サーバープロセッサの本命、2ソケット向けのXeon E5-2600 v2シリーズ登場

　昨年、Sandy Bridge（開発コード名）世代のXeon E5-2600シリーズがリリースされ、サーバーマーケットを、Xeon E5-2600を使用した2ソケットサーバーが席巻した。今回発表されたXeon E5-2600 v2シリーズは、昨年発表されたXeon E5-2600シリーズよりも、性能や省電力性がアップしているため、一気にXeon E5-2600 v2シリーズに置き換わる可能性もある。

　今回は、Intelが発表した資料をもとに、Xeon E5-2600 v2シリーズを解説していく。

Ivy Bridge世代になったXeon E5-2600 v2シリーズ

Xeon E5-2600 v2は、幅広い用途のサーバーに利用されるプロセッサだ。ハイエンドでは、コア数の増加により高い性能を示し、省電力用ではコア数を減らした40Wの製品も用意されている

　Xeon E5-2600 v2シリーズは、昨年デスクトップ/ノートPC向けに発表されたIvy Bridge（開発コード名）世代をベースにして開発されている。

　製造プロセスとしては、Xeon E5-2600シリーズが採用していた32nmから、Xeon E5-2600 v2シリーズでは22nmに微細化された。さらに22nmプロセスでは、微細化すると回路から電流が漏れ出るリーク電流を防ぐため、「トライゲート（3D）トランジスタ」という最新テクノロジーを採用している。

　これにより、同じ消費電力でも動作クロックを上げられるほか、製造プロセスの微細化により、CPUコアを増やしても、今までと同じ消費電力枠内に収めることができるようになった。つまり、同じ消費電力でも、性能をアップさせることができる。

　実際、Xeon E5-2600 v2シリーズでは、CPUの最大コア数が12（24スレッド）になり、動作クロックも最大3GHz（ターボ・ブーストでは最大3.6GHz）となっている。3次キャッシュメモリも最大30MBと、Sandy Bridge世代の20MBから向上した。

Xeon E5-2600 v2シリーズは、22nm製造プロセスにより、同じ消費電力比で最大40％の性能向上が行われている。また、コア数の増加、命令セットの改良、仮想化機能の改善、PCI Expressの改良などが行われている

Top500リストで1位の成績をマークしたスーパーコンピュータ「Milky Way-2」に採用されているほか、多くのベンチマークにおいて、2ソケットサーバーとしては、最高の性能を実現している

　またXeon E5-2600 v2シリーズは、前世代のXeon E5-2600シリーズと同じソケットを使用している。消費電力/発熱量なども変わらない（あるいは低い）ので、新しくマザーボードやサーバー筐体の設計も必要ない。

　このため多くのサーバーベンダーでは、昨年発表したサーバーに新世代のXeon E5-2600 v2シリーズを搭載して発売する。再設計の手間がかからない分、プロセッサ発表後、すぐにでもXeon E5-2600 v2シリーズを搭載したサーバーが販売されるだろう。

　今回の発表では、2ソケット向けのXeon E5-2600 v2と1ソケット向けのXeon E5-1600 v2がアナウンスされた。Xeon E5-1600 v2は、ローエンドサーバーやワークステーションなどに向けたプロセッサとなる（本稿では、両シリーズを総称してXeon E5-2600 v2シリーズと呼ぶ）。

　一方で、4ソケットのXeon E5-4600シリーズや、メモリチャンネルの数を3つに落とした2ソケット向けの廉価版、Xeon E5-2400シリーズに関しては、今回は後継製品が発表されなかった。

　もっとも、それらについても時期が来れば、Ivy Bridge世代の製品が発表されると思う。