoryでは、AS3AP、Scalable Hardware、TPC-B、TPC-C、TPC-D、TPC-H、TPC-Eなどの業界標準に準拠したベンチマークが行える。

 

Scalable Hardwareのベンチマーク

 Scalable Hardwareのベンチマークは、ANSI(American National Standards Institute)が規定したリレーショナルデータベース向けのベンチマークAS3APのサブセットだ。特に、CPU、ディスク、ネットワークなどを中心にしてテストを行う。

 Scalable HardwareのMixed Workloadベンチマークを見ると、おおむねユーザーロードとレスポンスタイムは、スケールしている。今回は、100ユーザーを最大値としているため、DL380pはまだスケールすると思われる。

 消費電力は、ベンチマークを起動して22:00までは、データベースのデータ作成が行われている。ほぼ、ディスクアクセスに電力が消費されている。22:00以降急激に消費電力が上昇する。これは、実際に負荷をかけたベンチマークが開始したためだ。最大値は、420Wほどだ。

 以前に、別のサーバーで同じベンチマークを行った経験からいえば、瞬間的に使用する電力が上昇しても、CPU性能が高いため、短時間で処理が済む。このため、ベンチマークにかかる時間も短くなる。

 いろいろな考え方があるが、消費電力が瞬間アップしても、処理が短い時間で終了すれば、消費電力という面ではメリットがあるだろう。


Scalable HardwareのMixed Workloadのベンチマーク。Transactions vs Userloadのグラフ。仮想ユーザーごとに、Transactionの処理時間をグラフ化しているCPU Intensiveテスト。Transaction数とResponse Timeをグラフ化データベースに対するInsert操作のテスト。Transaction数とResponse Timeをグラフ化
データベースに対するUpdate操作のテスト。Transaction数とResponse Timeをグラフ化Scalable Hardwareベンチマークを動かした時に消費電力

 TPC-Hのベンチマークでは、DL380pは0.252TPS、Avg Response Timeは87.137/秒、Avg Transaction Timeは87.137/秒となっている。



TPC-Hベンチマークを動かした時の消費電力をグラフ化

 各種のベンチマークを見ていると、DL380pは高い性能を示している。今回は、HPの第8世代以前のサーバーとは比較ができなかったため、厳密な比較は行えなかった。しかし、以前別メーカーのNehalem世代のサーバーをテストした時の印象からいえば、Sandy Bridge世代のDL380pは、相当高い性能を示している。

 さらに、トータルの消費電力を見ても、Nehalem世代のサーバーよりも、Sandy Bridge世代のサーバーは低くなっている。

 DL380pの価格は、今回の構成で約200万円近い金額となる。サーバーを入れ替えると考えるとそれなりにコストがかかる。ただ、6年前に発売されたNehalem世代のサーバーを使っているなら、消費電力やパフォーマンス面からリプレイスを検討した方がいいだろう。

 多くの企業が、サーバーの入れ替え時にシステムの更新を考える。しかし、ハードウェアとソフトウェアの更新を同時に行うのはコストもかかるし、システム開発に時間がかかる。それよりも、性能の高いサーバーのメリットを生かせるように、ソフトウェアの更新を同時に行うのではなく、仮想化によりハードウェアの更新のみを行う方が大きなメリットがある。

 古いシステムを仮想化により、新サーバーへ移行することで、古い複数のサーバーを統合することが可能になる。経営層に対しても、これだけでコストメリットを訴えることもできるだろう。

 また、システム更新は、開発に時間がかかるため、自社の状況に合わせて、開発を進めていけばいい。もちろん、新しいシステムも仮想化したサーバー上で動かせるため、新たにサーバーを購入しなくてもシステムは構築できる。

 今後、ハードウェアはリプレイス時期に合わせて、コスト面、性能面で適切なサーバーを選択すればいい。ソフトウェアは仮想化されていれば、新しいサーバーへも簡単に移行できる。このため、新サーバーを導入するにしても、短時間で行うことができる。今までのように、ハードウェアの更新とソフトウェアの更新を同時に行っていると、調査から開発、導入にまでに数年かかる。これでは、グローバルを相手に変化の速いビジネスを行っている企業にとっては、あまりにも時間がかかりすぎる。

 こういったことからも、ハードウェア自体は必要な時に、適切なサーバーを短期間で導入することが条件になってくるのかもしれない。こういった条件にHPの第8世代サーバーはぴったりと言える。

ベンチマーク環境
HP ProLiant DL380p Gen8
CPU:E5-2665 2.4GHz動作/Turbo時3.1GHz TDP115W ×2ソケット(トータルCPUコア数16コア/32スレッド)
メモリ:DDR3 ECC 1333MHzメモリ 64GB
HDD:SAS 900GB(10000rpm)×6台(RAID 5で使用)
SSD:SAS 200GB×2台(RAID 0で使用)

Benchmark Factoryのベンチマーク設定
・Scalable Hardware
 バーチャルユーザー:1~100人(10人刻み)
 スケール:10000

・TPC-H
 バーチャルユーザー:20人(User Load Scale×5倍)
 スケール:20

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