仮想化道場
最大24コア・48スレッドのミッションクリティカル向けプロセッサ「Xeon E7 v4」
2016年6月8日 06:00
Xeon E7 v4の用途と今後
Xeon E7 v4は大量のメモリを搭載できるので、ビッグデータの分析、インメモリデータベース、ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)、クラウドシステムのインフラなど用途にマッチしている。
最近注目されているマシンラーニング、ディープラーニングなどにも利用することができる。Xeon E7 v4だけでなく、Xeon PhiやFPGA、GPGPUなどを利用することで、今まで実現できなかったレベルでの利用が可能になるだろう。
なお、前述したようにXeon E7 v4は、以前のXeon E7 v3とソケット互換となっているため、Xeon E7を採用したサーバーは、バリデーションやファームウェアのアップデートだけで対応できる。このため、サーバーベンダーもプロセッサの発表からさほど時間をかけずに、新サーバーが提供できるようになるだろう。
ただし次のSkylake世代では、ピン数も多くなり、現状のXeon E7 v4シリーズとの互換性はなくなるので、まったく新しいプラットフォームとしてサーバーを設計しなおすることになりそうだ。
またサーバープラットフォームとしては、EP系列(Xeon E5など)とEX系列(Xeon E7)に分かれているのを統合し、シームレスに2ソケットから8ソケットのサーバーが構築できるようにすると言われている。
Broadwell-EPとBroadwell-EXで内部のダイがほぼ同じということを考えれば、将来的にはプラットフォームの統合に進んでいくだろう。とはいえ、ブランドとしてXeon E7/E5は残ると思う。
さらにSkylake世代のEP系列/EX系列では、いずれもメモリが6チャンネルをサポートするとも言われている。Intelが進める3D X Pointを搭載したNVDIMMを使って超高速フラッシュストレージを実現するために、EP系列でもサポートするDIMMソケットの数を増やす必要が出てきている、ということなのかもしれない。
なおIntelでは、プロセッサの世代交代をTick/Tockモデル(Tickでプロセスの微細化、Tockでマイクロアーキテクチャの大きな変更)の2段階から、Process(プロセスの微細化)、Architecture(アーキテクチャ変更)、Optimization(最適化)の3段階モデルに変更してきている。
Tick/Tockモデルが壊れたのは、プロセスの微細化が難しくなったことで、量産化に時間がかかるようになってきたからだろう。
こういったことを考えれば、サーバーのプラットフォームも3世代利用できるモノに変化していくだろう。
なおXeon E7 v4のライバルとしては、IntelではIBMのPOWERプロセッサを挙げている。Intelによると、POWER8と比べて1.4倍のパフォーマンスを発揮できるほか、オペレーションコストは1/2になり、パフォーマンス/金額では10倍のメリットがあるという。
また、Power陣営はOpenPOWER Foundationを設立することで、ソフトウェアやハードウェアのエコシステムを構築しようとしているが、x86プラットフォームほどエコシステムが充実しているとはいえない。このあたりは、x86プラットフォームの歴史に軍配が上がるだろう。
とはいえ、x86ベースのXeon E7 v4とPowerベースのサーバーでは、ソフトウェアも環境も異なるため、単純な比較はできない。個人的には、単純にPOWER8プロセッサとXeon E7 v4を比較するのは間違いで、双方にメリットもデメリットもあると思う。