仮想化道場

最大24コア・48スレッドのミッションクリティカル向けプロセッサ「Xeon E7 v4」

Xeon E7 v4の用途と今後

 Xeon E7 v4は大量のメモリを搭載できるので、ビッグデータの分析、インメモリデータベース、ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)、クラウドシステムのインフラなど用途にマッチしている。

 最近注目されているマシンラーニング、ディープラーニングなどにも利用することができる。Xeon E7 v4だけでなく、Xeon PhiやFPGA、GPGPUなどを利用することで、今まで実現できなかったレベルでの利用が可能になるだろう。

今後サーバーの利用は、データベースやCRM、ERPなどから、ビッグデータ解析、人工知能などに広がっていく。それも、リアルタイム性が要求されていくようになるだろう
Xeon E7 v4は、以前と同じようにAdvanced、Standard、Basicの3つのラインアップが用意されている。各プロセッサのベンチマークが掲載されている(SPECfpはベンチマーク中のデータが多い)
ヘルスケアのMcKessonでは、SAP HANAのビジネスウェアハウスが30%以上性能アップ。これにより、よりきめ細かなヘルスケアの分析がリアルタイムで行えるようになった

 なお、前述したようにXeon E7 v4は、以前のXeon E7 v3とソケット互換となっているため、Xeon E7を採用したサーバーは、バリデーションやファームウェアのアップデートだけで対応できる。このため、サーバーベンダーもプロセッサの発表からさほど時間をかけずに、新サーバーが提供できるようになるだろう。

 ただし次のSkylake世代では、ピン数も多くなり、現状のXeon E7 v4シリーズとの互換性はなくなるので、まったく新しいプラットフォームとしてサーバーを設計しなおすることになりそうだ。

 またサーバープラットフォームとしては、EP系列(Xeon E5など)とEX系列(Xeon E7)に分かれているのを統合し、シームレスに2ソケットから8ソケットのサーバーが構築できるようにすると言われている。

 Broadwell-EPとBroadwell-EXで内部のダイがほぼ同じということを考えれば、将来的にはプラットフォームの統合に進んでいくだろう。とはいえ、ブランドとしてXeon E7/E5は残ると思う。

 さらにSkylake世代のEP系列/EX系列では、いずれもメモリが6チャンネルをサポートするとも言われている。Intelが進める3D X Pointを搭載したNVDIMMを使って超高速フラッシュストレージを実現するために、EP系列でもサポートするDIMMソケットの数を増やす必要が出てきている、ということなのかもしれない。

 なおIntelでは、プロセッサの世代交代をTick/Tockモデル(Tickでプロセスの微細化、Tockでマイクロアーキテクチャの大きな変更)の2段階から、Process(プロセスの微細化)、Architecture(アーキテクチャ変更)、Optimization(最適化)の3段階モデルに変更してきている。

 Tick/Tockモデルが壊れたのは、プロセスの微細化が難しくなったことで、量産化に時間がかかるようになってきたからだろう。

 こういったことを考えれば、サーバーのプラットフォームも3世代利用できるモノに変化していくだろう。

 なおXeon E7 v4のライバルとしては、IntelではIBMのPOWERプロセッサを挙げている。Intelによると、POWER8と比べて1.4倍のパフォーマンスを発揮できるほか、オペレーションコストは1/2になり、パフォーマンス/金額では10倍のメリットがあるという。

 また、Power陣営はOpenPOWER Foundationを設立することで、ソフトウェアやハードウェアのエコシステムを構築しようとしているが、x86プラットフォームほどエコシステムが充実しているとはいえない。このあたりは、x86プラットフォームの歴史に軍配が上がるだろう。

 とはいえ、x86ベースのXeon E7 v4とPowerベースのサーバーでは、ソフトウェアも環境も異なるため、単純な比較はできない。個人的には、単純にPOWER8プロセッサとXeon E7 v4を比較するのは間違いで、双方にメリットもデメリットもあると思う。

Intelでは、IBMのPower8とXeon E7 v4を比較している。パフォーマンスでは40%、運用コストとしては1/2、パフォーマンス/金額では10倍のメリットがあるとしている