仮想化道場
サーバープロセッサの本命、2ソケット向けのXeon E5-2600 v2シリーズ登場 (Xeon E5-2600 v2シリーズの改良点は?)
(2013/9/11 10:00)
Xeon E5-2600 v2シリーズの改良点は?
Xeon E5-2600 v2シリーズではコア/スレッド数の増加、3次キャッシュメモリの増加以外にも、いくつかの部分で改良が行われている。
まず、CPUコアが増えているため、Xeon E5-2600シリーズとは内部リングバスが異なっている。例えば12コア/24スレッド製品では、内部リングバスが3重になっている。これにより、CPUコア間のレイテンシが小さくなり、ほかのコアや3次キャッシュメモリの特定部分へのアクセスが平均化されるという。
もちろん、すべての製品で内部リングバスが3重化しているわけではなく、Xeon E5-2600 v2シリーズでは、製品として3種類のダイが用意されている。4~6コア、6~10コア製品では、2重の内部リングバスが採用され、3重の内部リングバス構造は12コア製品にのみ採用されている。今後、製造プロセスが進みコア数が増えていけば、内部リングバスがさらに増えていくことになるのかもしれない。
メモリ部分においては、DDR3-1866メモリをサポートした。1つのプロセッサで4つのメモリチャンネルをサポートしているため、2ソケット合計では、最大1.5TBものメモリ容量をサポートする。
デスクトップ/ノートPC向けのIvy Bridgeプロセッサでは、PCI Express Gen3 x16がサポートされた。Xeon E5-2600 v2シリーズでも、PCI Express Gen3 x16がサポートされているが、デスクトップ/ノートPC向けのプロセッサからいくつかの改良が行われている。
具体的には、PCI Expressの×16 Non-Transparent Bridge(NTB)のサポート、ソケット間の非コヒーレントな接続をサポートした。これらの機能により、10Gigabit Ethernet、InfiniBandなどのネットワークインターフェイスのレイテンシが改善している。さらに、Intelが提供しているXeon PhiなどのHPC向けのプロセッサなどを接続しても、高いパフォーマンスを出せるようになった。
Xeon E5-2600 v2シリーズの命令部分は、デスクトップ/ノートPC向けのIvy Bridge世代とほぼ変わらない。新しく追加された部分としては、レベルの高い乱数を発生するIntel Secure Keyが用意されている。
この命令では、500MB/秒以上のスピードでランダムデータを生成できる。また、ANSI X9.82、NIST SP 800-90、NIST FIPS 140-2/3 Level2など標準に準拠した乱数が生成可能だ。なお、このデジタル乱数ジェネレータは、物理環境だけでなく仮想環境にも対応する。
もう1つ、プロセッサのスーパーバイザーモード(Ring 0)の実行保護機能となるIntel OS Guardが追加された。この機能は、カーネルの実行をハイジャックするウイルスをプロセッサ上で動作するように仕組みだ。
仮想化機能においても、Xeon E5-2600 v2シリーズでは、割り込みコントローラのAPICを仮想化する機能APICv(Advanced Programmable Interrupt Controller Virtualization)をサポートした。
今までの仮想化では、ゲストOSからの割り込みがかかるつど、VM Exitを発生させて割り込み処理を行っていた。これでは、VM Exitの頻度が高くなり、仮想化のパフォーマンスも低下してしまう。
そこで、Xeon E5-2600 v2シリーズでは、プロセッサ側でAPICを仮想化するAPICvという機能を用意したのである。ハイパーバイザーでは、APICvにアクセスしてゲストOSの割り込みをかけるため、実際にVM Exitを発生させなくてもよくなり、VM Exitが最大50%削減されるという。
これにより、ハイパーバイザーの性能向上が飛躍的にもたらされる。ただし、ハイパーバイザーがAPICvをサポートする必要がある。現状では、VMware、KVMなどがサポートを表明しているが、将来的には、Microsoft、Citrixなどのハイパーバイザーでもサポートされるだろう。
もう1つ、I/O仮想化のVT-dのバンド幅の向上、キャッシングの向上が行われている。このあたりは、VT-d単体の機能アップだけでなく、PCI Expressの機能改善と組み合わさって可能になっていると思われる。